TOP > 勉強会 > 2006年度 > / Last update: 2008.1.1

整理技術研究グループ勉強会記録(2006年度)

「セマンティックWebと資料組織法(続)」第8回


日時:
2006年9月21日(木) 19:00〜
会場:
ホテルサンルート
発表者 :
河手太士氏(大阪樟蔭女子大学図書館)
テキスト:
研谷紀夫ほか, "建築資料のデジタルアーカイブ化におけるオントロジーの構築とその役割",情報知識学会誌, vol.15 no.2, pp.19-24
出席者:
渡邊(帝塚山学院大学)、横山、堀池、川崎(佛教大学)、吉田(大手前大学)、河手(大阪樟蔭女子大学図書館)

1.概要

坪井誠太郎邸に関する設計図などの100点余りの書類を対象に、書類内で用いられているタームを切り出して分析し、
建築資料のオントロジーを構築する。

2.オントロジー構築作業

1:資料に使われているタームを切り出す。
書名のタイトルなどの記述から名詞と動詞を中心にタームを切り出す。
→建築資料で使用されているタームの把握
2:各タームを分析して、その背景にある意味や概念を分析する。
3:2の考察に基づいて建築資料に内在する概念体系を階層化し、オントロジーを構築する。

★「ターム」=「用語」

2と3でオントロジーを構築…資料内部の知識情報の概念を体系化
   オントロジーツリーの上位階層(6つ)
「場所情報」…場所に関するターム
「構造体情報」…家の構造内のある部分を示すターム(「応接間」や「書斎」など)
「個人・組織情報」…個人組織に関するターム
「行為情報」…行為に関する情報(各種工事や事務作業など)
「単位・値情報」…長さなどの単位とその値の情報
「資料体情報」…書類や建築部材、建築材料などの資料に関する情報
インスタンス…書類で用いられているターム

3.デジタルアーカイブにおけるオントロジーツリーの活用

・検索における概念検索の導入
・概念ツリーから直接各階層のクラスやインスタンスを選択できるようにした
・「場所情報」「構造体情報」「個人・組織情報」「単位・値情報」の観点から各資料の相関関係を図表し、
各相関図から資料にアクセスできるようにした。

資料に記述されているタームを知らなくても検索できる
資料の関係性を視覚的に確認しながら資料にアクセスできる

4.まとめと今後の課題

・概念レベルでの検索が可能に
←建築資料内のタームの概念を階層化
・資料全体での位置を考慮した資料のアクセス
←資料のテキスト部分をタームの解説やオントロジーツリーと結び付ける
・資料間の関係性を基にした資料へのアクセス
←各資料相互の相関関係の可視化

課題

(建築資料のアーカイブの観点)
・オントロジーが坪井邸の建築資料特性に沿った体系であるため、 他の建築資料にも適用できるかを
検討する必要がある。

(歴史的資料のアーカイブの観点)
・より長い文章が記載されている資料でも同様のオントロジーの構築が可能であるかどうかを検討する。