整理技術研究グループ勉強会記録(2003年度)
「最近における目録規則改訂動向」第11回
- 日時:
- 2003年9月26日(金) 19:00〜
- 会場:
- 日本図書館研究会事務所
- 発表者 :
- 川崎秀子氏(佛教大学)
- テキスト:
- Ingrid Parent. "From ISBD(S) to ISBD(CR) : A Voyage of Discovery and Alignment" Serials Librarian, vol.43, no.4(2003) p.1-15
- 出席者:
- 吉田(帝塚山学院大)、杉本(大阪市立大学)、蔭山(帝塚山大学図書館)、川崎(仏教大学)、渡邊(神戸大学附属図書館)、河手(大阪樟蔭女子大学図書館)
Introduction
・ISBD(CR)は4年間の検討が行われ刊行された。
・1988年に刊行された前の版(ISBD(S))から14年後に多くの変更点を含み刊行された。
Background
・IFLAの目録部門は1935年から存在し、いくつかの書誌基準やガイドラインを作成してきた。
・目録常任委員会を通じて目録部門が作成したISBDsが全世界で用いられている。
・1969年コペンハーゲンでの目録専門家国際会議
世界的な書誌コントロール、書誌レコードのデータエレメントの順序と区切り記号の決定
・1972年までにいくつか国立の書誌作成機関や目録規則に図書のための標準書誌記述つの予備版が採用される。
・1978年 ISBDsの普及と妥当性を維持ずるために5年ごとの見直しプロセスが確立
・ISBDsの改訂作業の中で、新たなフォーマットの資料に対応するために、特定のISBDを取りやめたり新たなISBDを作成することがあるかもしれない。
★例 ISBD(S)からISBD(CR)の改訂
・ISBD(S)のワーキンググループは1998年に発足しメンバーは9つの国からきている。
Alignment of the "stars"
・改訂作業の中で、ISBD(S)、AACR、ISSNという3つの貴族の調和を図った。
・インターネットの成長や資料の新たなフォーマットに対応する逐次刊行物目録に独自のエリアを作る。
・3つの規則の調和により、目録作成者だけではなく逐次刊行物書誌情報の利用者に多くの利益をもたらす。
Issues for Review
・ワーキンググループにより以下の問題点について考察が行われた。
- Scope of ISBD(S)
- Definition of a serial
- Sources for description
- CHanges requiring new records
- Multiple format issues
- Relationship of title partice between ISBD(S) and ISSN
- Transcription versus Identification
- Key title as benchmark
・ISBD(S)ワーキンググループはAACRの改訂(1997年の改訂)に同意した。
AACRの改訂で同意した部分・・・本質的に更新している刊行物という新しい概念をカバーする連続性の範囲の拡張
・「更新資料"integrating resource"」という用語を造る。
「更新資料」・・・統合している出版物(ルーズリーフのようなもの)と新たに出版されるのではなく更新されていく出版物(Webサイト)を含む資料
・「逐次刊行物"serial"」の定義の改訂
「逐次刊行物」・・・数字や年代順が表示され、終号が決められていない継続的な資料。
・「更新資料」と「逐次刊行物」は「継続資料"continuing resource"」を構成する。
「更新資料」・・・終りが決められずに発行される書誌的資料
・「更新資料」はISBD(S)によってカバーされる出版物なので、ISBD(S)からISBD(CR)にタイトルが変更されてた。
・「更新資料」の範囲の拡張
→異なる特性を持つ「逐次刊行物」と「更新資料」を異なる方法で取り扱わなければならないことが明らかになった。
★既にワーキンググループの検討の中で2つの資料の違いが意識されている。
・「逐次刊行物」での記述の基盤・・・初号は安定した記述を提供するので、これを記述の基盤とし、後で生じた変化は注記に記述される。
・「更新資料」での記述の基盤・・・最新の更新状態。
←タイトルを含んでいる情報が消えてしまうかもしれないので、「最初」とか「号」という概念が当てはまらない。
更新資料の記述を2つの異なるアプローチがあることは混乱をもたらすのではないか?
逐次刊行物についても最新状態へに基づいて記述するように決定する時期だったのはないか?
逐次刊行物と更新資料に関して別々の規定の必要性の排除によって標準規定を簡単にするだけではなく、最新の出版情報をについて注記よりも頒布などの情報のエリアで提供されるようにすることができる。
これらの疑問は基準が改訂されるたびに持ち出されるだろう。
★「2つの異なるアプローチ」・・・記述の基盤が一方は「初号」で他方は「最新状態」
★逐次刊行物と更新資料をまとめる事が前提
→記述の基盤について議論はあったが、まとめられないということになった。
★記述の基盤を統一すれば規則をかなり単純化できるという考えがあったのではないか。
・利用者の情報へのアクセスを改善する共に、タイトル変更の場合の数の削減と目録作成の時間と労力のバランスをとる必要がある。
・主なタイトルの変更は、重要な最初の5語に変化があったときと定める。
→英語以外の言語でも適用できる規則。
・ISBD(S)の「小さな変更」の拡張
番号付けにリンクしたタイトルのいかなる語の追加、削除、変更
主題が同じならばタイトル中の語順の変更や語の削除
資料のタイプを表す語("newsletter"や"journal"など)の追加、削除
「大きな変更」か「小さな変更」かわからないときは新しい記述を作成しない
Key title/Uniform title as benchmark to determine major schange
・ISST(International Standard Serial Title)・・・キータイトルと統一タイトルをあわせたもの
・ISSTはAACRの統一タイトルとISSNの既存のキータイトルに置き換わる。
★AACRの統一タイトルは基本記入の考え方に基づいているので、ISSNのキータイトルとの整合性が取れるかどうか疑問がある。
・ISSN番号をもつISSTは継続資料の識別とタイトルの変更による新たな記述の作成の目安として役 立つ。
★ISSNや統一タイトルを考える対象が文の初めでは"serial"だったが、途中で"continuing resource"に変わっている。ISSNやISSTの対象となる資料がひろがるかどうかの結論がないためにすり替えが行われているのではないか。
・統一タイトルとキータイトルの差は小さいものではなく、この2つを統一するのは困難。
→「将来の考察」とする。
・新たな出版形態の型、新たな定義、新たなOPACの表示可能性、同時期に改訂される単行資料のISBDとの互換性の保持のため、改訂作業は終わることがない。
・ISBD(CR)の改訂作業は、AACRとISSNの改訂作業と連動したものであったと考えている。
・AACRとISSNマニュアルの改訂、ISBD(CR)のリリースによる図書館、利用者の利益
1)全国書誌と国際的な書誌の共有化の機会の増加
2)国際的な共同作業やプロジェクトの可能性が増加
3)逐次刊行物の標準の継続的な維持と共同での問題解決を共有
4)逐次刊行物の記述規則により、利用者や目録作成者が資料の識別や発見する場合の混乱を取り除く
5)全国書誌作成機関はISSNを登録するために作成したレコードを用いることができる
→現在ではISSNのためのレコードと目録用のレコードを作成している機関がある