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1999年月例研究会報告

整理技術研究グループ


1月例会  志保田務氏 「資料組織法からメディアの構成へ」
2月例会  宮崎幹子氏 「AATの成立過程とその内容」
3月例会  伊藤 順氏 「テクストの機能と書誌的要件」
6月例会  中村幸雄氏 「『情報検索理論の基礎』をめぐって」
7月例会  渡邊隆弘氏 「メタデータ−文献紹介−」
10月例会  志保田務氏 「BSH第4版の検討 その1:序説を読む」
12月例会  吉田暁史氏 「BSH第4版の検討 その2」


◎1999年1月例会
日 時:1月23日(土)14:15〜16:30
会 場:大阪市立精華学習ルーム
テーマ:資料組織法からメディアの構成へ
発表者:志保田務氏(桃山学院大学)

出席者:渡辺隆弘(神戸大学附属図書館)、光斎重治、藤井千年(大手前女子大)、中村恵信(大阪府公文書館)、前畑典弘、平井尊士(兵庫大学)、前川和子(大谷女子短大)、垣内弥生子(大阪府教育センター)、久保恭子(甲南女子高校図書館)、蔭山久子(帝塚山短大図書館)、谷本達哉(羽衣学園短大)、伊藤順(愛知大学)、志保田務(桃山学院大学)、吉田暁史(帝塚山学院大学)

1.省令における整理関係科目の変遷(司書、司書教諭)
2.最近の改正の特徴
 図書館法
  整理科目の統合と減単位
  情報サービス科目の統合
  情報系科目の強化
 学校図書館法
  科目構造の変更
  資料選択・整理科目の合一
  整理科目の減単位
  メディア・情報系の増強
3.『資料組織法』(第一法規)における先行と妥協
4.『資料組織論』(放送大学)における実験
5.『分類・目録法入門』への副題「メディアの構成」の新設
6.省令改正と研究者、教育、テキストにおける対応


◎1999年2月例会
日 時:2月20日(土)14:30〜17時
会 場:大阪樟蔭女子大学衣料情報室
テーマ:AATの成立過程とその内容
発表者:宮崎幹子氏(奈良国立博物館)


出席者:田窪直規(近畿大学)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、吉田暁史(帝塚山学院大学)、蔭山久子(帝塚山短大図書館)、山本知子(システムズ・デザイン株)、村井正子(システムズ・デザイン)、浜田行弘(関学図書館)、谷津理映子(T&T Design Lab.)、千速敏男(成安造形大学造形学部)、吉見真樹(日本科学技術振興財団)、横田真一(日本科学技術振興財団)、遠藤隆明(日本科学技術振興財団)、高橋晴子(大阪樟蔭女子大学衣料情報室)、住広昭子(東京国立博物館資料部)、川口雅子(東京芸術大学大学院)、守屋祐子(千里文化財団)、宍戸芽衣(大阪教育大学大学院)、中井康之(西宮市大谷記念美術館)、井渓明(堺市博物館)、赤尾栄慶(京都国立博物館)、坂本昇(伊丹市昆虫館)、向畑久仁(姫路獨協大学)、宮崎幹子(奈良国立博物館)
 美術分野のシソーラスであるArt and Architecture Thesaurus (AAT)の成立過程と内容に影響を与えた諸要素を整理し、その特質について発表があった。AATは1980年代に開発され、1989年には全3巻として出版され、1994年には約90,000語を含む第2版全5巻が出版された。構造的にはMeSHのモデルに基づき、用語の収集にあたってはLC件名との互換性が重視された。オンラインでの利用も可能となっているが、今回取り上げたのは冊子体版である。階層表示とアルファベット順排列表示とからなり、階層表示では、7つのファセットと33の階層(ファセットの下位区分)にまず大別される。各下位区分のもとでディスクリプタが最上位語から最下位語までが階層的に配置される。ただし同じアレイ内ではアルファベット順に配置される。各ファセット各ディスクリプタには記号が付与されており、体系的な表示を行う。アルファベット順排列表示部では、SN、UF、RT等は表示するが、BT、NTは表示しない。このあたりはMeSHと同様である。
 なお、本例会はアートドキュメンテーション研究会との共同開催である。


◎第40回日本図書館研究会研究大会
グループ研究発表として下記の研究発表を行った。
日 時:3月8日(月)
会 場:本能寺文化会館(京都市)
テーマ:「資料組織概説」教科書の比較検討
発表者:吉田暁史(帝塚山学院大学)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)

本発表の内容は下記論文に収録されています。
吉田暁史、渡邊隆弘 「資料組織概説」教科書の比較検討 『図書館界』51巻2号 p.84-90 1999.7


◎1999年3月例会
日 時:3月27日(土)14:15〜16:30
会 場:大阪市立精華学習ルーム
テーマ:テクストの機能と書誌的要件
発表者:伊藤順氏(愛知大学)

出席者:田窪直規(近畿大学短期大学部)、藤井千年(大手前女子大)、吉田憲一(天理大)、中村恵信(大阪府公文書館)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、蔭山久子(帝塚山短期大学図書館)、光斎重治、山野美贊子(大阪府大総合情報センター)、前川和子(大谷女子短期大学)、垣口弥生子(大阪府教育センター)、北克一(大阪市立大学)、志保田務(桃山学院大)、向畑久仁(姫路獨協大)、伊藤順(愛知大学)、平井尊士(兵庫大学)、吉田暁史(帝塚山学院大学)
 書誌的対象のテクストの機能を情報の実用性と価値の有用性という利用軸をたてて考察し、書誌記述の方法の根拠をエスカルピの機能論をも手がかりとして探る。
例会終了後、光斎重治、藤井千年、前川和子各氏の教職就任祝いを行う(高島屋ローズルーム) 参加者:24名


◎1999年6月例会
日 時:6月26日(土)13:45〜16:45
会 場:近畿大学会館
テーマ:『情報検索理論の基礎』をめぐって
発表者:中村幸雄氏(インフォーコム技術事務所)

出席者:笠井詠子(帝塚山学院大学)、吉田暁史(帝塚山学院大学)、前川和子(堺女子短期大学)、久保恭子(元甲南女子大学図書館)、田窪直規(近畿大学)、浜田行弘(関学図書館)、山本伸一(神戸大学院生)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、前畑典弘
中村幸雄
 当グループでは、中村幸雄著『情報検索理論の基礎』(共立出版, 1998)の輪読会を行ってきた。その過程で著者に疑問点等の提出もしてきた。今回著者をお招きして、本書の概要と執筆目的、当グループとのやりとり、等に関して報告していただいた。


◎1999年7月例会
日 時:8月7日(土)14:30〜17時
会 場:日本図書館研究会事務所
テーマ:メタデータ−文献紹介−
発表者:渡邊隆弘氏(神戸大学図書館)

出席者:蔭山久子・篠原寛頼(帝塚山大学図書館)、山本伸一(神戸大学大学院生)、久保恭子、前川和子(堺女子短期大学)、渡辺隆弘、戸上良弘・吉田暁史(帝塚山学院大学)
 本年度以降の重要なテーマの一つとして、当グループはメタデータの記述をとりあげるが、その第1回目として、主に日本語文献を対象として文献紹介を試みた。多数の日本語論文とネットワーク情報源をもとに、メタデータに関する実践・研究動向を探った。メタデータに関する定義であるが、本来あらゆる資料、情報源を対象とするはずであるが、実際にはネットワーク情報源を前提としていることが多い。メタデータの策定例としては、さまざまなものがあるが、やはりその中心はDublin Coreである。1995年以来のDublin Coreに関する会議の紹介があり、「コアエレメント」という考え方、およびそこで制定されている記述要素の具体的内容が示された。


◎1999年10月例会
日 時:10月30日(土)14:30〜17時
会 場:大阪市立阿倍野市民学習センター
テーマ:BSH第4版の検討 その1:序説を読む
発表者:志保田務氏(桃山学院大学)

出席者:蔭山久子(帝塚山短大図書館)、前川和子(堺女子短期大学)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、光斎重治(愛知大学)、北克一(大阪市立大学)、笠井詠子(帝塚山学院大学)、前畑典弘、豊田邦雄(島根県立女子短大)、野口恒雄(佛教大学)、松井純子(大阪芸大)、田窪直規(近畿大学)、向畑久仁(姫路獨協大学)、志保田務、吉田暁史(帝塚山学院大学)
 BSHが16年ぶりに改訂され、第4版が刊行された。当グループでは、今年度の主要研究テーマの一つとしてBSH第4版を取り上げるが、第1回目は序説を検討した。件名標目の採録方針、適用対象とする図書館、といった総論的なことから始まり、細目や限定語の使用法、階層構造表、一般件名規程、等の各論にいたるまで、幅広い問題点の指摘があった。


◎1999年12月例会
日 時:12月4日(土)14:30〜17時
会 場:神戸市立東灘区民センター
テーマ:BSH第4版の検討 その2
発表者:吉田暁史氏(帝塚山学院大学)

出席者:蔭山久子(帝塚山短大図書館)、北西英里(大阪府盲人福祉センター)、久保恭子(元甲南女子高校図書館)、前畑典弘、松井純子(大阪芸術大学)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、野口恒雄(佛教大学)、吉田憲一(天理大学)、大國克子、前川和子(堺女子短大)、田窪直規(近畿大学)、吉田暁史
 コピーカタロギングが進行し、MARCの直接・間接利用が常態となっている今日、件名標目表の役割は飛躍的に大きくなっている。以前なら叫ばれながらもほとんど実践されなかった件名目録が現実に役立つ環境が整ってきている。件名標目表を維持管理する委員会の責任は重大なものとなっている。そういうなかでBSH第4版が刊行された。BSH4版は果たして主題検索の役割を十分に果たしているのだろうか。発表者は元件名標目委員会の委員として4版の編集に加わったが、そのいきさつを離れて純粋に研究の側面から発表があった。採録方針、例示件名、かっこによる限定、分野ごとの共通細目、シソーラススタイルへの変更、字順配列への変更、SA(see also)参照、説明付参照といった諸点につき、何が変わったのかが論評を交えて報告された。
 次に、事前結合形の維持、地名件名の扱い、中黒形式の件名、といった点で変わっていない点も多いという指摘があった。最後に複合語とそのファクタリング規則、Polyhierarchy、体系表示といった点での将来的な方向性について若干の言及があった。

◎例会終了後、東灘・かごの屋で忘年会開催