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1996年月例研究会報告

整理技術研究グループ


◎1996年1月例会案内
日 時:1月27日(土)午後2時10分〜4時50分
会 場:豊中市立岡町図書館
テーマ:日本十進分類法新訂9版の検証
発表者:吉田暁史氏(帝塚山学院大学)
    前川和子氏(大谷女子大学図書館)
    田村俊明氏(大阪市立大学付属図書館)
    野口恒雄氏(佛教大学図書館)

 NDC新訂9版の内容を分析し、改訂目的をどの程度実現しているのかを検証した。事例に基づき報告する。参加者のご意見を期待する。


◎第37回日本図書館研究会研究大会
グループ研究発表として下記の研究発表を行った。
日 時:2月19日(月)
会 場:兵庫県立のじぎく会館
テーマ:NDC9版の批判的検討
発表者:野口恒雄(佛教大学図書館)
    吉田暁史(帝塚山学院大学)

内容については下記論文を参照。
野口恒雄、吉田暁史 NDC9版の批判的検討 『図書館界』48巻2号 p.70-77 1996.7


◎1996年3月例会
日 時:3月16日(土)14:15〜17:00
会 場:大阪市立天王寺図書館
発表者:田口瑛子氏(京都精華大学)
テーマ:デュイ再考、再々考

出 席:田口瑛子、山田伸枝(大阪樟蔭女子大図書館)、山野美贊子(大阪府立大図書館)、志保田務(桃山学院大学)、前川理女(大阪芸術大学図書館)、前川和子(大谷女子大学図書館)、吉田暁史(帝塚山学院大学)
 下記翻訳書が刊行された。第3部はデュイを中心に扱っており、十進分類表の考案者デュイのあまり知られていない多様な側面を紹介している。女性とデュイという観点から、訳書の紹介も兼ねて報告された。またAmerican Libraries最近号のDeweyに関する特集記事やWiegandの新著についても紹介があった(下記参照)。
『文化の使徒:公共図書館・女性・アメリカ社会, 1786-1920年』ディー・ギャリソン著;田口瑛子訳 大阪:日本図書館研究会, 1996
Wayne Wiegand. Irrepressible Reformer : a Biography of Melvil Dewey.
ALA, 1966
American Libraries, vol.27, no.1 (January 1996) "Dewey Declassified"特集


◎1996年4月例会
日 時:4月28日(日)13〜16時
会 場:大阪市立弁天町市民学習センター
テーマ:パリ原則およびAACR1第T部と初期のGorman
発表者:古川肇氏(中央大学図書館)

出席者:古川肇、志保田務(桃山学院大)、中村恵信(大阪府公文書館)、松川隆弘(大阪商大図書館)、前川和子(大谷女子大図書館)、蔭山久子(帝塚山短期大学図書館)、杉本節子(大阪市立大学図書館)、野口恒雄(佛教大学図書館)、北克一(大阪市立大学)、田村俊明(大阪市立大学図書館)、楠本成生(相愛大学図書館)、吉田憲一(天理大学)、田窪直規(近畿大学)、光斎重治(中部大学図書館)、吉田暁史(帝塚山学院大学)
 日本図書館研究会では、50周年記念行事の一環として、今秋マイケル・ゴーマン氏をお招きします。当グループでも96年度前半のテーマをゴーマン氏関係に設定しますが、4月例会はその第1回となります。ぜひご参加下さるよう案内申し上げます。
 Michael Gormanは、何よりもまずAACR1(英国版)に対する卓抜した批判者として登場した。当初は基本記入肯定の観点からAACR1第1部を批判し,その後遅くとも1977年には基本記入否定の立場に転じてAACR1が依拠するバリ原則を吟味した。アクセスポイントという用語はGormanが作ったが、その背景には、基本記入の標目と他の標目とを区別する必要がないという考え方があった。また団体著者の著者性や逐次刊行物の標目選定、標目の形式等に関してAACR1を批判した。パリ原則についても、個々の原則に関して批判を行った。このように基本記入や団体標目に関して先駆的な業績のあるGormanだが、パニッツイ、カッター、ルベツキーといった第一級の理論家に比べれば、基礎理論面での貢献はやや少ないといえよう
古川氏参考文献
1.Gorman, Michael. A-A 1967 : the new cataloguing rules. Library Association Record. 70: 27-32, Feb. 1968.
2.Gorman, Michael. A Study of the Rules for Entry and Heading in the Anglo-American Cataloguing Rules, 1967(British Text). London : Library Association, 1968. 67p.
3.Gorman, Michael. More on cataloguing. Library World. 72: 330-331 (June 1971).
4.Gorman, Michael. The current state of standardization in the cataloging of serials. Library Resources & Technical Services. 19: 301-313 (Fall 1975).
5.Gormna, Michael. "Changes in cataloguing codes : rules for entry and heading". Library Trends. 25: 587-601, Jan. 1977.
7.Non-book Materials Cataloguing Rules. 2nd ed. Council for Educational Technology for the United Kingdom with the Library Association. 1974. (Working paper ; 2)
8.Carpenter, Michael. No special rules for entry for serials. Library Reources & Technical Services. 1975.
9.『パリ目録原則コンメンタール』 東京 : 図書館技術研究会, 1977
10.『英米目録規則』 [第1版] §§1, 17
11.『英米目録規則』 第2版 §21.1B


◎1996年5月例会
日 時:5月25日(土)14〜17時
会 場:市立弁天町市民学習センター
テーマ:Gorman研究(2)最近のGorman論説
発表者:志保田務氏(桃山学院大学)ほか

出席者:中村恵信(大阪府公文書館)、山野美紗子(大阪府大総合情報センター)、宮生裕子(大阪体育大図書館)、蔭山久子(帝塚山短大図書館)、前川理女(大阪芸大)、野口恒雄(佛教大図書館)、吉田憲一(天理大)、前川和子(大谷女子大図書館)、日垣敦子(帝塚山短大)、杉本節子(大阪市立大学図書館)、吉田暁史、志保田務
 Gorman研究の2回目となる。前回は古川氏による初期Gormanの標目関係の研究報告があったが、今回は最近のGormanを取り上げる。下記参考文献等にもとづき、目録の将来、整理委託、といったことに関するGormanの最近の論説を検討する。同時にGormanの書誌を紹介したい。
ゴーマン著 高鷲、岩下訳 AACR2以後:英米目録規則の将来『整理技術研究』35, 1995.9
ゴーマン述 志保田、岩下訳 目録世界の未来への招待『整理技術研究』36, 1996.1
Michael Gorman. The corruption of cataloging. Library Journal. Vol.120, no.15, 1995.9.15
これに対する反論が、1995.11.1号に掲載
Walt Crawford and Michael Gorman. Future Libraries : Dreams, Madness, and Reality. Chicago : American Library Association, 1995. 198p. ISBN 0-8389-0647-8. $25.00
Michael Gorman. The Concise AACR2. Chicago : American Library Association, 1981.
Most Concise AACR2.


◎1996年6月例会
日 時:6月28日(金)18:50〜21時
会 場:大阪市立弁天町市民学習センター 第1会議室
テーマ:Gorman研究(3)Gorman関係書誌の紹介
発表者:吉田暁史(帝塚山学院大学)

出席者:蔭山久子(帝塚山短大図書館)、久保恭子(甲南女子大図書館)、中村恵信(大阪府公文書館)、松川隆弘(大阪商大図書館)、前川和子、志保田務、宮生裕子(大阪体育大学図書館)、吉田暁史
 AACR2以後のGorman論文を20点ほど取り上げ、紹介と検討を行った。特にMARCの将来および著作間関連性に関して言及があり、このレベルではGormanの寄与は少ないとした。著者名の統制形を1つに定める必要性の有無、ティレットの著作間関連性把握の批判、著作間関連性は統一タイトルによって行うのかどうか、といった諸点について若干独自に考察した。
参考文献
Michael Gorman. New rules for new systems. Should we scrap all bibliographic codes and standards and start a new? American Libraries. 12 (2), 1981.2, p.71-72.
Michael Gorman. Descriptive cataloguing : its past, present, and future. In: Technical Services Today and Tomorrow / Michael Gorman and associates. Englewood,Colo. : Libraries Unlimited, 1990. p.63-73.


◎1996年7月例会
日 時:8月10日(土)14時〜16:50
会 場:大阪市立中央図書館
テーマ:書誌コントロールの概念について
発表者:根本彰氏(東京大学大学院教育学研究科)

出席者:中村恵信(大阪府公文書館)、山野美紗子(大阪府大総合情報センター)、宮生裕子(大阪体育大図書館)、蔭山久子(帝塚山短大図書館)、日垣敦子(帝塚山短期大学図書館)、杉本節子(大阪市立大学図書館)、北克一(大阪市立大学)、田窪直規(近畿大学)、浜田行弘(関西学院大学図書館)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、高畑悦子(追手門学院大学図書館)、古川肇(中央大学図書館)、北西英里(大阪府盲人福祉センター)、吉田暁史、志保田務、根本彰
 最近、ディジタルネットワーク関連の事象が展開するなかで、図書館サービスのアイデンティティが問われることが多くなっている。発表者は、図書館をめぐる制度やサービスの根幹にある概念を指して「書誌コントロール」という言葉を使用してきたが、この状況にあわせてさらにこの概念を鍛え直すことが必要なことを感じている。訳出した『電子図書館の神話』の意義にも触れつつ、書誌コントロールについて考えたい。
参考文献
根本彰 Patrick Wilsonの書誌コントロール論 『書誌索引展望』 9(4), 1985.11, p.1-16.
根本彰 全国書誌と全国総合目録:アメリカにおける書誌コントロール概念成立の背景 所収:日本図書館学会研究委員会編『図書館ネットワークの現状と課題』 日外アソシエーツ, 1991. p.59-85.
根本彰 作品とテクスト:書誌コントロールの対象について 所収:三浦逸雄・朝比奈大作編『現代レファレンスサービスの諸相』 日外アソシエーツ, 1993. p.194-217.
小寺正一 ポスト書誌コントロールの世界 『科学技術文献サービス』 91, 1990, p.15-22. ; 92, 1990, p.35-40.


◎1996年8月例会
日 時:8月23日(金)18:40〜20:40
会 場:大阪市立北市民教養ルーム
テーマ:Michael Gormanにおける目録法上の提言をめぐって
発表者:岩下康夫氏(長崎純心大学)

出席者:中村恵信(大阪府公文書館)、山下信(武庫川女子大学図書館)、久保恭子(甲南女子大学図書館)、北西英里(大阪府盲人福祉センター)、マルラ俊江(UCLA、大谷大学図書館)、志保田務(桃山学院大学)、岩下康夫
 Gormanの目録法上の以下の提言を紹介し、これに対する注解があった。
提言1:目録は図書館の中心に位置すべきである。
提言2:基本記入は否定されるべきである。
提言3:記述対象の標準化の問題は、複数のレコードシステムのもとで、無意味化されるべきである。
提言4:MARCは改訂されるべきである。
 とりわけ提言3に関して注目すべき論及があった。著作概念は一意に決めがたいと主張する発表者の立場から、記述対象の標準化を行うことには意味がないというものであり、この面でGormanを評価できるとする。
参考文献
1)マイケル・ゴーマン述;志保田務,岩下康夫訳 目録世界の未来への招待
  『整理技術研究』36:23-25, 1996.1
2)マイケル・ゴーマン著;高鷲忠美,岩下康夫訳 AACR2以後:英米目録の将来
  『整理技術研究』35:1-5, 1995.9
3)Gorman, Michael. The corruption of cataloging : outsourcing erodes
the 'Bedrock' of library science. Library Journal. 120(15):32-34, 1995.
4)松林正己 RAK紹介のための文献解題的展望 『TP&Dフォーラムシリーズ』5:15-35, 1996.7
5)丸山昭二郎編『目録法と書誌情報』雄山閣, 1993.6


◎1996年10月例会
日 時:11月7日(木)18:50〜21時
会 場:日本図書館研究会事務所
テーマ:「資料組織」の意味と範疇:新省令、整理科目関係の内容検討
発表者:志保田務氏(桃山学院大学)

参加者:吉田憲一、中村恵信(大阪府公文書館)、北克一(大阪市立大学)、田窪直規(近大)、久保恭子(甲南女子大学)、前川和子、志保田務、宮生裕子(大阪体育大)、蔭山久子(帝塚山短大)、吉田暁史
 1996年8月改訂の司書科目で、「概説」、「演習」として登場している「資料組織」なるものの意味と範疇を、すでに市民権を得ている「資料組織化」、「資料組織法」と比較し検討した。「資料組織」「資料組織化」「資料組織法」といった語が、図書のタイトルとしていつごろどのように出現してきたか、そしてその中で各著者がどのような定義を与えているか、また辞典等ではどのように定義されているか、といったことを詳細に考察した。その結果、「資料組織」なる語は、新省令にもとづく科目名称としてはなはだ不適当であるという結論を下した。


◎第38回日本図書館研究会研究大会
グループ研究発表として下記の研究発表を行った。
日 時:11月17日(日)
会 場:ポートピア国際会議場
テーマ:Michael Gormanにおける目録法上の提言をめぐって
発表者:岩下康夫氏(長崎純心大学)

内容については下記論文を参照
岩下康夫 Michael Gormanにおける目録法上の提言をめぐって 『図書館界』48巻6号 p.524-531, 1997.03


◎1996年12月例会
日 時:12月21日(土)14時〜16:30
会 場:精華生涯学習ルーム
テーマ:日本全国書誌の改善計画について
発表者:和中幹雄氏(国立国会図書館)

参加者:山野美贊子(大阪府立大総合情報センター)、池内美和子(大阪府立中央図書館)、山中秀夫(天理図書館)、向畑久仁(姫路獨協大図書館)、蔭山久子(帝塚山短期大学図書館)、宮生裕子(大阪体育大図書館)、前川和子(大谷女子大図書館)、北西英里(大阪府盲人福祉センター)、野口恒雄(佛教大図書館)、田窪直規(近畿大学短期大学部)、和中幹雄(国立国会図書館)吉田暁史(帝塚山学院大学)
 国立国会図書館の「全国書誌サービス改善計画」について、11月26日に開催されたJAPAN/MARC利用者懇談会での討議内容を中心に報告した。またネットワーク時代における国立国会図書館の書誌サービスおよび書誌調整にかかわる将来の課題についても言及があった。改善の要点は以下の通り。
(1)データの標準化等(NDC9版の採用、NCR1987年版の採用、タイトル、著者等の読みの付与基準の改善、典拠データの提供等)
(2)アクセスポイント等の拡充(副書名、シリーズ名のすべての読みの付与、内容細目データへの区切り記号の導入、等)
(3)非図書資料等の収録(CD−ROMを含むすべての非図書資料のJAPAN/MARCへの収録等)
(4)タイムラグの短縮
(5)提供方式等の改善検討(JAPAN/MARC(M)の改訂、オンライン提供の拡充等)
 以上のようにかなり大幅な改善が実施されることになる。

◎例会終了後、千日前(車)で忘年会開催