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整理技術研究グループ勉強会記録(1999年度)

『一般用語学入門および用語辞書編集法』輪読(3回)


『一般用語学入門および用語辞書編集法』第3章輪読会の記録
 ヴュスター著;中村幸雄訳. 情報科学技術協会, 1998


◎『一般用語学入門および用語辞書編集法』輪読会 第1回
日 時:1999年11月15日(月)19〜21時
会 場:日図研事務所
出席者:蔭山、前川、田窪、吉田暁
テーマ:『一般用語学入門および用語辞書編集法』第3章、3.1〜3.2
担 当:前川和子氏
訳本ということから、以下では、訳の問題と原語の問題が区別せずに扱われている。
p.iii 訳者の言葉
 第3段落 「三つの意味があるいわれている」→「あるといわれている」
p.9 概念に対して、「Begriff」という原語を注記してほしい
 「一つの概念の道程と固定のために」→「同定」
 標識(Merkmal)とあるが、これは初出ではない。初出の段階で原語を添えてほしい。
p.10 3.2 概念間の連関(概念体系)
 ここでは、論理的関係と存在論的関係の2種類しかあがっていない。たとえば、正月という概念とお節料理という概念の関係であるが、これは論理的関係でも存在論的関係でもないが、確かに何らかの関係がある。シソーラスの用語法を借りて、とりあえず連想的関係としてはどうか。
p.11 3.211.3 対角線関係
 分かりにくいことばだ。叔父ー甥関係とでもすれば、もっと分かりやすいと思われる。
 下から2行目 「三つ以上の概念を、その類似性に着目して」とあるが
 ここは、「その意味の類似性に着目して」とすべき
p.13 例2:原動機、発電機、とある
 原動機は、[モーター]とあるように、電動機とすべきではないか。
 概念の論理和には、電気機械とあり、原動機と発電機なら電気機械とはならない。
3.221.1 構成要素下位の関係、の定義は分かりにくい。
ある個体(実体)が、別の個体と同じ構成要素を備えており、さらに後者が付加的に別の要素も持っているなら、前者を「構成要素下位」にあるといい、
 例えば、机の脚で考えると、机の脚が個体である。次に別の個体として机を考える。机は天板や引き出しなど付加的に別の要素も持っている。したがって机の脚が机の構成要素下位となる、ということなのか。
p.14
 3.222 三つ以上の概念間の構成成分関係
 この節に入るまでに、論理的関係との整合性からすれば、「対角線関係」がこないとおかしい。
 構成成分関係は、構成要素関係ではないのか。
 3.222.2 構成要素結合
 「類似した構成要素結合としては論理和だけが存在する」とある。
 ここでは、論理和ではなく、存在論的和とすべきではないか。
 本当に構成要素間の論理積はないのか。
  ある部分を共有するような2つの構成要素はありうると思うが。
 「レンガの結合が壁になる」というところは理解しにくい。
p.15 3.23 「存在論的な結合種類ののどれを」→種類のどれを


◎『一般用語学入門および用語辞書編集法』輪読会 第2回
日 時:1999年11月25日(木)19〜21:10
会 場:日図研事務所
出席者:蔭山、田窪、前川、吉田暁
テーマ:『一般用語学入門および用語辞書編集法』第3章、3.3〜3.4
担 当:吉田暁史
3.3 概念を配列するための標識
p.15 最下行 「ある概念とその隣の概念とを区別し(同列の場合)、またはその上位概念から作り出す(上下列の場合)場合に、」
 作り出すものは一体何か。
p.16 1行目 「配列標識」(Ordnungsmerkmal)。Ordnungに対して配列という訳がもう一つすっきりしない。「順序よく整理する」という意味であろうから、整序などはどうか。
3.3.1 標識の区分
 固有標識、用途標識、由来標識の3種類の例(机)があがっている。後2者は、標識の種類と机の種類という組み合わせなのに、なぜ固有標識の場合だけは、標識の種類と標識、という組み合わせなのか。
3.312 関係標識 Beziehungsmerkmal oder Relationsmerkmal
 関係より、関係性の方がよいのでは(原文自体が)。
3.32 等価な標識
p.17 正確には存在論的に等価な標識という。
 従来存在論的とは、全体−部分関係を指していた。ここでいう存在論的とはどういうことだろうか。
 この例では、凸と収束が等価であるとする。これは手段(凸)と目的(収束)の関係であろう。このように等価な中味を分析すべきであろう。また収束させるのは、現在の技術では必ずしも凸型である必要はないのではないか。例えば渦巻き状のレンズみたいなもの。とすれば、凸と収束とは等価とはいえなくなる。例として不適当であろう。
3.322.1 関係標識よりも固有標識を
 倉庫管理人を例に挙げているが、固有標識の方が重要だというのは、そちらの方が「具体的にイメージできるから」と表現した方が分かりやすいのではないか。
3.322.2 出所の標識よりも固有標識を
 出所の標識となっているが、前ページでは、由来標識であった。
3.33 等価でない標識
3.331 一般的な場合。
 標識種類、とある。標識の種類、標識種類、標識種別、標識の種別と幾通りもの表現がある。
3.323 ほぼ等価な標識
 〈真直の歯列をもっ〉→もつ
3.33 等価でない標識
3.331 一般的な場合。
 「ある概念の細分には、等価でない標識あるいは標識種類のみを用いるのが原則である」
 この文章は意味がよく分からない。
3.333.1 従属的な標識
 「限定的な標識を追加する前に、上位の標識が必要な場合には、標識は互いに従属的である」
 この文章もよく分からない。
3.4 特別な概念体系とその表示
 なぜ「特別な」という限定がついているのか不明。
3.411.1 木構造図
 「ポルフィリアの木」
 この木は、2分法における展開を表しているのではないのか。とすれば、木構造の事例としては不適当。
3.412 組み合わせ的概念体系および概念図
 「一定の存在論的な前提」
 ここでの存在論的、という表現もよく分からない。
3.412.4 水素原子数が6のところで→5のところで
3.413 分割・組み合わせ的概念体系
 「単一標種別」→単一標識種別
3.413.1 細分的木構造の鎖
 「木の鎖」よりも短いのが特徴である。「木の鎖」とは何か、また何が短いのか不明。


◎『一般用語学入門および用語辞書編集法』輪読会 第3回
日 時:1999年12月9日(木)19時〜20:45
会 場:日図研事務所
出席者:蔭山久子、田窪直規、前川和子、吉田暁史
テーマ:『一般用語学入門および用語辞書編集法』第3章、3.5〜3.7(最終回)
担 当:蔭山久子氏
p.25 3.5主題の分類
 以下のように解釈したい(田窪)
contents 資料あるいは情報の内容全体
subject contentsを1文に圧縮したもの
topic  contents中に存在するさまざまな個々の内容
    exhaustivity(網羅性)とは個々のtopicをも索引化する段階にかかわる
summarizationでは全体としての内容を要約し、exhaustive indexing(あるいはdepth indexing)とはtopicの段階まで降りて、数多く索引化することか(吉田補記)
summarizationとsubjectとはどう違うのだろうか(吉田補記)
p.28 3.522 主題の論理和
 主題の論理和として、「規格化および用語学」という例をあげている。
 規格化に関する論文と用語学に関する論文が1資料の中に別々に存在しているようなケースが想定されている。
 しかし、これは主題と主題の関係といえるのか。単に検索者の都合で、両方同時に検索したい、というだけのことではないのか。これをいうならあらゆる2以上の主題論理和が成り立つことになる。この例は、主題の論理和としては不適当。では、主題の論理和とはどういうケースなのか。
p.29 3.6 ノーテーション
上から8L〜11L:「階層分類」と「ファセット分類」に関して述べたところは何をいわんとしているのか意味がつかめない。
p.30 3.73 ドクメンテーション分類
 サンプリング調査の結果これら三つの業績もは、 → 業績は、
p.xxii 目次の 3.7 原稿の包括的な分類の例 → 現行の