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整理技術研究グループ勉強会記録(2005年度)

「セマンティックWebと資料組織法」第10回


日時:
2005年10月21日(金) 19:00〜
会場:
日本図書館研究会事務所
発表者 :
吉田暁史氏
テキスト:
「セマンティック・ウェブのためのRDF/OWL入門」第8章 語彙の設計
出席者:
蔭山、松井(大阪芸術大学)、渡邊(神戸大学附属図書館)、川崎(佛教大学)、吉田(帝塚山学院大学)、河手

第8章 語彙の設計
8.1 語彙を設計する
8.1.1 語彙設計の手順

1) 語彙(オントロジー)の領域と対象範囲を決める
2) 既存の語彙の再利用を考える
3) 重要な用語を列挙してみる
4) クラスとクラス階層を定義する
5) プロパティを定義し、クラスとの関係を決める
6) インスタンスを記述する

Classification(分類)の定義
  Brian Buchanan. A Glossary of Indexing Terms. Bingley, 1976
クラスを認識する過程のことであり、次の段階の一つもしくはいくつかをいう
1> ある概念を他の概念と識別できるようにするため、概念に命名する→ 4)に相当
2> 概念間の関係性を設定する→5)に相当
3> これらの関係性を表示する
4> 体系的な順序によってこられの関係性を表示する
5> 記号法を使用することにより、その順序(体系的な順序)を表示する

2)と3)は図書館分類における文献的根拠を連想させる
したがって、図書館の分類やシソーラスの作成に類似している

8.1.2 クラスとクラス階層の定義
◎ is-a関係
類種関係に相当
「AはBの一種である」が判定基準であるとするなら
 (1) 弦楽器はオーケストラ楽器の一種→○
 (2) 三味線は弦楽器の一種→○
 (3) 三味線はオーケストラ楽器の一種→X
  推移があてはまらない
なぜか。
(1)に問題がある。
 シソーラスの世界では、All B is A. Some A is B. の両方を満足しなければ、類種関係を認めない。
 三味線と弦楽器の関係→○
 オーケストラ楽器のうちあるものは弦楽器→○
 すべての弦楽器はオーケストラ楽器→X
 したがって、シソーラスの標準ではオーケストラ楽器と弦楽器との間に類種関係を認めない。
 シソーラスの標準では、類種関係の対象は概念である。クラスは概念でなければならない。
 インスタンス(個体)は概念ではないので、クラスを形成しない。
 したがって、インスタンスは類種関係の枠内にそもそも入ってこない・
 ★OWL DLがこれにあたる。

◎ 外延とは何か
外延=インスタンスの集合 or サブクラスの集合?
「犬」の外延
 インスタンスの場合…ポチやコロ
 概念の場合…スピッツや秋田犬
「感覚」の外延
 インスタンスの場合…特定人の特定日時での感覚(「臭い」「痛い」)
 概念の場合…嗅覚、触覚、視角…
 どうやら両方のケースがあるようだ。

◎ RDFでもOWLでもクラスを設定する時の問題点
 サブファセットをどうするのか?
 「人」の場合
  男女、年齢、職業…をどう設定するのか?←これがよく分からない
  シソーラスでは、ノードラベルを使用する

8.1.3 プロパティ定義とクラスとの関係
プロパティ定義の中心は「どんなリソースを関連付けるのか」を決めること
 できるだけ一般的なクラスで、しかし定義が意味をなす程度に限定的なクラスでというバランスが必要

8.1.4 名前の付け方
1つの語彙の中では一貫したスタイルでつける。
省略形の使用はは控えめに。

8.2 RDFスキーマを作成する
RDFエディタRDFAuthorで作成すると視覚的に作成できる。

8.3 オントロジーを作成する
オントロジーエディタを利用すると便利。
 オントロジーエディタProtege…スタンフォード大学で開発されているJavaベースのオントロジーエディタ