整理技術研究グループ勉強会記録(2005年度)
「セマンティックWebと資料組織法」第9回
- 日時:
- 2005年9月29日(木) 19:00〜
- 会場:
- 日本図書館研究会事務所
- 発表者 :
- 蔭山久子氏
- テキスト:
- 「セマンティック・ウェブのためのRDF/OWL入門」
第6章 ウェブ・オントロジー言語OWL 6.6-6.9
- 出席者:
- 横山、蔭山、渡邊、川崎、吉田、河手
6.6 OWLのプロパティ
OWLでは、プロパティも「公理」として表現する
プロパティ公理…RDFスキーマ語彙を用いたグローバルな定義域、値域、階層関係
OWLの語彙を用いた論理的性質の記述
基本的なプロパティ公理
・個体値型プロパティ(owl:ObjectProperty)…個体同士の関係を記述
・データ型プロパティ(owl:DatatypeProperty)…個体とデータ値とを関係づける。
・注釈型プロパティ(owl:AnnotationProperty)・・・オントロジーの細く情報を記述
・オントロジープロパティ(owl:OntologyProperty)・・・オントロジー自身の管理情報をヘッダに記述
rdfs:domain、rdfs:rangeの記述方法の注意点 (例6.26)
・定義域および個体値型プロパティの地域の指定は、OWL Liteではクラス名に限られる。
・データ値型プロパティの値域は、OWL Liteではデータ型もしくはrdfs;Literarlに限られる。
・注釈型プロパティ、オントロジー・プロパティには定義域・値域は記述できない
他のプロパティとの関係による表現
・階層関係(rdfs:subPropertyOf)
・同等関係(owl:equivalentProperty)
2つのプロパティが同一のプロパティ外延を持つ
2つのプロパティが「同じ意味」ということを示すものではない。
・反対関係(owl:inverseOf)・・・2つプロパティが反対の関係にあることを示す (例6.29)
プロパティ出現回数のグローバルな制約
・関数型プロパティ(owl:FunctionalProperty) (例6.30)
プロパティの値が1つに定まる。出現回数が0もしくは1という制約と同等。
・逆関数型プロパティ(owl:InverseFunctionalProperty) (例6.31 6.32)
プロパティの値から主語となる個体が定まる。
プロパティの論理的な性質
・推移型プロパティ(owl:TransitiveProperty) (例6.33)
このクラスに属するプロパティPは、P(x,y)かつP(y,z)であるならP(x,z)が成り立つ推移的な性質を持つことを示す。
・対称型プロパティ(owl:SymmetricProperty) (例6.34)
このクラスに属するプロパティPは、P(x,y)ならばP(y,x)が成り立つ対称的な性質を持つことを示す。
6.7 個体に関する事実の記述
「事実」・・・クラスのインスタンスに関する公理
記述方法
(1) 所属するクラスとプロパティの値
(2) 個体の同一性や相違性の識別
所属クラスとプロパティ値による事実 (例6.35 6.36)
ある個体がどんなクラスに属するか、そしてどんなプロパティ値を持つかということを記述する。
個体の識別による事実
・owl:sameAs・・・2つの個体が名前が異なっていても同一であることを示す。(例6.38-6.41)
・owl:differentFrom・・・2つの個体がそれぞれ異なることを示す。(例6.42)
★「個体が異なる」場合とはどんな場合なのか?
・ows:AllDifferent・・・一連の個体が互いに異なることを示す。(例6.43 6.44)
・owl:distinctMenmers・・・目的語のリストで列挙する一連の個体が互いに異なることを示す。
※名前(URI参照)が異なるだけで2つの個体が異なると結論づけることはできない。
6.8 OWLでのデータ型
データ型プロパティには。3つのタイプのデータ値域からの値が指定できる。
(1) プレーン・リテラル(rdfs:Literal)
(2) RDFのデータ型
(3) owl:oneOfを利用した列挙データ型
列挙データ型
・owl:DataRange・・・データ値を列挙したデータ型を定義するための特別クラス (例6.47-6.49)
6.9 オントロジーの注釈と管理情報
オントロジーの注釈・・・owl:AnnotationPropertyタイプのプロパティを用いる。 (例4.50)
注釈型プロパティ(RDFスキーマ)
・rdfs:label
・rdfs:comment
・rdfs:seeAlso
・rdfs:isDefinedBy
オントロジ・ヘッダー
・owl:Ontology・・・オントロジーを表すクラス (例6.51 6.52)
このクラスのインスタンスを主語としたRDFグラフはそのオントロジーに関する情報を表す。
オントロジーのインポート
外部のオントロジーを取り込んで、そこに言明されている内容を現在のオントロジーに加えることができる。
ウェブ・オントロジーの共有や再利用を実現する機能
・owl:imports・・・オントロジーを外部オントロジーと結びつけ外部オントロジーを取り込む。
取り込んだ外部オントロジーが取り込んだオントロジーも取り込み対象になる。(図6.8)
バージョン管理
・owl:versionInfo
バージョン番号、作成(改訂)日付などを、人間のためにテキストで記述
・owl:priorVersion
現在のオントロジーを古いバージョンと結びつける
・owl:backwardCompatibleWith (例6.53)
現在のオントロジーと古いバージョンと結びつけ、さらに現在のオントロジーはそのバージョンと後方互換性があることを示す。
★「互換性」とは?
・owl:incombatibleWith (例6.53)
現在のオントロジーと古いバージョンと結びつけ、そのオントロジーとは互換性がないことを示す。
・owl:DeprecatedClass (例6.54)
クラスが現在のオントロジーでは後方互換性のためのみ残されており、新しいドキュメントでは使うべきでないことを示す。
・owl:DeprecatedProperty (例6.54)
プロパティが現在のオントロジーでは後方互換性のためのみ残されており、新しいドキュメントでは使うべきでないことを示す。