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整理技術研究グループ勉強会記録(2004年度)

「目録規則再構築の動向」第5回


日時:
2004年4月22日(木) 19:00〜
会場:
日本図書館研究会事務所
発表者 :
吉田暁史氏(帝塚山学院大学)
テキスト:
Invitation to: World-Wide Review of "ISBD(ER): International Standard Bibliographic Description - 2004 revision" http://www.ifla.org/VII/s13/guide/isbder04.htm
出席者:
吉田(帝塚山学院大学)、蔭山(帝塚山大学図書館)、田窪(近畿大学)、尾松(奈良県立図書館)、進藤(京都大学附属図書館)、森岡(帝塚山大学図書館)、渡邊(神戸大学附属図書館)

1. FRBR(1998)の成果を踏まえて、「必須」や「選択」の見直し例:頒布者の役割表示等が選択から必須になった
2. 用語の変更 ←ISBD(G)の用語の変更をうけて変更
2.1. 「item」
「item」というの用語のFRBRとISBD概念の違い←本来用語を合わせる必要はない。
FRBF…概念分析のモデル化-個々の物理的存在
ISBD…直接記述を定める
 AACRの場合「目の前にある記述対象」
館界に混乱が起こってきたのでISBD側で変更した。

2.2. documentとresource …記述対象にあたるもの
(1) FRBRにおける第1実体の定義
 書誌レコードにおいて命名あるいは記述される知的・芸術的活動の成果
(2) ISBD(G) 2003 Revision. Draft for World wid Reveiwにおける定義
Document
 An object that comprises intellectural and/or artistic content and is conceived, produced, and/or issued as while.
Resource
 A document, group of document, or part of a document, in any medium or combination of media, tangible of intangible, considered as an entitiey and forming the basis of a single bibliographic description.
★documentsかcontentの方が分かりやすい。
★documentが固定化されたものがresourceではないか?
★例示がないのでdocumentのイメージがつかみにくい。
(3) ISBD(ER) 2004 Revision. Draft for World wid Reveiwにおける定義
Document
 An object that comprises intellectural and/or artistic content and is conceived, produced, and/or issued an entity.
Resource
 A document, group of document, or part of a document, in any medium or combination of media, tangible of intangible, considered as an entitiey and forming the basis of a single bibliographic description.
 ISBD(ER)2004では、ISBD(G)に合わせて用語定義を変更した。
 微妙な違い(Documentにおける"while"と"entity")はあるが、おそらくこれにあわせてISBD(G)をも書きかえるつもりであ
 ろう。
(4) CC:DAによるコメント(http://www.libraries.psu.edu/tas/jca/ccda/docs/chair15.pdf)
Comments of CC:DA on ISBD(G), 2003 revisionによれば、documentの定義に対するCC:DAの批判がある。
[1]documentという用語の役割が不明確である。というのは、それはrecord(resourceの誤りとおもわれる)の定義にのみ使用されているから。
[2]FRBRにおけるwork, expression, manifestationという概念とdocumentは同延なのだろうか?もしそうなら、FRBRにおける「創作され(work)、実現され(expression)、そして/あるいは製作される(manifestation)」という動詞を全体として使用していることは明らかである。
[3]もしdocumentが定着して使用されるならば。「いかなるメディアあるいはメディアの組み合わせであろうと、あるいは有形であれ無形であれ」という句は、resourceの定義よりはdocumentの定義によりふさわしいであろう。
(5)発表者(吉田氏)の解釈
A. documentとresourceとは別物である。
 documentはテキストを連想するから言葉として悪いが、記述という行為に先だって存在する情報資源(著作単位)を定義するのであろう。そしてCD:DAの言うごとく、FRBRの第1実体と同じと考えてよいと思われる(FRBRの実体の定義は厳密にはresourceの方であるが)。「知的/芸術的内容を持つひとかたまりの対象物」であり、「ひとつのまとまりとして作られた何らかの作品」ということであろう。
 これに対して、resourceは「記述対象」が何であるかを定義している。documentそのものでもよいし、その一部分でもよいし、それらの集合体でもよい。部分自体はdocumentであることもあるしdocumentでないこともあろうし、集合体がdocumentであることもないこともあるだろう。たとえそれらがdocumentでなくても記述の対象となりうる。
 たとえば、ある論文の「はじめに」という章のみでは通常documentとはいえないだろうが、記述の対象とはなりうる。
 またハムレットとリア王を単に一冊にまとめた「シェイクスピア集」という本もdocumentとはならないだろうが、単一の書誌レコードによる記述の対象となりうる。いわばNCRに置ける書誌単位のようなものか。
 もしdocumentの部分もdocumentでなければならず、documentの集合もdocumentでなければならないのであれば、documentとresourceとを区別する必要性がない。documentとresourceとを、例えばresourceに一本化して現documentと同様の定義をした後で、「それはより大きなresourceの一部分をなす場合もあるであろうし、またあるresourceの一部分もまたresourceになりうる」と付記すればすむことである。
B. CC:DAの[3]の指摘はそのとおり。
 「いかなるメディアであれ…」というのはdocumentの定義段階で用いるべし。resourceはdocumentを土台にして、記述作業に関わる拡張部分のみを追加定義すればよい。bibliographicに「図書」という狭い意味さえなければ、resourceはまさにbibliographic resourceがぴったりあてはまることになる。
C. 従来のISBDのいい加減さからして、もっとつまらない理由でdocumentoとresourceとを分けてしまったのではないかという不安と疑いがある。
★documentの定義が不明確であるので具体例が必要ではないか。

3. AACR2の方針(ER1997年版との相違)
(1)主情報源を「記述対象」とし内部情報源を優先しない。
(2)「異版と見なさない相違」が狭く、キャリアの違いやIBM版とMacintosh版の違い等はあげられていない。
(3)第3エリアで記述される"Type of Resource"(ISBD(ER)のDesignation of Resourceにあたる)に用いられる用語が"data","program(s)","data and program(s)"の3種類のみと著しく簡略である。なお、改訂過程では、第3エリアの必要性やリモートアクセス資料の取り扱い方針(すべて「出版されたもの」とみなすこと、第5エリアを記述しないこと)について、ISBD(ER)に強い疑義が出されたといつ経緯がある。

4. 規則適応順序の変更
 複合的な資料に対して、1997年版では「まずERを参照し、次に必要に応じて他の章を参照する」となっていたのを、2004年版では「他の資料の章を参照し、次にERを参照せよ」と変わった。
★コンテンツ(内容)重視の方向でこのような変更が行われたとはかぎらない。

5. 主情報源が内部情報源優先から、記述対象自体へと変化した。
 AACR2とそろえることとなる。

6. 「第3エリアは使用せず」となった。
 1997年版では"Type of extent of resource area"という名称のもと"Designation of resource"と"Extent of resource (optional)"という2つの要素を定めていた。付録Cに詳しい実例が記載されていた。AACRでは簡単な実例しかなかった。これらがすべて廃止された。
★ただ単に廃止しただけ
 第3エリアを廃止したのであるから第3エリア名は一般的な名称である"Material (or type of publication) specific area"に戻し、かつ「不使用」とせねばならぬところを名称はそのまま記載し「不使用」と注釈している。
★元の名称"Type of extent of resource area"は第3エリアの使用を前提とする名称