整理技術研究グループ勉強会記録(2004年度)
「目録規則再構築の動向」第12回
- 日時:
- 2004年11月18日(木) 19:00〜
- 会場:
- 日本図書館研究会事務所
- 発表者 :
- 蔭山久子氏(帝塚山大学図書館)、吉田暁史氏(帝塚山学院大学)
- テキスト:
- 大場利康、川端道子「図書における主題検索−NDL-OPACでの検索と国立国会図書館の取組み−」『情報の科学と技術』 54巻7号(2004), p.341-347
『国立国会図書館件名標目表2004年度版』 「序説」と 「国立国会図書館件名標目表(第5版)との相違点」
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/ndl_ndlsh.html
- 出席者:
- 吉田(帝塚山大学)、川崎(仏教大学)、蔭山(帝塚山大学図書館)、田窪(近畿大学)、渡邊(神戸大学附属図書館)、安威(梅花女子大学図書館)、河手(大阪樟蔭女子大学図書館)
図書館における主題検索
−NDL-OPACでの検索と国立国会図書館の取組み−
(注:*はNDL-OPAC(利用の手引き)より)
はじめに
1.NDL-OPACを使った主題検索の現況
*分類記号による検索はNDC・NDLC・LCC・DDC・UDC・GPOで可能。組合せも可能。
*一般資料の特定項目に含まれているのは件名検索(NDLSH)。
*普通件名については件名の一覧がある。
1.1 NDC検索
一般資料の特定項目にあるNDC検索では、NDCを3階層で表示。
3桁程度の深度では検索結果表示上限の200件を超えてしまうのが弱点。
*書誌検索項目の「分類記号」欄にNDCを指定して分類記号を入れて検索した場合は、検索結果は入力した文字列に完全一致。
例:「123」は「123.4」はヒットしない。
「/123」は前方一致。「123/」は後方一致。「*123*」は中間一致。
★記号のつけ方・種類がおかしい。わかりにくい。
1.2 件名検索
一般資料の特定項目である件名検索で検索できるのは、普通件名と固有件名。
それをクリックするとその件名が付与されている図書を検索を検索することができる。
和図書に付与されている件名のみ。
詳細設定で、件名典拠を通すか通さないか、全文検索かキーワード検索かが設定できる。
*典拠形だけでなく参照形を入力しても「を見よ」で典拠形へ導かれる。
1.3 書誌検索
書誌検索は「一般」と「拡張」の2種類がある。
書誌検索での主題に関する項目は件名と分類記号。
「拡張」では検索項目に「細分」「追加」をいうボタンがあり、より細かい指定も可能。
項目の掛け合わせが設定できる。
2.レファレンス担当者からみたNDC-OPAC主題検索の問題点
用意されているNDC分類検索・件名検索だけでは検索結果が大きくなりすぎる。
→表示上限の200件を超えてしまうことが多い。
すべての図書に件名が付与されているわけではないので、網羅性に対する信頼に応えられない。
有効な検索結果を得るためには、ほかの検索条件と掛け合わせることで、検索結果を表示上限以内に抑える。
タイトル中の言葉と件名、件名と出版年、といった掛け合わせや検索結果の絞込み
日常語から件名への参照が十分ではない。
効果的な検索インタフェースについての研究が不足している。
★インタフェースがわかりにくい。司書でさえすぐに理解することができない。それを一般利用者に提供するのは不親切ではないか。
3.言葉による主題検索のNDLの取組み
3.1 NDLSH改訂作業について
NDLSHの構造の改訂 (1)参照指示の不足の解消
(2)特定性の不足の解消(主題をより的確に表す件名の付与)
3.1.1 相互参照の追記
「をも見よ」参照だけでなく「を見よ」参照をも追加。どちらかも検索が可能になった。
語の階層表示。
3.1.2 特定性の向上
新たに出現する主題に対し件名の新設を積極的に行う。
地域や時代を特定している場合は地理区分・歴史区分を積極的に行っていく。
3.2 NDL-OPACにおける内容細目記録範囲の拡大
内容細目を記録する基準を改め、記録する対象を拡大する。
それぞれについてそのタイトル・著者を記録する。
4.OPACと主題検索の新たな可能性
4.1 利用者アクセス語彙
NDLSHのシソーラス化。
利用者が検索に使用した語彙を集めて辞書を作り検索語に導く(ベイツレポートでの提案)。
4.2 OPAC表示のガイドライン草稿
IFLAのOPAC表示のガイドライン
検索結果の表示の際に典拠ファイルとヒット件数を表示し、利用者がその結果からさらに何を表示するか選択できるようにすべきと勧告。=「利用者主義」(ベイツレポートの流れをうけている)
キーワード検索でヒット件数が0件の場合、そのキーワードに類似する件名典拠を表示し、利用者がより適切な検索語を選択できるようにすることを提唱。
NDLSHの改訂は、利用者本位のOPAC構築のため、辞書改訂の第一歩と位置付ける。
NDLSH2004年版(暫定版)について
1.NDLSH5版の概要(1991年)
件名標目:17,133件 参照形:5,391件 計:22,524件
構成:訓令式ローマ字順本編と分類体系順別冊
付与分類記号:NDL分類表とNDCによる
意味論
複合語…(例)プラスチック包装材料
★複合語における単語の係り受け関係がよく分からない
語の並列…(例)圧延・圧延機
句による表現…(例)教育と都市、地理上の発見
★索引・検索のことを考えると単語を標目にすべきではないか?
転置形…(例)日本人(ブラジル在留)、美術(日本)
同形異義語…(例)食(天文学)
主題分野の限定…(例)ロマン主義(美術上)、ロマン主義(文学上)
参照
を見よ参照…(例)コンピュータ→電子計算機
をも見よ参照…なし
★欠陥点としてとりあげられている。
一般参照
包括的参照…(例)命名法→各自然科学の標目名の細目、命名法
統語論
細目
一般細目…(例)工業−名簿
特定主題の細目…(例)動物−化石
形式細目(一般細目のうち)…(例)名簿、判例、年鑑、歴史・・・・
地名のもとの主題区分…(例)日本−工業
★地名が前にきたり後にきたりする(順序がある)
主題区分…(例)データ処理−行政、データ処理−医学
これはCitation orderが明らかにおかしい
他に、件名標目、賃金、特許、図書分類、実用新案
地理区分…(地理区分)とある件名のみ地理区分可能
(例)労働問題−川崎市
間接地理区分もあり…(例)動物−日本−北海道
時代区分…(例)アメリカ合衆国−歴史−19世紀
あと、例示細目、特殊細目、あり
★全体的にわかりにくいSyntax構造
2.NDLSH2004年度版(暫定版)の概要
件名標目:16,472件 見出し数:23,928件
構成:50音順排列表と分類記号順排列表
代表分類記号を付与(NDC9版とNDLC)
意味論
件名語の形式は第5版とほぼ同様
参照…→ UF
暦 カレンダー
UF:カンレンダー →暦
嵐 嵐
→暴風雨 →台風
嵐=台風か? 台風内部では、嵐が起こっている
USE シソーラスにおけるUSEではない。これはとんでもない。
《検査》
USE:主題細目「検査」を見よ
これがUSEか?SNであろう
BT、NT、RT、SA、SNの新設
BT、NT、RTの3つを「をも見よ参照」と称している
BT、NTは直上、直下のみ
BT、NT、RTについては、まだまだ整備過程
★BT、RT、NTの基準はない
統語論
地名細目
〈地理区分〉のついた件名のみ、地名細目を続けることが可能
地名は、行政単位の地名以上
(例)都市計画−アメリカ合衆国 都市計画−カリフォルニア州
間接地理区分もあり…(例)都市計画−カリフォルニア州−ロサンゼルス
地名のもとの細目
(1)国や地域の特性を現すもの…例:政治
(2)2つの地域をはさんで表現するもの…例:国境
案内記、遺跡・遺物、外国関係。・・・、地理歴史が、地名のもとの細目となる
★地名の順は資料によってかわるものではないか?
時代細目
すべての件名標目は時代区分が可能
主題細目
SAあるいはUSEにおいて指示がある場合、主題として用いることができる
例:価格
SA:主題細目「価格」をも見よ (例:医薬品−価格)
《分析》
USE:主題細目「分析」を見よ(各自然科学分野、技術分野の件名の細目として用いる。例:空気−分析)
主題区分
例:特許〈地理区分〉(主題区分)
特許−ICカード
主題区分、表示のある件名は、任意の細目を結合できる。
(結合できる件名標目に制限ある場合もある)
形式細目
形式を羅和す細目を形式細目として結合できる。
形式細目として使用される件名標目は、SAまたはUSEにおいて指示が必要。
例:カタログ
SA:形式細目「カタログ」をも見よ(例:機会−カタログ)
《用語》
USE:形式細目「用語」を見よ(例:科学技術−用語)
特殊題目
特定の件名標目のものでの使用される細目。
特殊細目は、表中に集録されている。
(例)世界戦争(1939-1945)−対独協力 議会−特権と免除