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整理技術研究グループ勉強会記録(2006年度)
「セマンティックWebと資料組織法(続)」第1回
日時:
2006年3月10日(金) 19:00〜
会場:
日図研事務所104号室
発表者 :
川崎秀子氏(佛教大学)
テキスト:
Nuria Ferran, Enric Mor, Julia Minguillon. Towards Personalization in Digital
Libraries thorough Ontologies. Library Management .. 26(4/5), pp206-217, 2005
出席者:
渡邊(帝塚山学院大学)、吉田(大手前大学)、蔭山、田窪(近畿大学)、横山、川崎(佛教大学)、河手(大阪樟蔭女子大学図書館)
序文
遠隔教育は、さまざまな人々に大学程度の教育を提供する魅力的な方法の一つである。
e-ラーニングにおける電子図書館の「顧客」は、学生だけでなく研究者と教員である。
電子図書館は、利用者の満足と正確さを増すようなサービスを提供しなければならない。→personalizationのような新たなサービス
personalizationシステムの構築で問題となっている側面
利用者が検索結果を検証する方法に関する側面
利用者とコンピュータの相互作用(利用者に注目)の側面
情報の更新と問合せの方法に関する技術的・知識工学的側面
電子図書館でのオントロジ・・・利用可能なシナリオを記述
基本要素:利用者の情報、デジタル資料に関する情報、利用者の行動、ナビげージョン・プロファイルなど
電子図書館とUOCの場合
デジタルデータとリモートアクセスのある図書館の概念
ハイブリッド図書館・・・電子情報と紙媒体の情報を提供する。電子図書館への過渡段階ではない。(Brophy, 2001)
電子図書館・・・関連サービスの管理された情報の集合。情報が電子形式で保管されネットワーク上でアクセスできる。(Arms, 2002)
仮想図書館・・・情報源のコンテンツとサービスへの遠隔アクセス。現在多く利用されている資料(印刷または電子形態)の集合+外部の情報・知識源へのアクセスと電子ネットワークを結合するもの。(Graphen,
1993)
次世代の電子図書館
新しい種類の図書館(personalな 電子図書館)+情報の多様化+利用者の多様化
→デジタル・コンテンツのアクセスと伝統的サービスの電子化から各利用者の目的にあった情報を提供(personal化)することへ
電子形態のデータや情報にアクセスする技術は初歩的・不正確
単純なキーワード・インデックスやリレーショナル・クエリーなどしかない
電子図書館を知識組織への変貌
・・・知識創造(オントロジやユーザー・モデル)と知識抽出(データイニングやウェブ・マイニングなど)が役立つ
UOC仮想図書館
1995年に仮想大学(e-ラーニング)を支援するために設立
ISIのWeb of KnowledgeのようなデータベースやSDIなどのサービスをウェブを通じて利用することができる。
アクセス方法・・・仮想キャンパスやその中の仮想教室から
目的・・・学生だけでなく教員・研究者・管理スタッフに学習・授業・研究・管理の達成に関連する情報へのアクセスを提供
ユーザ・プロファイルを作成し、利用者に適合したサービスを提供する
オントロジとセマンティック・ウェブ
オントロジの利用・・・電子図書館で利用シナリオを記述するために用いる
★オントロジには「タスク・オントロジ」と「ドメイン・オントロジ」の2種類があると思われるが、ここでは「タスク・オントロジのことを指しているのだろう。
★「タスク・オントロジ」・・・問題解決過程自体を対象世界としてみて構築されたオントロジ
★「ドメイン・オントロジ」・・・知識の体系的定義としてのオントロジ・・・分類表やシソーラスなど
個人の統合personalized図書館の要件
協調フィルタリング・・・利用者のガイダンスために使われるいくつかの技術で最も成功したもの
利用者の過去の行動という形で利用経験を蓄積しランク付してコンテンツを選択
利用者と似た ような行動を取っている利用者の情報をもとに利用者の行動を推測
→同じ必要を持つ将来の利用者に電子図書館内の有益な情報を提供できる
personalizationシステムの機能性の特定
望ましい機能
利用者のプロファイル
利用者の行動から収集される情報
利用者のプロファイル
利用者モデルを構築するための基本的な属性(表1)
ナビゲーション履歴と利用者の嗜好・・・オントロジによって有効
ナビゲーションに基づく利用者の行動
探求的ナビゲーション(exploatory navigation)・・・(例)図書館にどんな資料があるか調べる
目標志向ナビゲーション(goal-oriented navigation)・・・(例)特定の資料が図書館にあるか調べる
電子図書館における基本的な利用者の行動と情報源(表2)
インターネットの無料情報源・・・協調フィルタリング・システムなどによる正当性の付与
独占的コンテンツ(有料データベースや所蔵目録)の提供
オントロジの作成
各主題についての非構造的な情報を構造的に表現できる
電子資料の拡大
DCメタデータやMARCフォーマットによる目録化
オントロジによる利用者が有用と考える情報(利用者の評価など)の追加情報
プライバシー問題
利用者プロファイルの作成→利用者の行動が全て監視され登録されている
プロファイルを作成するにあたって明確にしておくべきこと
利用者は全ての行動が記録されていることを知っていること
プロファイルへの参加が非強制的であること・・・利用者がプロファイルへの参加を最小にすることができるなど
利用者の参加が匿名であること
商業的目的で利用しないこと
電子図書館オントロジの構築
ここでの「オントロジ」・・・コンテンツを記述するオントロジではなく、利用者がコンテンツを検索する方法を記述するオントロジである
予定しているオントロジの基本ステップ(表3)
電子図書館オントロジの構成
オントロジの構築・・・表1と表2の要素が交錯しているところ、マイクロ・シナリオの記述
オントロジの利用・・・プロファイルを別のサービス(データベースや他の電子図書館)に拡張利用
他のデータベースに移植することが容易
オントロジ実装・・・RDFやOWL←XMLと標準言語の使用はオントロジーの向上を保障する
結論
電子図書館のpersonalizationシステムの基本的機能性と利用のシナリオを記述すオントロジ
オントロジの記述要素・・・利用者プロファイル、ナビゲーション・プロファイル、利用者行動、これら各要素間の関連
オントロジの使用によりもたらされるもの
新たなサービスと既存のサービスの統合
セマンティック・ウェブによる他システムとの相互運用性の促進
今後の課題
電子図書館のpersonalizationサービスと仮想キャンパスにおける他のpersonalization機構との統合
オントロジの要素や要素間の関連性の正当性に関連する新しいコンセプトについての議論
適正評価アルゴリズムと適正評価体系(validation rating system)の定義
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