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1998年月例研究会報告

整理技術研究グループ


◎1998年1月例会
日 時:1月31日(土)14:15〜16:30
会 場:大阪市立精華生涯学習ルーム 203号室
テーマ:司書講習科目改訂と資料組織法(まとめ2)
発表者:吉田暁史氏(帝塚山学院大学)

出席者:蔭山久子(帝塚山短大図書館)、前川和子(大谷女子短大)、田窪直規(近畿大学)、宮生裕子(大阪体育大学図書館)、中村恵信(大阪府公文書館)、久保恭子(甲南女子高校図書館)、前畑典弘、山野美贊子(大阪府立大学総合情報センター)、吉田暁史
 日本図書館研究会研究大会は、1998年3月1日(日)〜2日(月)、京大会館において開催と決まった。当グループも1日に発表する。先12月に発表した内容のほか、その後の討議の結果もふまえた最終的なまとめが報告された。


◎第39回日本図書館研究会研究大会
グループ研究発表として下記の研究発表を行った。
日 時:3月1日
会 場:京大会館
テーマ:司書講習科目改訂と資料組織法
発表者:吉田暁史、田窪直規
内容については下記論文を参照
吉田暁史、田窪直規 司書講習科目改訂と資料組織法 『図書館界』50巻2号 p.84-90 1998.7


◎1998年3月例会
日 時:3月28日(土)14:15〜16:30
会 場:大阪市立精華生涯学習ルーム
テーマ:BSHを利用したOPACの主題検索(1)
発表者:渡邊隆弘氏(神戸大学附属図書館)

出席者:吉田憲一(天理大学)、前川和子(大谷女子短大)、光斎重治(中部大学図書館)、蔭山久子・日垣敦子(帝塚山短大図書館)、北克一(大阪市立大学)、吉田暁史(帝塚山学院大学)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)
 1998年刊行予定のBSH4版は、参照構造をシソーラス・スタイルに再編成するなど、大幅な改訂となっている。BSH4版の編集用機械可読ファイルを使用して、参照関係を活用した主題検索を支援する実験システムを作成した。検索システムの作成と評価、および件名典拠ファイルの構築について発表があった。


◎1998年4月例会
日 時:4月25日(土)14:15〜16:30
会 場:大阪市立精華生涯学習ルーム
テーマ:BSHを利用したOACの主題検索(2)
発表者:渡邊隆弘氏(神戸大学附属図書館)

出席者:蔭山久子(帝塚山短大図書館)、日垣敦子(佛教大学図書館)、前畑典弘、吉田憲一(天理大学)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、吉田暁史(帝塚山学院大学)
 3月例会では、1998年刊行予定のBSH4版の編集用機械可読ファイルを使用した、件名標目による主題検索支援実験システムの概要を発表した。今回は、タイトルキーワード検索と比較しつつ当システムの評価を試みた。
 なお当報告に関連して、発表者による下記の論文があるので参照していただきたい。
 渡辺隆弘 件名標目によるOPACの主題検索 『TP&Dフォーラムシリーズ』8号(1999)


◎1998年6月例会
日 時:6月27日(土)14:30〜17時
会 場:同志社大学図書館司書課程資料室
テーマ:「資料組織概説」について−その編集方針と構成−
発表者:大城善盛氏(同志社大学)、倉橋英逸氏(関西大学)

出席者:大城善盛、倉橋英逸、渡辺信一(同志社大学)、武内隆恭(京都橘女子大)、前畑典弘、光斎重治、吉田憲一(天理大学)、野口恒雄(佛教大学)、日垣敦子(佛教大学図書館)、吉田暁史(帝塚山学院大学)
 発表者らは下記の教科書を執筆したが、編集方針等に関し以下のような報告があった。
1.「資料組織概説」に対する基本的な考え方
 書誌コントロールと主題コントロールという概念を骨組みとして教科書を構成した。レファレンスと目録法はともに書誌データベースを基本とするが、前者は使う側の立場であり、後者は作る側の立場から扱わねばならない。
2.「資料組織演習」との関係
3.各章の構成に対する考え方
 当教科書では主題アクセスに関する説明に特色があると考えているが、事前結合と事後結合、シソーラスといったことを積極的に教育内容として取り入れた。
参考文献
大城善盛、倉橋英逸、岡田靖、渡部満彦共著『資料組織概説』(樹村房,1997)(新図書館学シリーズ 9)


◎1998年8月例会
日 時:9月5日(土)14:15〜16:30
会 場:大阪市立精華学習ルーム 303号室 06-636-1057
テーマ:資料組織概説各教科書の比較検討(1)
発表者:吉田暁史(帝塚山学院大学)ほか

出席者:光斎重治、久保恭子、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、吉田暁史
 新カリキュラム対応「資料組織概説」の教科書は下記3冊が出そろったが、これらを比較検討した。
1.資料組織概説 / 柴田正美著. -- 日本図書館協会, 1998.2. -- (JLA図書館情報学テキストシリーズ ; 9)
2.資料組織概説 / 岩淵泰郎編著. -- 東京書籍, 1998.2. -- (新現代図書館学講座 ; 10)
3.資料組織概説 / 大城善盛、倉橋英逸、岡田靖、渡部満彦共著. -- 樹村房, 1997.12. -- (新図書館学シリーズ ; 9)


◎1998年9月例会
日 時:9月19日(土)14:30〜17時
会 場:神戸市立東灘区民センター
テーマ:資料組織概説のシラバス構築に向けて
発表者:渋谷嘉彦氏(相模女子大学)

出席者:野口恒雄(佛教大学)、久保恭子、前川和子(大谷女子短大)、田窪直規(近畿大学)、山中秀夫(天理大学)、吉田暁史(帝塚山学院大学)、渋谷嘉彦
 資料組織概説のシラバスを考える前提として、資料組織論と情報(蓄積)検索論の区別と連関に関する理論的な検討と、改訂された司書講習科目の中で、資料組織概説、資料組織演習、情報サービス概説、情報検索演習、および情報機器論の棲み分けに関する検討に向けて問題提起した。具体的には以下のような指摘があった。
1.資料そのものの組織化、次に書誌レコードの組織化について教える。
2.書誌レコードの組織化については、書誌記述論と書誌アクセス論に分け、書誌アクセス論では、著者、タイトル、主題によるアクセスをまとめて扱う。
3.省令科目は司書養成の基礎あるいは導入教育として位置づけられるべきものであり、したがって科目および単位数は必要最小限のものとする。
4.司書講習、司書課程、図書館・情報学科、大学院のレベルと段階的に考えるべきであり、省令科目はこのうち司書講習のレベルと考えられる。
参考文献
渋谷嘉彦「資料組織法」の新シラバス構築に向けて 『短期大学図書館研究』12号, 1992
渋谷嘉彦「連載:情報に関する資格と専門職 (3) 司書」『情報の科学と技術』48巻8号, 1998.8


◎1998年10月例会
日 時:10月17日(土)14:30〜16:30
会 場:日本図書館研究会事務所
テーマ:資料組織概説教科書の比較検討(2)
発表者:蔭山久子氏(帝塚山短期大学図書館)
    前川和子氏(大谷女子短期大学)
    吉田暁史氏(帝塚山学院大学)

出席者:蔭山久子、前川和子、前畑典弘、吉田憲一(天理大学)、吉田暁史
蔭山:各教科書の特色に関する考察
前川:(1)『目録と分類』の著者、チャンは今どういうことを教えているか。ケンタッキー大学におけるチャン担当の「知識の組織化」2(Organization of Knowledge)シラバスから教育内容を探る。Subject AccessとDescription and Encodingという2分野に大別される。記述およびコーディング分野では、固有名典拠コントロール、メタデータ、USMARC Format等のコーディングといった章から成り、従来の「目録法」という範囲を超えている。
(2)吉田の作成した「各項目比較」をさらにまとめると、多くの教科書に書かれていない項目が、主題索引法関係では、「自然語と統制語」「自然語による索引法」「事前結合索引と事後結合索引」「意味論と統語論」などなっている。これらはそれほど重要なことではないのだろうか。
吉田:『資料組織概説』(東京書籍)オンライン目録(第5,第6章)を中心に


◎1998年11月例会
日 時:11月28日(土)14:30〜17時
会 場:大谷学園帝塚山学舎
テーマ:『資料組織概説』(東京書籍)について−オンライン目録を中心として−
発表者:石井啓豊氏(図書館情報大学)

出席者:田窪直規、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、前川和子(大谷女子短大)、志保田務(桃山学院大学)、石井啓豊、吉田暁史(帝塚山学院大学)
 『資料組織概説』(東京書籍)に関して、教科書全体の構成に関する説明のほか、特にオンライン目録(第5,6章)を中心として詳しい報告があった。具体的な発表内容は下記のとおり。
1.教科書執筆に際する基本的な枠組みとして、(1)情報構造、目録データベースの概念モデル、目録の標準化、互換性といったことに重点をおく、(2)目録データベースを中心としてさまざまな検索が成り立つ、(3)コンピュータについての最小限の知識を盛り込む、といったことを考えた。
2.目録の作成から検索といった全体の流れを把握できるようにこころがけた。
3.データベース、全体の目録システム、目録規則の関係を理解してもらおうと考えた。
4.目録規則については、基本的にはマニュアル環境にそって作られており、コンピュータ目録とどう整合して教えるかが難しかった。
5.一般の情報検索にはない目録特有の検索機能、つまり集中機能を強調した。
6.MARCフォーマット自体をあまり詳しく説明する必要はないと判断した。


◎1998年12月例会
日 時:12月12日(土)14:15〜16:30
会 場:大阪市立精華学習ルーム
テーマ:JLA『資料組織概説』について−書誌コントロールを中心に−
発表者:柴田正美氏(三重大学)

出席者:田窪直規(近畿大学)、前畑典弘、北克一(大阪市大)、村上泰子(梅花女子大)、池内美和子(大阪府立中央図書館),吉川逸子(大阪府立中央図書館),柴田正美、吉田暁史(帝塚山学院大学)
 東京書籍および樹村房の『資料組織概説』と比べて特徴的なことは、「書誌コントロール」に多くのページを割いていることと思われる。省令の「司書の講習科目のねらいと内容」によっても書誌コントロールには触れることになっており、それなりのページをあてることは当初から予定していた。しかし執筆の過程で個別図書館における目録作成作業を大きく変容させる可能性のある考え方としての書誌コントロールの重要性に気づき、この部分を充実させる結果となった。そのため、分類に関する記述の割合は低下し、件名については全く触れていないという欠陥も生み出した。件名については、BSHが改訂寸前ということもありあえて触れなかった。書誌ユーティリティの利用によって標準的な書誌的記録を入手することになるが、図書館によって必要なデータは異なるので、それぞれの図書館においてどのような目録データを作成し、どのように提供していくかを考えるべきである。このような観点から個別館にとっての書誌コントロールという視点をまず強調した。そして個別図書館の力の集積として総合目録があり、複数の総合目録の共同化で、国レベルの書誌コントロールが生まれるという考え方を基礎に執筆した。
◎例会終了後忘年会を開催した。