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整理技術研究グループ勉強会記録(2004年度)

「目録規則再構築の動向」第3回


日時:
2004年3月17日(水) 19:00〜
会場:
日本図書館研究会事務所
発表者 :
河手太士氏(大坂樟蔭女子大学図書館)
テキスト:
古川肇「『英米目録規則 第2版』の改訂の現状と将来:国際目録規則への動向」 『資料組織化研究』No.48, p.31-36 (2003)
出席者:
吉田(帝塚山学院大学)、蔭山(帝塚山大学図書館)、進藤(京都大学附属図書館)、渡邊(神戸大学附属図書館)、河手(大阪樟蔭女子大学図書館)

1.「AACRの原則と将来の展開に関する国際会議」(1997)後のアクション・プラン
 (1)モデル化の手法を用いたAACRの原理と構造の論理分析
 (2)AACR2の諸原則のリスト
 (3)逐次性(seriality)に関する規定の改訂
 (4)物的形式(physical format)に対する知的内容の優越に関する議論を推進する為の条項0.24の改訂
 (5)AACRウェブ・サイトの維持とJSCの方針などの広報
 (6)JSCの使命の文章化の展開
 (7)英米圏外におけるAACR2利用に関する調査の確定と実施

2. 国際会議以後の改訂
・複製物の記述対象に関する条項0.24の改訂・・・複製物の諸側面を対等に記述するとの趣旨に改訂
・第3章(地図資料)改訂・・・第3エリアに追加条項
 3.3E Type and extent of resource
 3.3F Digital graphic representation
 3.3G Numberingrelated to serials
 (EとF・・・電子資料の側面 G・・・逐次刊行物の側面)
(批判)
・なぜ地図資料に限って電子資料や逐次刊行物における第3エリアの規程を追加するのか。
・ラスタやベクタの種類を記録する3.3Fは地図資料特有ではなく電子資料としての静止画全般にありえる。

3. 検討中のテーマ
(1)FRBRの用語との結合
  expression、manifestation・・・AACR2にとって新しいもの
  item・・・FRBRの定義と一致せず議論が集中
(2)フォーマット・バリエーションの取り扱い
 表現形を本体とする書誌レコード(expression-based records)に基づく検討
  →この種のレコードは退けるとの結論
 別々の体現形レベルの書誌レコードを表現形レベルにおいていかに集中するかという議論を追求。
(3)「一般的序論」および「序論」の書き換え
 FRBRの用語を用いた「一般的序論」と(各部への)「序論」の起草
 「一般的序論」に目録の原理・基本概念・目的を含める。
 目録の原理等はBarbara B. Tillettが担当して起草・・・Svenoniusの著作に依拠
(4)第I部の横断的な整合性
 第I部内の横断的な首尾一貫性を吟味
 第2章から第12章までに存在する通則的な規則を第1章に移行
(5)一般資料表示の検討
(6)第9章の再定義
 新たな見直しの構想・・・範囲(名称)を現在より狭める
 "Computer Software, Numeric Data, Computer-Oriented Multimedia, and Online Systems and Services"
  様々な資料の電子的キャリアを記述する規定は他章に分散させる
(7)第21章の改訂
 Delseyの7項目の勧告に基づいて全体を書き換え
 1)アクセスポイントの選択と統一タイトルの使用に関する規則の制定
 2)"authorship"の再評価 ("rule of three"を含む)
 3)個人と団体の付加的な関係を反映する必要性と新たな形式の知的芸術的な表現やマルチメディアでのアイテムの内容の評価
 4)より一般的な著作や表現形を識別する規則の開発
 5)"rule of three"による制限の再評価
  ★第21章の問題ではないか?記述とは無関係に標目を選択するのか?
 6)著作間の関係を効果的に表すことができる規則の開発
 7)規則を単純化し第21章の規則を再検討すること
(8)典拠コントロールに関する第III部の新設
 現第22-25(標目の形に関する章)を第III部として再構築・・・米国議会図書館の提案
  ★FRBRでは実体としてとらえている。
 第25章(統一タイトル)を著作だけではなく表現形をも対象とする章に改訂
  ・・・フォーマット・バリエーション作業グループの試み
  ★現状と同じではないか。現状では統一タイトルにより著作を集めることができる。
コンピュータ目録・・・記述と標目との境界があいまいに
  →アクセス・ポイントのうち典拠コントロールの対象とするもののみを別の部で扱おうとする意図なのか
(9)その他
 1)カード目録に根ざす基本(副出)記入main(added) entryの別の語への変更
 2)多巻ものに関する規定の新設
 3)"Considered to be important"という語句の修正

4. 今後
(1)新版への発進
 2006年にAACRの新版を刊行予定(2003年9月30日付)
 新版の"major changes"
 1)FRBRの用語及び概念との結合
 2)改訂された概念的な序論
 3)構成が再構成された第I部
 4)典拠コントロールを扱う第III部
 5)改訂された第21章
(2)国際目録規則への指向
 AACR新版制定と国際目録規則の構想を結び付ける人物・・・Barbara B. Tillett
 Tillettの構想
  IFLA総大会の開催地が属する地域の目録委員会委員および目録専門家による国際会議を開催し国際目録規則を具体化させる。
  2003年 ヨーロッパ (開催地:フランクフルト)
  2004年 中南米 (開催地:ブエノスアイレス)
  2006年 アジア (開催地:ソウル) → 日本の目録関係者は対応を迫られるだろう