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整理技術研究グループ勉強会記録(2003年度)

「最近における目録規則改訂動向」第1回


日時:
2003年3月27日(木) 19:00〜
会場:
日本図書館研究会事務所
発表者 :
吉田暁史氏
テーマ:
最近における目録規則改訂動向(1)NCR、AACR2、ISBDの最新版を概観する
出席者:
吉田(帝塚山学院大)、田窪(近畿大学),河手(大阪樟蔭女子大学図書館)、蔭山(帝塚山大学図書館)、安威(梅花女子大学図書館)、村井(京都精華大学情報館)、堀池(京大学術情報メディアセンター)、川崎(仏教大学)、尾松(奈良県立図書館)、前川(堺女子短期大学)

1.各目録規則の改訂経過
●ISBD (1981年以後の改訂で主なもの)
 1990年 ISBD(CF) Computer Files ← 新しい動き
 1997年 ISBD(ER) Electronic Resources
 2002年 ISBD(CR) Continunig Resources
●AACR2
・2002年の改訂・・・記述第3章(CM)、第9章(ER)、第12章(CR)の大改訂
  用語改訂、0.24節改訂など
★ISBDとAACR2との改訂はほぼ同時期

2.Electronic Resources
・名称の変更・・・computer files→electronice resources
・電子資料をremote accessとlocal accessとに2分
・すべてのremore accessは出版されたものとみなす
・remote accessは、第5エリア(形態的記述)を記載しない
→論理的には物理的な形態は必ず存在するにもかかわらず、実務的な事情から記載しないと定めている。理論的な問題と実務的な問題の混同が見られる。
・第3エリアの名称を変更
 (File characterstics area→Type and extend of resource area)
 電子資料の種類と数量を記載(HTMLやPDFといった情報はここに記載)
→資料種別に特有の情報を記載すべき第3エリアに、記録された内容物の種類と
数量を記載する。内容的種類と物理的種類との切り分け(定義)ができていないため両者の区分が不明確。

3.Continuing Rescources
・逐次刊行物(serials)から継続資料(continuing resources)へ
  継続資料・・・逐次刊行物と継続統合資料
      物理的には統合しているが内容的には変化するもの
  逐次刊行物・・・記述の基盤としての初号主義
  統合資料・・・第3エリアのumbering areaは原則として適応されない
      記述の基盤は最新の状態
★論理的な親近性がほどんどない逐次刊行物(物理的な刊行の継続性)と、統合資料(内容的な継続性)が同居している。その結果、ほどんどの規則内容で「逐次刊行物」と「統合資料」とが別々の規定になっている。
←別々の資料区分として扱ったほうが理論的にすっきりするし、実用的である。同一の資料区分として扱うにはメッリトがない。

4.用語定義の変更と新設
・bibliographic resourceとitem
 ISBD・・・2001〜2002でitemが記述対象の意味でほぼ用いられなくなり、かわりにbibliographic recourceが用いられるようになった。
 AACR2・・・記述の基盤としてitemとbibliographic resourceの両方が使われている。
★bibliographic resourceとitemとの違いが不明。
・bibliographic resourceの定義
 「An expression or manifestation of a work or an item that forms the basis for bibliographic description」←FRBRの用語が用いられているのか?
 (1)expressionとmanifestaionは一般的な用語ではないのでFRBRの用語としか見えない。
 (2)なぜmanifestaionには冠詞がつかないのか
 (3)expressionがwork、manifestationがitemに対応する?
 (4)文書表現の論理が破綻している。
 (5)expressionは記述の対象となるのか?
・bibliographic resourceの「bibliographic」 bibliographicは記述対象←なぜbibliographicをつけるのか?
 専門用語に見せかけるため(?)の単なる修飾?
・「resource」について
 JSCでは、itemではなくobjectをつかうべしと言う意見も出ていた。
 →結果としては、itemの代わりに、bibliographic resourceを用いるようになった。