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整理技術研究グループ勉強会記録(2005年度)

「セマンティックWebと資料組織法」第6回


日時:
2005年6月30日(木) 19:15〜
会場:
日本図書館研究会事務所
発表者 :
吉田暁史氏(帝塚山学院大学)
テキスト:
「セマンティック・ウェブのためのRDF/OWL入門」第4章 RDFの特殊なモデル
出席者:
吉田(帝塚山学院大学)、松井(大阪芸術大学)、横山(大阪市立大学)、渡邊(神戸大学附属図書館)、蔭山、川崎(佛教大学)、河手(大阪樟蔭女子大学図書館)

第4章 RDFの特別なモデル
4.1 コンテナモデル
コンテナ…リソースをグループ化する
 rdf:Bag…メンバーの順序が意味を持たない(例4.1)
  ★図書館の世界では「共著者」の記述に使えそう
 rdf:Seq…メンバーの順序が重要(例4.2)
  ★図書館の世界では「内容注記」の記述に使えそう
 rdf:Alt…メンバーの一つを選択する(代替選択肢)(例4.3)
  ★図書館の世界では「出版社の表示」に使えそう
 ※rdf:li…コンテナのメンバーを表すプロパティを簡略に表記する要素
  RDF/XMLパーサがrdf:li要素をrdf:_1, rdf:_2…プロパティに置き換えてトリプルを解釈
 ※「順序」や「代替選択肢」といった「意味」はアプリケーションが一般的知識に基づき解釈する
・特にrdf:Bagの場合、コンテナモデルを用いずにほぼ同じ「意味」を表現することができる(例4.4)
・複数の値を持つものについては、コンテナモデルを用いない方が分かりやすく処理もスムーズ(例4.5、例4.6)

4.2 コレクションモデル
コレクション…RDFで閉じたグラフを表現する  例)G8の参加国
 リストのようなグラフで表現(図4.5)
 rdf:List…RDFのリストの節点となるノードを表すクラス
 rdf:first…リストの最初の要素となるプロパティ
 rdf:rest…リストのもう1つの要素となるプロパティ
 rdf:nil…リストの終端ノード
 rdf:paseType="Collection"を用いて表現する(例4.7)
 →RDFパーサが空白ノードとrdf:first、rdf:restプロパティ要素を補う

4.3 具体化
具体化(reification)…メタ記述のためにある文が述べていることを「言明」するのではなく、その文そのものを「参照」できるようにすること
 rdf:Statementクラス…ノードが「文」であることを示す
 rdf:subject…その文の主語となっているリソースを結ぶプロパティ
 rdf:predicate…その文の述語となっているリソースを結ぶプロパティ
 rdf:object…その文の目的語となっているリソースを結ぶプロパティ
  →主語。述語。目的語を示すプロパティ+タイプを示すトリプル=具体化の四つ組み(quad)(例4.9、図4.7)
・具体化はRDFによる一種の間接話法を提供
 →具体化のRDFグラフが真であっても、元の文のグラフが真であることは含意しない
 ★例が分かり難く、直感的にも分かり難い
・具体化の省略記法…プロパティ要素にRDF:ID属性で名前を与える
 →RDFパーサが具体化のグラフを生成する(例4.12)
・特定の文を表す具体化ノードは、その文がいつ誰によって言明されたかといった由来情報を記述するために有益
 ←元の文がどの文章にあったかという情報は、文を具体化するだけでは表現できないので、アプリケーション自身が処理する必要がある。

4.4 構造化モデルと多項関係
・3つ以上の多項関係をRDFで記述する
 →空白ノードを用いて構造化、ネットワーク構造(図4.13)
 図4.14と図4.15は同じような意味を表す(多項関係を表す基本的なパターン)
 →どちらかよいかは、リソースの位置付けの重みという相対的なもの
・主たる値
 rdf:value…主語リソースの「値」を示すプロパティ
 ←一般的に認識されているがRDFグラフの意味として形式論的に定義されているわけではない
・単位を示す方法
1)URIを用いる(例4.19)
2)プロパティを型付きリテラルとする(例4.20)
3)プロパティ全体を単位情報を単位情報として定義する(例4.22)