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整理技術研究グループ勉強会記録(2001年度)

「メディアの分析的研究」第5回


日時:
2001年6月20日(水) 19:00〜21:20
会場:
日本図書館研究会事務所
発表者 :
河手太士氏(大阪樟蔭女子大図書館)p.12-22
村井正子氏(システムズ・デザイン)p.23-29
テキスト:
FRBRの輪読(第3章)
Functional Requirements for Bibliographic records : Fianl Report / IFLA Study Group on the Functional Requirements for Bibliographic Records. -- Munchen: K. G. Saur,1998.
およびhttp://www.ifla.org/VII/s13/frbr/frbr.htm
出席者:
吉田(帝塚山学院大)、田窪(近畿大学)、尾松(奈良県立図書館)、太田(京都外国語大学図書館)、河手(大阪樟蔭女子大図書館),蔭山(帝塚山大学図書館)、村井(システムズ・デザイン)、堀池(京都大学大型計算機センター)

●3章 Entity
●3.1 概説
・この研究で定義されたエンティティ(Entity)は書誌データの利用者が興味を持つ対象を表し,3つのグループに区分される。
・グループ1は書誌レコードで記述される知的あるいは芸術的所産としてもの。著作(work),表現形(expression),実現形(manifestation),アイテム(item)の4つがある。
・グループ2は知的あるいは芸術的な内容,物的作成および普及,管理を行うエンティティである。個人(person),団体(corporate body) がある。
・グループ3は知的あるいは芸術的所産の主題としてのエンティティである。概念(concept),物体(object),出来事(event),場所(location) がある。
◆図3.1での矢印(一重矢,二重矢)の関係について
・workとグループ1の関係で1対nとなっているが0(ゼロ)を含むのではないか。
・グループ2,3は1以上であろう。
・work-expressionは1対nになっているがexpressionなしもある。
◆図3.2で「is created by」と「is produced by」の違いがよく分からない。
・つまり,workとmanifestationの違いそのものではないか。
・「is realized by」とはよくわからない。
・世の中のものは形があるものである。そこからきている。
◆図3.3ではすべてが縦に並列にならんでいる。なぜか。
・夏目漱石の「坊っちゃん」は書いたのはコンセプトである。itemとして坊っちゃんの本を研究することもできる。
・安易に並列ではおかしい。
・各データをグルーピングしたいために並列においているのではないか。
◆「person」をオブジェクトとみるのかどうか。議論の分かれるところだ。
・時代や時間などをどう分けるのか問題であろう。
●3.2.2 Expression
◆p.17のExamplesの最初の著作の例で版が異なる場合のexpressionの扱いがおかしいのではないか。
・editionが変われば同一のexpression。
・著作と翻訳は別のものと単純にわり切ろう。
・work-expressionの関係はどうもすっきりしない。
◆原文のp.18の段落の2段目「Defining work as an entity ...」の文(レジメのp.2の中程)で。「個々の表現形間に直接的な関係を引くことができない...」とあるがこの直接的な関係とは何を表しているのか。
・「Homer's」と「Iliad」の関係と同じで表現形間の関係か。
・これは「記述」と「標目(アクセスポイント)」の関係に関係してくるのか。
・どこまでを著作とみるのか。境界問題が出てくる。どこまでを持って1つのまとまりとみるのか。
◆p.19のExamplesの2つ目の著作例について
・下位のexpressionが3つあがっているがe1とe2,e3は楽譜と演奏でありそれぞれ著作になるのではないか。
◆p.22のExamplesの4つ目の著作例について
・著作がWall Street Journalで,e1とe2の相違が東西版になっているが同一の著作(work)かどうか検討がいるのでは。
●3.2.3 manifestation
・itemの訳を「記述対象」とはせず,「アイテム」とする方がいいのではないか。
・和中さん(国会図書館)の頭の中にはアイテムとの関係でwork-expressionを同一と見る発想があるのではないか。
・physical media と container(コンテナ)の違いがよくわからない。
●3.2.4 Item(アイテム)
・p.23のItemの定義がmanifestationの定義と同じではないか。
●3.2.5 person(個人)
・P.24の上から1行目でのpersonの概念説明では「creation」と「realization」の2つだけの定義になっているが,p.14図3.2の「produce」と「owner」はどうなったのか。説明不足の気がする。
・一人が複数の名前を名のっている場合はどうか。
・件名の場合は生死は関係ない。
◆3.2.5 personと3.2.6 corporate bodyにおいて
・著者がunknownの場合はグループ2,3の各エンティティの関係
(work,expression,manifestation,item)をどう扱うのか。
●3.2.6 corporate body(団体)
・personと同様に概念からproduceとownerがない。
●3.2.7 Concept(概念)
・conceptとは抽象的概念またはアイデアである。
★ ==> 和中さんに質問する(和中さん発表予定の7月21日(土)の例会時に)
・p.25などの例がすべて固有名詞ばかりがあがっている。普通名詞がないのはなぜか。concept,object,placeなどの説明例でも同じ。
・authority fileの存在などの背景を常識として語っているのかなあー。
●3.2.8 Object(オブジェクト)
●3.2.9 Event(イベント)
・定義がactionとoccurrenceになっているが時間を扱わないのはおかしい。
●3.2.10 Place(場所)
・定義がlocationとなっている。例では固有名詞ばかりでおかしい。沼地などはlocationではないのか。
●3.3 Aggregate and Component Entities(集合体と構成要素のエンティティ)
・例ではworkだけがあがっているが,workだけではないのではないか。
・1つの著作が上・下本になっている場合など,expression,manifestationがあってもいいのではないか。
・e1(expression 1)があり,さらにe1.1やe1.2とある場合はどういう場合が想定できるのかわからない。
・例の2つ目の著作例ではm1.1とm1.2/e1.1とe1.2は違うのか。
・w1.1とe1.1とは同期するのか。
・前半が日本語で,後半が英語などはどうなるのか。前半が紙媒体,後半がCDなどの別媒体の場合。
・複数のexpressionから1つのworkがあるのかどうか。
・1つのexpressionとはどのようなものか。