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整理技術研究グループ勉強会記録(2004年度)

「目録規則再構築の動向」第7回


日時:
2004年6月15日(火) 19:00〜
会場:
日本図書館研究会事務所
発表者 :
川崎秀子氏(佛教大学)
テキスト:
Ann Huthwaite "Class of materials concept and GMDs." In: First IFLA Meeting of Experts on an International Cataloguing Code/Papers.
 http://www.ddb.de/news/pdf/papers_huthwaite.pdf
出席者:
蔭山(帝塚山大学図書館)、川崎(仏教大学)、森岡(帝塚山大学図書館)、吉田(帝塚山学院大学)、渡邊(神戸大学附属図書館)、河手(大坂樟蔭女子大学図書館)

この文章は、
2002年8月 JSCの会合での議論のために作成
2003年4月 JSCのドキュメントとして公開されたもの。

Preface(序文)
2002年5月のJSCの会合での合意のに基づき、資料概念のクラスおよびGMDsに関連する問題の解決についての討論のための文章を作成した。この文章は、私(著者)の個人的な見解であり、議長ペーパーあるいはACOC(Australian Committee on Cataloguing)の文章ではありません。

The problem(問題点)
2001年の改正案では、規則0.24に関して新たな語法を含んでいます。それは、記述されるアイテム/資料のあらゆる側面(内容、キャリア、出版のタイプ、書誌的な関係性などを含む)を目録作成者が引き出せるように指示する。所定のエリアでは、あらゆる適切な側面が記述されることになってる。これらの指示は、物理的なアイテムの記述がそのアイテムが属する章にまず第一に基づかなければならないという以前の根本的な原則にとってかわっている。この原則は、アイテム/資料が優先的なクラスに属するということを意味する。0.24の変更にも関わらず、実際には根本原則はまだ存在してる。目録作成者は、いまだアイテム/資料が属する優先的なクラスを決定しており、その次に他の側面を扱っている。

"The Logical Structure of the Anglo-American Cataloguing Rules - Part I"の中でTom Delseyは、特に与えられるクラスの定義に使用される基準の中で、資料概念のクラスにある矛盾を強調した。コンテンツやキャリアや発行といった側面は決定要因として使用することができる。

特に問題点は、アイテム/資料が1つ以上のクラスを示す(例えば、ディジタル地図や電子ジャーナル、DVDの映画)ときに直面する。実際特徴の組が一つとして他のもの重要ではない場合、目録作成者は優先的なクラスの選択を強いられる。リモートアクセス電子s量を含む全ての電子資料のための9章の使用は、問題の他の組を示している。これらの資料の多くの特徴は、この章でカバーする資料のタイプ(例えば"program and data files"))よりも他の章の有形でこれに相当する物と密接に関連している。資料のタイプに9章の適用を限定することに関しては、矛盾しない場合もある。

The solution
新たな規則0.24については、主たるクラスにアイテム/資料を当てはめるための要件を放棄すべきである。また、「クラス」の概念は規則からとりのぞくべきである。アイテム/資料は多くの全て等しい重みをもつ特徴を有すると考えるべきである。

The barriers
実際、目録作成者が新たな0.24に従うことについて何がさまたげになっているのだろうか? アイテム/資料が優先的なクラスに属すると仮定する手続きや、そのアイテムが選択されたクラスや章に基づきどのように記述されるかに関する決定は多くある。それらは、次のとおりです。
主情報源及び規定の情報源の選択・一般資料表示の選択・エリア5(特に、特定資料表示)の記録

"コンテツvsキャリア"の問題についてPartIの再構築で多くの議論があった。
しかし、私の考えではこれは本質的なものではありません。PartIの整理は障壁ではない。(それは上にリストされた手続きの方法で具体化される)。PartIの整理は1つの目的を持ち、それは記述されるアイテム/資料の側面に適切な規則をすべて見つけ出すことを目録作成者に支援することである。これは、共通する特徴の組で資料のタイプを指示する総則および他の章をもって構造を保持することの意味付けをすることができた。

Removing the barries
障壁を検討し、これを取り除く解決策を示唆する。

1. Choice of chief source of information
それぞれ章には主情報源を決定するため指示が複数ある。第一の目的は、目録作成者が同じ情報源を選択し同じ記述をするという目録作成の一貫性をたもつことである。主情報源はいくつかの標目の構築おいても役割がある。特定の主情報源は最も完全な情報を提供する。ある場合には、資料全体が主情報源である場合がある(例えば電子資料)。

電子資料の主情報源は、2001年の修正でタイトルスクリーンから資料全体に変更された。この変更は、未決着のままである規則へ矛盾を導入した。実際、規則の異なる組は別々に発行された有形の資料の電子版に適用されている。このような矛盾は、多くに資料が複数のフォーマットで発行されるに従い、増大するであろう。

あらゆる場合において、目録作成者に最も完全な情報をもつ情報源を選択することを導くことにより、情報源の選択を単純化することができるかもしれない。目録作成者は規則で現在指定された情報源以外の情報源を選択することがしないであろう。例えば、本の標題紙はほぼ完全な情報を提供しているので、目録作成者はこれを選択する。単純な総括的な指示に主情報源の選択を変更することは、現在との違いがわずかになると思われる。しかし、この仮定はテストを必要とする。もし現行との明確な不一致がある場合、決定するために様々な資料で情報の情報源としてもっとも完全な情報を提供する情報源を使用する指示がテストすることを提案する。

2. Choice of prescribed source of information

同じ議論は規定の情報源の選択に適用することができる。多くの目録作成者が、このエリアの規則を適用する代わりに彼らの判断に頼っていることを示唆する。従って、この実施を同様にテストすることを勧告する。主情報源の選択において、それぞれの章の指示の複雑で冗長な組は、単一で一般的な規則に取り替えることができるかもしれない。規定の情報源の選択のための規則が、現行から不一致も引き起こさずに目録作成者の判断で取り替えることができるかどうかの決定を導くためのテストを提案する。

3. General material designations(GMDs)

GMDsに関連する多くの問題及び矛盾があり、これはJSCのBarbara Tillettの文章の中で概説されていた。
基本的な変更のための次の2つの提案が調査された。
・表現形で表現された書誌レコードのデバイスの使用
・エリア5および注記にキャリアの物理的なフォーマットや形式を表わす用語を移動させること
2002年5月のミーティングでJSCのメンバーはこの2つの提案の実現可能性について議論を行った。AACRのList2からの用語が表現形レベルであると認識された。存続する用語の多くはエリア5に再配置し、限定子として用いられているいつくかの語(例えば、"braille"や"electronic resource")は使用することができるだろうということになった。FRBRからの用語及び概念がAACRに導入される際、一般資料表示を表現形レベルの標識とし、特定史料表示を実現形レベルの標識とすることは論理的であり一貫している。

Tillettの提案の中でもっとも論争の的になっている側面は、書誌レコードの機械可読版で表現形を表わすためのデバイスをコード化する提案である。AACRはフォーマットやwrapperから独立して作用する標準であるが、これは規則のコード化データの概念の包含を排除するものではない。しかし、おそらく新しいエリアで、書誌レコードのテキスト部分に表現形レベルの標識を組み入れることはのぞましことかもしれない。

★"expression と mode of expression","manifestationとキャリア"を同一視するのはそもそも次元が異なるものであるので無理がある。

表現形レベルの標識は、FRBRで同定された表現形の標識を作成し、GMDsの現行のリストを包含しないだろう。

GMDを「解体」し、かつList2から表現形レベルの標識もしくは実現形レベルの記述に既存の用語を再配置するためのグループを形成することを提案する。このグループは、GMDsのリストから再配置された用語とFRBRで識別されたほかの用語の良法を含むあらゆる表現形を表わす表現形レベルの完全なリストを編集しなければならない。表現形レベルの標識が書誌レコードでどのように記録されるかについて勧告すべきである。

4. Recording information of area 5

目録作成者が記述の基盤として1つのクラスあるいは章を使用しない場合、エリア5(特に特定資料表示)にアイテム/資料の記述の構造のガイダンスを必要とするかもしれない。それらの構造のためのいくつかの原則を持つ規則により、多様もしくは複合なステートメントが許されるだろう。コンテンツとキャリアの側面がこのエリアに記録されるように、「物理的な」記述についての記述はもはや正しくはない。レコードの機械可読版でコード化されたデータは、アイテム/資料の様々な特徴を反映することができるだろう。

用語が一般資料表示から移動してきたことを考慮に入れて、特定資料表示で使われる用語の完全な論理的説明が必要であろう。例えば"videorecording"は単一の用語として使用されるだろうか? それとも"videocartrige""bideodisc""videocassette""videoreel"のようなより特別な表示が依然として使われるだろうか? もし後者が選択されれば、OPACの表示で配置を支えるためのより特定の形式で分類したコード情報はデータに有用であろうか?

ACOCは、6,7,9章のエリア5の用語のリストの合理化についていくつかの提案をした。一般的に使われている用語があらゆる場面で使用されるべきである。もしこの原則がAACR全体にわたって取り入れられれば、エリア5の規則を単純化するであろう。

どのようにステートメントが実現形レベルにおいてアイテム/資料のあらゆる側面の記述を考慮して構築され、エリア5で使用される用語の論理的説明の勧告を行うグループを作ることを提案する。これはGMDsの解体を検討するグループと同じでありえる。
 ★"GMDをなくしてexpression-levelを記述するエリアを新設すべきだ"と提案している。

Mode of issuance

Jean HironsとCrystal Grahamは出版物の3つの次元について言及した。
(1) 知的かつ/または芸術的なコンテンツ
(2) 物理的なキャリア
(3) 時間と共に変化するコンテンツの感応性(または出版状況)

出版状況(刊行形態)は、アイテム/資料の記述のどこにいれるべきであろうか? コンテンツとキャリアの側面にそって、別の特性と考えるべきであると思われる。しかし、資料が継続しているという事実を利用者に明確に伝える必要がある。現行の目録では、この事実は不十分な方法でしか伝えられていない。利用者に逐次あるいは統合資料のどちらかであると明確に伝えることは有益である。目録利用者にとって、資料が継続していることを明確に伝えるための適切なメカニズムを提案するためのグループを作ることを提案する。

Organisation of Part I of AACR

PartIの校正が、目録作成者が記述するアイテム/資料の側面に適切なあらゆる規則を見つけることができるようにその目的に合致させることが重要である。目録作成者を直感的に適切な規則に導かなければならない。

CC:DA Task Fource on Alpha Prototype of Reorganized Part Oneは、目録作成者が規則の全部で5つの側面の考慮を必要とするように再構成を提示した。
(1) 一般法則および原則
(2) コンテンツ(表現形のコンテンツや形式に関して2つの部分に分けることが可能)
(3) キャリア
(4) 出版形態
(5) 粒度
このような整理は、目録作成者に規則の概念基盤を伝え、所定の目的を達成すべきである。

どのようにPartIを構築するかについての勧告を行うグループを作ることを提案する。構造化の目的は、目録作成者がアイテム/資料の側面に直感的に適切な規則をすべてみつけられるようにすることである。JSCは、できる限り規則は共通化されるべきであり、総則に含まれていることに合意している。PartIで、曽於右側の統合により可能な限り規則を一般化するための研究を継続すべきであると提案する。

Treatmant of electronic resouces

有形の相当物に関する章で「ドキュメントのような」電子資料の規則を含まなければならないことを強く弁償しなければならない。「ドキュメントのような」特質を持たないインターネットによって入手可能な電子リモートアクセス資料の取り扱いは、別の個別の章でカバーすることが求められる。PartIの構造を調査するグループが電子資料の取り扱いの再概念化を考慮することを提案する。

Relationship between AACR, formats, and systems

4JSC/ALA/36/Revに対する回答の中で大英図書館が述べているように、われわれはシステム開発者およびOPAC設計者とより強い関係を構築する必要がある。フォーマット専門家グループとの意見交換はもっと増やすべきである。bibliographic resourceの特徴についての情報は、OPACの表示で適切なデバイスを用いることにより、利用者によりわかりやすく伝えることができるかもしれない。JSCは、PartIの変更を考える際には、システム開発者やフォーマット専門家と意見交換することを提案する。