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整理技術研究グループ勉強会記録(2003年度)

「最近における目録規則改訂動向」第4回


日時:
2003年5月30日(金) 19:00〜
会場:
日本図書館研究会事務所
発表者 :
河手太士氏(大坂樟蔭女子大学)
テキスト:
古川肇, 「ISBD(ER)への案内」『整理技術研究』, 41号, pp.45-49, (1999).
出席者:
川崎(仏教大学)、田窪(近畿大学)、渡邊(神戸大学附属図書館)、蔭山(帝塚山大学図書館)、安威(梅花女子大学図書館)、村井(京都精華大学情報館)、河手(大阪樟蔭女子大学図書館)

ISBDにおける電子資料
1)機械可読資料としてISBD(NBM)の中で非図書資料に含まれる
2)1995年にISBD(CF)として公刊
3)1997年にISBD(ER)として公刊

○序言
電子資料の発展の中でも以下の諸点が顕著である。
1)インタラクティブ・マルチメディア(IM)の出現
2)光学技術の進歩
3)インターネット及びWWW上のリモート・アクセス型資料の利用可能性
4)電子資料の複製

○エリア0
0.1.1 適応範囲
電子資料=「コンピュータによる操作のために記号化された資料」
 IMに固有の一般誌料表示を与えていない ← IMに関わる規定が多く含まれる
複数のISBDにまたがる資料は適切なISBDに拠る
  ↓ 
ISBD(ER)を十全に適応した後他のISBDを適応する
 ★一番最初にISBD(ER)を適応する(farst make full use)

0.2 定義
使いやすさを考慮して、一般資料表示・ファイル内容を示す用語・特殊資料表示は付録Cに移した。

0.5.1 情報源の優先順位
IMとリモート・アクセス型の記述対象に対応するためにISBD(CF)に本質的な変更を加える。
部分的にガイドラインのセクションDとAACR2Rに由来する。
(1)内部情報源が最優先する
(2)圧縮されていたり読み取れなかったりするリモート・アクセス型の記述対象は、プリントアウトなど処理された後の資料から情報を得る。
(3)情報の詳細度がまちまちな複数の情報源を有するときは、最も詳細な情報源を選択
(4)内部情報源が不十分か利用できないときは、次の順位で他の情報源を選択可能
  形態的キャリアに顕著に貼付・印刷されているラベル
  文字資料、容器などの付随資料
(5)複数の分離した部分からなる資料は、全体に適用できる情報を与え総合タイトルを含む情報源を優先する。
(6)必要な情報源がどの情報源からも得られないときは、次の情報源をこの順位で優先する。
 当該資料に関する公の記述
 それ以外の情報源

0.5.2 規定の情報源
第1・2・4・6エリア…内部情報源・形態的キャリア上のラベル・文字資料・容器・その他の付随資料
第3・5・7・8エリア…あらゆる情報源

○エリア1
1.2 一般資料表示
"Computer file"から"Electronic resource"に改めた。
 ←普遍的、目録関係者以外の人にも分かりやすい、リモート・アクセスと直接アクセスに適切な語

○エリア2
2.1 版表示
次の相異は異版とみなさない
(1)形態的キャリアの種類やサイズ
 例) カセットとディスク、9cmディスクと4cmディスク
(2)プリンタ関連のファイル形式
 例) ASCIIとポストスクリプト
(3)システム関連の形式 
(4)文字コードや記録密度の相異
(5)出力媒体や表示形式
 ★キャリアの変更(例,豪華版等)は異版とみなされてきたのか、
  なぜISBD(ER)ではキャリアの違いが異版とならないのか?
  →理由がISBD(ER)に記述されていないのではないか。
  複数の版表示を持つ記述対象は、全体に関連する版表示を採用
  リモートアクセスされる資料で、頻繁に更新されるものは、版表示を省略し注記する。
 ★「頻繁に更新されるもの」はISBD(CR)によって記述される。ISBD(CR)では版表示が
  省略される。CRが前提にあるならばERにこの記述は必要ない。
  ERとCRの関係を追跡する必要があるのではないか。
  version,level,release,updateなどの語を版表示とすることができる。←断定を回避

○エリア3
3.1 ファイル内容
ファイル内容を示す用語…3階層、30種類(付録Cにリスト)
付録Cのリストを以下のいずれかの方針で使用する。
 1)最上階層の3語の中のどれかを採用
 2)リスト中から特殊な大部を選択。適切な表示がない場合は補う。
 一般資料表示を採用する場合は、冒頭のElectronicを省く。

3.2 ファイルの大きさ
資料が圧縮形態の場合は、省略可能

○エリア4
published itemとunpublished itemを区別なく単に情報の有無に応じて記録する。
4.4 出版年、制作年、頒布年
流動的な資料…資料に現れる年月日を注記しても良い。
複数の版権登録年を含む資料(IMなど)…最新の年を採用

○エリア5
改訂内容
1)リモートアクセスのみ可能な電子資料…形態に関する記述を行わない。
 物理的細目や附属資料は注記に記録する。
2)異なる型・大きさの形態的キャリア(physicial carrier)、出力媒体・表示フォーマットで利用可能な資料の記録
(1)異なる形態的キャリアを同一の書誌的記録の中に記録
 ア)形態的キャリアごとに改行 
 イ)形態的キャリア別に列挙
  ★表現形を主体とするAACR2の記録方針と類似している。
(2)形態的キャリアごとに書誌的記録を作成
3)複数別種の形態的キャリアをもつ資料…「同一の書誌的記録で形態的キャリアごとに改行」という方法で書誌を作成
4)光ディスクの表示…optical discの導入 ← diskを磁気ディスクに限定
5)optical discの種類を識別するための CD-I,CD-ROM,Photo CDのどれかを付与しても良い
6)一般資料表示を採用するときは、特定資料表示の冒頭Electronicを省略
7)異なる大きさの複数の形態的キャリアなる資料…ハイフンをもちいて記録

○エリア7
改変点
1)「システム要件に関する注記」と「アクセス方法に関する注記」がこの順で他の注記に優先
2)本タイトル情報源は必ず記録する
3)ファイルの性質・目的等に関する注記は、エリア1に関する注記として扱う←理解しがたい
 ★この注記はエリア3の内容が少し詳しくなったぐらいのもの。
4)書誌的来歴を記録する注記の新設
5)システム要件に関する注記…ローカル・アクセス電子資料で必須
 System requirements(もしくは同義語)で始める。
 適用機種などを一定の順序で記録しセミコロンで区切る。
 複数の形態的キャリアからなる場合はキャリアごとに別の注記を作っても良い。
6)アクセス方法に関する注記…リモート・アクセス電子資料で必須
 Mode of access(もしくは同義語)で始める。
7)流動的な資料で基盤となった版やissueは注記する。

★URLは注記(エリア7の「アクセス方法に関する注記」)で記述し、入手条件(エリア8)には記述されない。
 URLは入手条件(エリア8)に記述すべきではないか。