TOP > 勉強会 > 2004年度 > / Last update: 2008.1.1

整理技術研究グループ勉強会記録(2004年度)

「目録規則再構築の動向」第9回


日時:
2004年9月6日(月) 19:00〜
会場:
日本図書館研究会事務所
発表者 :
川崎秀子氏(佛教大学)
テキスト:
Heijligers, Ton: "'Main Entry' into the future?"
 http://www.ddb.de/news/pdf/main_entry2.pdf
出席者:
吉田(帝塚山学院大学)、田窪(近畿大学)、土戸(国立民族博物館)、川崎(仏教大学)、進藤(京都大学附属図書館)、渡邊(神戸大学附属図書館)、河手(大阪樟蔭女子大学図書館)

○The context; an International Cataloguing Code
・JSC(AACR改訂合同運営委員会)はAACR第1部から第2部へ議論を移しつつある。
・AACRの改訂作業が、国際目録規則(ICC)のアイデアとコンセプトの面で重要な起点となりうる。
・1995年のIFLAの大会で現代のICCの必要性についてOlivia Madisonと議論した。
・目録作成者のバイブルとなる1961年のパリ原則の後を引き継ぐものが必要とされている。
・多国間または国際目録規則はなされた選択について実際の結果を明らかにしなければならない。

○An example: authority control
・80年代、外国人に関する典拠レコードの作成には時間がかかりすぎ、高価であるといわれてきた。
・分担目録プロジェクトで、愚かにも典拠コントロールの廃止が決定された。
・典拠コントロールに関する業務は容易で安価になる。
  →レコード作成国での必要性に適した形式で作成でき、さらに仮想国際典拠ファイル(VIAF)により他の国の典拠レコードをオンラインで利用が可能になる
・典拠ファイルの分担作業については、FRANAR(典拠レコードのための機能要件と典拠番号)のワーキンググループにより研究が行われている。
・国際的な典拠ファイルの作成については、その費用対効果を検証する必要がある。

○AACR and the Main Entry
・AACRの改訂作業の中で、基本記入の定義は議論されているが、適用については基本的に仮定であることが示唆している。
・「カードへの記入のために書かれた規則から離れるべきである」をJSCも述べている。
・規則は、レコードのフォーマットから可能な限り独立している必要がある。
・パリ原則によりカード目録の基本記入は探索/検索/列挙要素と考えられたが、基本記入が現在の利用者にとって役立つものであるかどうかは疑問である。
・基本記入システムの目的・範囲・効果を分析した結果、この概念は依然として有用なものであるとの結論に達した。
・オンライン環境の中では基本記入の考え方が時代錯誤であるという批評が、1982年から現在まで依然として述べられている。

○Inevitablity of the Main Entry concept?
・基本記入を維持するよりよい環境は何であるかや理由の正当性を議論しなければならない。
 基本記入の原理と技術の間に区別はある。
 必要とされる認知性/視覚性/検索性は、様々な方法で可能である。
 並び替えの技術は不可欠なものではあるが、基本記入を実行する手段に過ぎない。
 特定の技術に対するobjectionは、基本記入に対するobjectionでは必ずしもない。
・基本記入が何を代表し、どのような機能を持ち、利用者に提供できる(た)利便性は何かということについて明確なアイデアが求められている。
・カード目録の場合、基本記入の利点はすぐに思いつくことができる。
・基本記入のないカード目録の場合、いくつかの利便性を実現することができない。
1. 以下のような補助的機能を含む出版あるいは著作の同定
 a.直接的な情報・・・1.著者 2.最も顕著な役割(出版者や製作者)
 b.統一した引用
 c.異版へのポインタ
2.「著者の著作」の並置
 基本記入を指示する人は、これが受入れられないものだとわかっている。
 基本記入を指示しない人は、「個人の著作」の並置が可能であり、十分に満足であると主張するかもしれない。
・オンライン環境に関しては、他の側面を考慮しなければならない。

○IFLA as discuttion platform
・国際目録規則において、基本記入は根本的な議論が必要な唯一の問題である。
・情報領域での複雑な状況において「形式上のアクセスの可能性」の原則および方法について意見の一致が容易でなくとも、幅広いアプローチが必要である。
・IFLAの改訂プロセスはAACRの改訂プロセスのいくつかの段階と比べても遅い。
・「国際目録規則に関するIFLA専門家会議」で、パリ原則の再検討がなされ、検討グループが常設されることを期待する。
・この検討グループが設置されない場合、公式の場でワーキンググループの設置をIFLAの目録部会に強く推奨するだろう。
・このワーキンググループは、目録部会に必要に応じて助言し、必要ならば自発的にアクションをおこすことが求められる。
・最期に、IFLAとJSCの間の綿密な協力がどのような場面でも望ましい。