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整理技術研究グループ勉強会記録(2004年度)

「目録規則再構築の動向」第1回


日時:
2004年2月12日(木) 19:00〜
会場:
日本図書館研究会事務所
発表者 :
蔭山久子氏(帝塚山大学図書館)
テキスト:
鹿島みづき 「MODS:図書館とメタデータに求める新たな選択肢」『情報の科学と技術』 53(6), p.307-318 2003
出席者:
蔭山(帝塚山大学図書館)、吉田(帝塚山大学)、掘池(京都大学学術情報メディアセンター)、田窪(近畿大学)、村井(京都精華大学情報館)、杉本(大阪市立大学)、 川崎(仏教大学)、安威(梅花女子大学図書館)、進藤(京都大学附属図書館)、渡邊(神戸大学附属図書館)、河手(大阪樟蔭女子大学図書館)

Greenherg, Janeのメタデータの定義(2002)
「メタデータとは、ある実体(entity)に対する構造的データ(structural data)でその実体に関わる機能
を維持するものである」
図書館資料がいかにデジタル化されたとしても、従来の図書館資料がすべてデジタルファイルにとってかわられ廃棄されるとは考え難い。
メタデータと書誌データの共存が自然な選択肢になる。
ダブリンコア(DC)の開発は図書館関係者が中心的な立場を担ってきた。

DC,MARC,NACSIS-CAT,AACR2の記述要素の対応表を作成。
2003.02,18現在「愛知淑徳大学 メタデータ記述作成ガイドライン」MODSもふくめ V.7.4を公表

上記の作業からわかってきたこと
・メタデータであっても主題分析と主題付与が必須要素である。
・発信者に関する情報は従来の紙媒体のもの以上に重要になるので、固有名(人名・団体名)の典拠コントロールの必要性が一層高まった。
・DC記述における分かち書きやローマ字表記などを含む日本独特のニーズに配慮すること、資源タイプの表現方法などの問題点を早期に解決する。

2002.3 LC MODS(Metada Object Description Scheme)を発表
  開発の中心人物 Rebecca S. Guenther (DCMIのLibrary Group のリーダでもある)
2003.1 Guenther 『Portal:Libraries and Academy』誌に論文発表。
2003.2 MODS v.2 公開
2003.12 MODS v.3 公開

Guenther論文の紹介
LCは以下のものを開発した。
・MARCXML…MARCの要素をすべてISO2709の形式でXMLシンタクスに変換させることができる
・MODS…MARC要素のサブセットで構成され、MARCよりもシンプルで数字ではなく言語タグ(言葉によるタグ)で表現できる

MARC21に対する批判…「使いにくい」
 ↓
MODS 図書館重視のメタデータである。XMLで表現させることで従来のMARC以上に多方面での利用が期待できそうなメタデータ。
 またMARC以外のメタデータスキーマにも対応できるように構成されている。

MODSの特徴
・MARC21のサブセットとして構成されているためMARCになれている人に理解しやすい。
・MARC21に対応するエレメントやサブエレメントのセマンティックスがMARC21に準じており、MARC21との互換性が高い。
・MARC21のように特定の目録規定の使用を原則とするものではないが、必要であれば、AACR2をはじめとする統制された名称や件名標目を使用することも可能であるし、まったく何も使用しないか
 その中間あたりの基準でいくのかを自由に選ぶことができる。
 ★他の目録規則(セマンティックス)を使わなくてもよい→セマンティックスの側面ももつ
・MARC21との互換性は高いがすべてのエレメントをそのまま採用せず、統一したり、割愛したり、集約したり、複数のエレメントに対して同じ定義を使用することができる。
 ★多重構造性を表現する
・MARC21とは相互互換ではない。
 ★MODSはMARC21の"ほぼ"サブセット
・サブエレメントの利用により、DCでは表現できない多重構造を簡単に作成でき、サブエレメント間の関係を確実に表現する事ができる。
 (DCが多重構造を表現できないのはDumb-Down原則に反するから)
・MARCからMODSへの変換を行ったとしてもデータを失うことはないが、DCに変換すると失われる。

MODS利用の展望
アメリカでは「多種多様で複雑なデジタルリソース」の記述と検索を可能とするため、ZINGのSRW,MODS,METSが有望視されている。

MODSに管理メタデータ(Administrative Metadata)を盛り込むことが検討されている。

MODSの試験運用
AV Prototype Project, Minerava Project, University of Chicago Press, California Digital Library

結論
標準的記述言語のXMLの出現により、新しい環境でのMARC利用を再考する時がきた。
MODSは、MARCエレメントセットがもつ豊かさを残し、MARCのシンタックスと文字ベースのタグで表現される。そしてXMLに置き換えることによって、図書館で蓄積されてきた大量のMARCの書誌レコードに匹敵する豊かなリソース記述を可能にすることができた。