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1995年月例研究会報告

整理技術研究グループ


◎1995年1月例会
日 時:1月21日(土)14:1016:50
会 場:大阪市立弁天町市民学習センター
テーマ:NDC9版とオンライン目録
発表者:吉田暁史氏(帝塚山学院大学)

・本例会は,震災の影響により開催されず中止となった。また第36回日本図書館研究会研究大会での当グループ研究発表も行われなかった。


◎1995年3月例会
日 時:3月25日(土)14:1016:50
会 場:豊中市立岡町図書館
テーマ:情報検索への認知的アプローチ:文献紹介
発表者:斎藤泰則氏(鹿児島経済大学)

 訳書『情報検索論』は,認知科学的手法を取り入れた情報検索研究への展開を概観したものである。認知科学は思考や言語という人間の認知的活動に関する理論および研究方法論の総体である。情報検索という行為も人間の認知的活動の一つである以上,利用者の認知的特性を踏まえた検索システムが必要となる。
参考文献:David Ellis著;斎藤泰則, 鈴木志元, 村上泰子訳;細野公男監訳『情報検索論:認知的アプローチへの展望』丸善, 1994
 本書では,情報検索における利用者の認知的特性に関する研究を概観し,その特性を反映したシステムが紹介されている。


◎1995年4月例会
日 時:4月22日(土)14:1016:40
会 場:大阪市立阿倍野市民学習センター
テーマ:BSH第4版機械可読版フォーマット(案)
発表者:北克一氏(大阪市立大学)

 日本図書館協会件名標目委員会では,基本件名標目表第3版の改訂作業を進めてきたが,並行して昨今のOPACやネットワークの進展に対応すべく同標目表のMARCフォーマットの開発を進めてきた。このフォーマットは,典拠ファイルとしての頒布のみならず,ネットワーク上での差分データの自動交換をも考慮しようとしている。このフォーマット開発に携わっている同委員会の北氏による開発目的やフォーマットの解説等が行われた。
参考文献:『現代の図書館』32(5)


◎1995年5月例会
日 時:6月3日(土)14:1016:50
会 場:大阪市立弁天町市民学習センター
テーマ:米国カリフォルニア図書館見学セミナー参加報告記
発表者:三浦整氏(大阪府立中之島図書館)

 3月下旬の9日間,標記セミナーに参加した。5年前に参加した同種のツアーで訪れた図書館を含むものであるが,そこでは目録作成の技法を重視する時代から,多様なアクセスを保障するシステムへと大きく変化している実感を得た。その背景と実状を,カリフォルニア大学図書館,ロサンゼルス公共図書館を中心に報告した。


◎1995年6月例会
日 時:6月24日(土)14:1016:50
会 場:大谷学園帝塚山学舎
テーマ:NDC9版を考える−まとめ−
発表者:吉田暁史氏(帝塚山学院大学)

 NDC9版の刊行がいよいよ間近に迫ってきた。今日もはやオンライン検索という環境を抜きにして,分類を考えることはできないが,この前提のもとにNDC9版に関する問題点を報告した。同時にオンラインにおける分類利用一般の問題についても論及があった。


◎1995年7月例会
日 時:7月22日(土)14:1016:50
会 場:大阪市立天王寺図書館
テーマ:目録議論の現在:アメリカの目録事情と日本
発表者:志保田務氏(桃山学院大学文学部)

参加者:20名
 昨年10月から今年4月までの半年間、アリゾナ大学を中心として、また今年2月には、AACR2の個人編者として有名なマイケル・ゴーマン氏(ALA副会長でもある)がおられるカリフォルニア州立大学フレスノ校で、在学研究された成果の報告である。
 邦人による対アメリカ図書館研究では、「欧米では如何に」式のニュース的な論調が多い中で、とりわけ目録議論における反面教師としてのアメリカの状況が語られた。簡単にその概要を報告する。
1.Ohio Valley Group of Technical Services Librarians という整理技術の地域的研修・連絡組織の昨年5月の年次大会での Wright State University の館長Arnold Hirshonの非常に刺激的な講演を例にとって、コンピュータ時代の整理技術の方向性が語られた。
2.我国での書誌ユーティリティとの比較では、北米のOCLC、UTLAS等が、私業型であるのに対し、我国のNACSISが国営型であることの弊害や、情報自由化法との関係が指摘された。
3.米国における機械化への直進が、管理者にリストラ意欲を増進させ、整理担当要員の削減にとどまらず、次にはレファレンス担当など、サービス部門にと移っているアリゾナ大学等での例が紹介される。我国における機械化は、例えば国立大学だけでも500人に及ぶ整理関係職員の減少に及んでいることから、ことは整理部門だけではないことが指摘された。大学図書館員全体の技術の固有性が今、問われているのである。(文責 吉田憲一)


◎1995年9月例会
日 時:9月30日(土)14:1016:50
会 場:豊中市立岡町図書館
テーマ:『日本十進分類法新訂9版』を概観する
発表者:吉田暁史氏(帝塚山学院大学)
    前川和子氏(大谷女子大学図書館)
      田村俊明氏(大阪市立大学附属図書館)
    野口恒雄氏(佛教大学図書館)

 9月に入って,日本の標準分類表であるNDC9版がようやく刊行された。実に17年ぶりの改訂版になる。9版は全国書誌に対応できる書誌分類表をめざして作成されたと表明している。また,造本は2分冊とし,使い易さに配慮しているようだ。9版の全体を概観し構成や改訂内容等について批評した。


◎1995年10月例会
日 時:10月20日(金)18:3020:30
会 場:大阪府職員会館
テーマ:BC2とNDC
発表者:光富健一氏(東京理科大学図書館)

 利用者に有用な主題検索システムはいかに構築すべきか。主題分析を放棄した非統制自然語検索,あるいは個別概念間の関係付けを放棄した検索システムが闊歩する。そのシステム構築過程にはファセット理論を深層に保持する必要があると思われ,BC2の構造を再考した。また主題検索におけるNDCの蘇生はファセット理論の包含なくしてはあり得ない。


◎1995年11月例会
本例会は,日本図書館研究会研究例会も兼ねており,下記のようにNDC9版説明会として開催された。
「NDC新訂9版(関西地区)説明会」
日 時:11月24日(金)14:0017:00
会 場:桃山学院カンタベリーホール(昭和町学舎)
講 師:石山洋氏(日本図書館協会分類委員会委員長)
    相原信也氏(   同  委員)
主 催:日本図書館協会,日本図書館研究会
内 容:NDC9版の改訂趣旨,各類の解説,質疑応答


◎1995年12月例会
日 時:12月9日(土)14:1016:50
会 場:大阪市立弁天町市民学習センター
テーマ:人権関連の資料・情報システム−アジア・太平洋人権情報センターを例にして−
発表者:川村暁雄氏(アジア・太平洋人権情報センター)

 アジア・太平洋人権情報センターにおける資料・情報システムについて紹介があった。センターは人権の専門図書館として独自のシステムを構築しつつある。その特徴は,コンピュータによるソーティングと出力を前提としたシステム,人権に特化した構造的な分類,多言語対応にある。これらは,国際的な人権情報の標準化を図るHURIDOCS(本部:ジュネーブ)が制定したフォーマットに準拠したものである。さらに現在開発中の分類とリンクした独自のディスクリプタシステムや,今後の課題であるWWWとの接続,提案型情報提供についても言及があった。