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整理技術研究グループ勉強会記録(2003年度)

「最近における目録規則改訂動向」第9回


日時:
2003年8月29日(金) 19:00〜
会場:
日本図書館研究会事務所
発表者 :
蔭山久子氏(帝塚山大学図書館)
テキスト:
ISBD(CR) 〈http://www.public.iastate.edu/~gerrymck/SLv41n3-4.pdf〉
 "4 Publication, distribution, etc., area"
出席者:
吉田(帝塚山学院大)、蔭山(帝塚山大学図書館)、村井(京都精華大学情報館)、河手(大阪樟蔭女子大学図書館)

4 Publication, Distribution, etc., Area (pp.54〜60)

S:ISBD(S)にある事項
A12:AACR2 12章にある事項
A12+:A12+は1978版になく、2002版にある事項

4 出版、頒布などのエリア
イントロダクション (ISBD(S)では「逐次刊行物」)
 このエリアは継続資料の物理的製作と頒布について(商業的)責任を持つ個人または団体を含む。
内容            
4.1 出版地、頒布地   (S,A12+)
4.2 出版者名、頒布者名  (S,A12+)
4.3 頒布者の役割表示   (Sはオプション,A12+)
4.4 出版年、頒布年    (S)
4.5 印刷地、製作地    (Sはオプション)
4.6 印刷者、製作者    (Sはオプション)
4.7 印刷年、製作年    (Sはオプション)

区切り記号パターン (S,A12+)
A このエリアは、ピリオド、スペース、ダッシュ、スペースに続けて記載する。 (S)
B 2番目以降の出版地、頒布地などは、スペース、セミコロン、スペースに続けて記載する。(S)
C 出版者、頒布者などは、スペース、コロン、スペースに続けて記載する。 (S)
D 並列情報はスペース、=、スペースに続けて記載する。
  ★AACR,NCRでは用いられていない区切り記号  
E 補記された頒布者の役割表示は、[ ]で囲む。 (S)
F 出版年、頒布年などは、コンマ、スペースに続けて記載する。 (S)
G 継続資料の最初の号か最初の更新(=出現時期)がされた出版年の後ろのハイフォンは、その出版年と最後の号か最後の更新がされた出版年とを結んでいるか、あるいは資料が継続中であることを示す。(ISBD(S)では逐次刊行物のみ)
H 印刷または製作地、印刷者または製作者、印刷年または製作年は丸括弧( )で囲まれる。
 丸括弧の中はB,C,F,と同じ区切り記号が使われる。
規定の情報源
 継続資料全体 (ISBD(S)ではタイトルページ、カバー、巻頭見出し、題字欄、エディトリアルページカ、奥付、その他のページ,A12+(1.4.A2))
4.0 出版表示は記述対象の継続資料のそれである。複製本、写真、マイクロ写真、デジタル資料の記述において複製物の出版表示は出版、頒布などのエリアに記述する。原資料の出版表示はエリア7(注記エリア 7・2・4・2)に記述する。 (ISBD(S)ではデジタルはなし)更新資料の最初と(または)最後の更新の出版年はエリア4に記述され、他の出版年はエリア7(注記7.4.2.2)に記述する。

4.1 出版地、頒布地  (S,A12+(1.4C))
・出版地あるいは頒布地は、継続資料中に、出版者と/もしくは頒布者名とともに表示されている地名(市、町、村)あるいは他の団体名と結びつけられている地名のことで(2以上の出版者名があるときは、顕著な出版者名)ある。情報源において、出版者の表示がなくても、その出版物の出版地(もしくは頒布地)として示されていることがある。(S)
・もし継続資料中に表示されている情報が間違っているとわかったら、訂正は〔〕に入れて示される(0.14)かあるいはエリア7(7.4.1)に記述する。(S)
・1つの出版者あるいは頒布者に結びつく2つ以上の出版地があるとき、印刷の体裁上より目立った地名が記述される、あるいは体裁に差がなければ最初に表示されている地名が記述される(4.2.1)。印刷体裁上の差がなく、地名が連続して表示されていないようなら、目録の利用者にとって重要と考えられる地名を記述する。(S(後半なし))
・2番目以降の出版地の記述は任意である。
・2番目以降の出版地が除外されるとき、省略は"etc."で表示するか、同義の他の文字で書くか角括弧"〔 〕"で囲む(4.2.3)(オプション)(S)
・2以上の出版者が表示されているとき、それぞれの出版者の出版地が出版者名のすぐ近くであれば記述し、そうでなければ最初の出版者の出版地と同じとして扱う。(S)
・出版者と頒布者両方が表示されているとき、頒布地は出版地とちがっていれば記述する。(S)
・出版地と/あるいは頒布地は継続資料に表示されているとおりの正書法と、文法上の格で記述される。(S)
・識別上必要があるときは、出版地あるいは頒布地に国名、州名を限定詞として付記する。規定の情報源からの書き写したものは丸カッコ"( )"で囲み、それ以外の情報源からのものは角カッコ"〔 〕"とする。もし識別上必要があるときは、出版者あるいは頒布者の住所を地名に丸カッコで付記する。(S)
・識別上必要があるときは、地名の別名あるいは訂正されたものは角カッコで補記する。(S)
・継続資料の出版地あるいは頒布地が2以上の言語か文字で表示されているときは、本タイトルの言語、文字の地名を記述する。この基準があてはまらないときは印刷の体裁上顕著なものを、印刷上の体裁でも差がないときは最初に表示されているものを記述する。 (S)
・並列事項はスペース、=、スペースで記述する。(オプション)これらの事項(並列事項)を記述しないなら、なにも指示しなくてよい。 (S,A12には並列はなし)
・出版地あるいは頒布地が継続資料のどこにも表示されていないとき、既知の都市名を角かっこで補記する。都市名が確かめられないときは推定の都市名を疑問符を付け、角かっこで補記する。(S,A12+(1.4C6))
 ★「電子資料の組織化」9章改訂案には「調査もしくは推定による」とあり。
・都市名を記述できないときは都市名に適用起用できる同様の取り決めに従って、州名、地方名、国名を記述する。(S,A12(1.4.C6))
・出版地を記述できないときは、略語“s.l.”あるいは他の文字でこれに相当する語を角かっこで囲んで補記する。(S)
・出版地、頒布地の変更 (A12+)
 逐次刊行物
 出版地、頒布地が刊行継続中の巻号で変更したら、識別に必要かもしくは目録利用者にとって重要と判断されるなら、後の出版地を注記(7.4.2.1)する。(A12+(12.4C2 a))
 更新資料
 出版地、頒布地が継続更新(iteration)中に変更したら、記述を変更し、識別に必要かもしくは目録利用者に重要と判断されるなら前の出版地を注記(7.4.2.2)する。(A12+(12.4C2 b))

4.2 出版者、頒布者 (S,A12+(1.4D))
・継続資料中に2以上の出版者名があるときは、印刷の体裁上より顕著なものを出版者とする、もし印刷体裁上の差がないときは、最初のものを出版者とする。もし印刷体裁上の差もなく、連続してその出版者が表示されていないのなら、目録利用者にもっとも重要と考えられる出版者を記述する。(4.2.7)
 (ISBD(S)では「目録利用者」ではなく、「書誌作成機関」)
・2番目以降の出版者は記述は任意である。(オプション)S
・2番目以降の出版者が除外されるときは、省略は角かっこで囲んで“etc.”と表示するか、同義の他の文字で書いてもよい。(4.1.5)(S)
・出版者と頒布者双方の名前が規定の情報源に表示されているときは、頒布者の記述は任意である。頒布者が他の情報源に表示されていても注記に記述する(7.4.1)頒布者しか表示されていなかったら、記述しなければならない。 (S)
・出版者、頒布者名は識別可能であいまいさが排除されるのであれば短縮形で記述することがきる。(S)
・出版者、頒布者の名前がエリア1に完全形があるとき、完全形をエリア4に繰り返えさなくてもよく、短縮形、出版者名に付されている法人組織などを示す語は省略することができる。(S)
・継続資料中の出版者、頒布者が2以上の言語、文字で表示させているときは、本タイトルの言語、文字の名前形が記述される。この基準があてはまらないときは印刷体裁上顕著な名前を記述する。印刷体裁上の差がなければ最初の名前が記述される。(S)
・並列表示(オプション)はスペース、等号、スペースに続けて記載できる。
(オプション)これらの事項を記述しないのなら、なにも指示しなくてよい。(S)
・印刷者は出版者、頒布者が不明のときの代替としては記述しない。しかし個人や団体が、印刷や製作の活動を出版や頒布と兼ねているとき、あるいは責任性が不確かなとき印刷者はさらに出版者とみなされる。(S)
  例: .− London:Oxford University Press
    ..− Paris:Imprimerie nationale
・出版者や頒布者としての名前が記述できないときは、角カッコで囲って略語“s.n.”(sine nomine)またはこれに相当する他の文字で補記する。(S)
・出版者、頒布者の変更 (A12+(12.4D2a))
 逐次刊行物 継続刊行中に出版者、頒布者に変更があれば、識別に必要かもしくは目録利用者に重要と判断されるなら、後の出版者、頒布者を注記(7.4.2.1)する。(A12+)
 更新資料 継続更新中に出版者、頒布者に変更があれば、最新の更新を反映して記述は変更され、識別に必要がもしくは目録利用者にとって重要と判断されるなら、以前の出版者、頒布者は注記(7.4.2.2)に記述される。(A12+)

4.3 頒布者の役割表示 (S(オプション),A12+(オプション))
・規定の情報源が、出版事項の必須の部分として頒布者の果たしている役割の表示を含んでいるときは、表示は完全な形で転記される。(S)
・頒布者が果たしている役割が明確でないときは、活動の性質を述べる簡潔な語句を角カッコで囲んで付記できる。(オプション)(S)

4.4 出版年、頒布年 (S,A12+(1.4F8,12.4F1,12.4F2.))
・出版年、頒布年等のエリアは継続資料の出版歴に関する年を含んでいる。
・逐次刊行物に関しては、出版年は初号と終号の出版の年である。これらはエリア3に記述される日付の範囲と一致するかもしれないし、それらの日付とも一致するかもしれない。初号の出版年が記述され、ハイフォンが続く。完結した逐次刊行物を記述するときは初号の出版年と終号の出版年が、ハイフォンで分けて記述される。
 初号が入手できない完結した逐次刊行物を記述する場合、終号の出版年はわかっていればハイフォンで先行されて記述される。記述が初号と終号以外の巻号から成り立っているとき、初号、終号の出版年は、もし書誌作成機関やその他の情報源で見つけられたり、容易に確かめることが出来たり(4.4.8)したら、エリア4に角カッコに囲んで記述する。(オプション)
 初号、終号の出版年が入手できないときは、それらをエリア4から除外する。このような場合出版年に関する情報はエリア7(7.4.1)に記述する。(オプション)
・更新資料 表示されている初回の出版年は、更新資料が最初に入手可能となった年である、もしわかれば。完結した更新資料を記述する場合、もしわかれば、中止になった年も記述する。
 更新中のルーズリーフ・・・表示されている初回の出版年は版、改訂等が最初に出版された年である。完結した更新中のルーズリーフを記述する場合、表示されている中止の出版年は主な情報源に表示されている年である。もし容易に確かめられるのであれば、最後に更新した出版年も記述する。
  例), 1990-1995 [last updated 1999]
 ★例の"1995"は情報源に基づく最新の情報。角括弧の中はもっとも最近に行われた差替えの情報。
 ★Webサイトの出版年はアクセスできるorできないという状態に影響されない
  →アクセスできないという情報を記述するエリアはISBD(CR)では規定していない。
  ←「アクセスできない」ということはISBDによる記述の範囲外にあるという考え方があるのではないか。
 ★基本的にWebサイトについてはISBD(CR)ではなくISBD(ER)に基づく記述となるのではないか。

・グレゴリウス暦の出版年はアラビア数字で記述される。グレゴリウス暦以外の出版年は規定の情報源に表れているように記述し、立証することが出来るグレゴリウス暦と同等の出版年を角カッコで囲んで付記する。継続資料中に異なる暦で表わした出版年があれば、スペース、=、スペースで分けて全ての出版年が記述される。(S(4.4.2))
・規定の情報源に表示された出版年が間違いであるとわかっている場合は、表示されている通り記述し、正確な年は角かっこで記述される。(S(4.4.3))
・出版年、頒布年がわからない場合は、著作権登録年あるいは印刷年を出版年の場所に記述する。どちらの年もその旨表示する。(S(4.4.4))
 逐次刊行録音物の場合は、“p”(phonogram)年はこのように転記する:
  例),p 1985-  (S(4.4.4))
・著作権登録年は、目録利用者に重要と判断されるときは、出版年、頒布年に付加して記述する。 (S(4.4.5))
・出版年、頒布年、著作権登録年、印刷年が表示されていない場合は、容易に確かめられるのであればおおよその出版年を角カッコで記述する。 (S(4.4.6))
・継続資料中の出版年の不揃いはエリア7で指示される。(7.4.1)

4.5 印刷地、製作地 (S(オプション),A12+(12.4G,1.4G))と
4.6 印刷者、製作者 (S(オプション),A12+(12.4G,1.4G))

・出版地、頒布地と出版者、頒布者が不明で、印刷地、製作地や印刷者、製作者は継続資料中に表示されていればこれらは記述される。情報が継続資料外から得られたときは角カッコで囲こむ。 (S)
・継続資料中に印刷地、製作地と印刷者、製作者が表示されている場合、これらは次の項目:出版地、頒布地と出版者、頒布者のどちらかあるいは両方ともに付加して記述してもよい。(オプション) (S)
・2以上の印刷地あるいは製作地、2以上の印刷者あるいは製作者が表示されている場合は、同じ出版項目は2以上の出版地あるいは頒布地、2以上の出版者あるいは頒布者とみなされる。 (S)

4.7 印刷年、製作年 (S(オプション))
・印刷年、製作年が出版年、頒布年の位置に表示されている場合(4.4.7)、ここには繰り返さない。 (S)
・印刷年、製作年がすでに表示された年(出版年、頒布年、あるいは著作権登録年)と違う場合、印刷年、製作年は記述してもよい。(オプション) (S)
・印刷年、製作年は、印刷者、製作者に続く項目としてか、またはそれだけでも記述してもよい。後のケースではその日付を明確にするため単語が簡潔な句が付加される。(オプション)(S)

4.8 変更 (A12+(12.4G2)では「製作地、製作者の変更」)
・4.1.16における指示は出版地、頒布地の変更についてであり、4.2.11は出版者、頒布者の変更についてである。