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整理技術研究グループ勉強会記録(2007年度)

「図書館目録の将来設計」第9回


日時:
2007年9月14日(木) 19:00〜
会場:
日図研事務所104号室
発表者 :
河手太士氏(大阪樟蔭女子大学図書館)
テキスト:
岡本真, Web2.0時代の図書館 : Blog, RSS, SNS, CGM 『情報の科学と技術』 56(11),502-508,2006.
 http://ci.nii.ac.jp/naid/110004857462/
出席者:
川崎(佛教大学)、渡邊(帝塚山学院大学)、蔭山、吉田(大手前大学)、安威(梅花女子大学図書館)、堀池(摂津市施設管理公社)、田窪(近畿大学)、松井(大阪芸術大学)

1. Web2.0とは何か

「Web2.0」の定義・・・明確な定義がない
   思考方法の一つ=現在起きている変化や現象をとらえた表現
ティム・オライリーによる「Web2.0」の要素
   1. サービス提供者である
   2. データソースをコントロールできる
   3. ユーザーの無意識な参加を促す
   4. 集合知を利用する 
   5. ロングテールを理解する
   6. プラットフォームを選ばない
   7. リッチで軽い
 ※原文
  1. The Web As Platform (プラットフォームとしてのウェブ)
  2. Harnessing Collective Intelligence (集合知の利用)
3. Data is the Next Intel Inside (データは次世代の「インテル・インサイド」)
4. End of the Software Release Cycle (ソフトウェア・リリースサイクルの終焉)
5. Lightweight Programming Models (軽量なプログラミングモデル)
6. Software Above the Level of a Single Device (単一デバイスの枠を超えたソフトウェア)
7. Rich User Experiences (リッチなユーザー経験)

▼ Blog = Web log の略
 特有の機能:トラックバック
  トラックバック…別のウェブログへリンクを張った際に、リンク先の相手に対して
           リンクを張ったことを通知する仕組み
     ←一方通行だったリンクが双方向に
       →言及・被言及、リンク・被リンクの関係が公開される
         =リンクによって張り巡らされたウェブの網の目が明らかになる
        →相互言及が活発になる、第三者への可視化

▼RSS (Rich Site Summary, Really Simple Syndication, RDF Site Summary)
 使い方
・あるサイトが更新された際にその情報をいち早く把握する
・コンテンツそのものを発信受信する
   →RSSで受信した情報を自らが発信することができる

▼ SNS (Social Networking Service)
 招待制によるこれまでより低い匿名性を持つコミュニティ
   例) mixi…数百万人の参加者

▼ CGM (Consumer Generated Media)
UGC (User Generated Content)という言い方もある
  消費者がつくったメディアやコンテンツのことで、BlogやSNSを包括する上位の概念
  ウェブで情報発信するコスト(手間)が小さくなる
例)サイト v.s. Blog
情報の発信・反映・閲覧
              サイト:エディタ→FTPソフトウェア→ブラウザー
              Blog:すべてブラウザー
    →一般市民を担い手とした情報発信が急速に進む
       例)Blog、知識検索(Q&Aサイト)、Wikipedia

「Web2.0」という流れ…情報発信の担い手となる個人と個人の間の結びつきを強める傾向
  個人一人ひとりの力を有効に機能させていくほうがウェブをより一層発展させる
    =「自律分散」の原則の再発見

2. Web2.0時代の図書館

現在の図書館…「Web1.0」以前の段階
・図書館のサイトの開設率が100%に達していない
・OPACの機能がパソコン通信時代の段階にとどまっている

図書館がとるべき道…サービス像の転換
 図書館におけるサービスを図書館や図書館員が独占的に利用者に提供する
  ↓
 利用者自身が直接的・間接的に他の利用者に対してサービスを提供する可能性を取り込む
=利用者を巻き込んだ図書館サービスを展開する

図書館はAmazonのように利用者一人ひとりに「おすすめ」ができるか?
 著者…「できる」だけのポテンシャルがある
     Amazonの「おすすめ商品」機能…購入記録を利用
図書館での「おすすめ」機能…貸出機録を利用
   ※資料の関連性はこれまでは件名標目や分類などを用いた内容に基づく関連性が中心であったが、、
     これからは「共貸出」のような利用に基づく関連性を考慮する必要があるのではないか。
   
図書館がAmazonに匹敵するサービスが展開できていない理由
・システムライブラリアンの不足
・貸出記録を利用する発想がされていない
←図書館員だけが図書館サービスを提供する側にあるという前提
     ※これまで図書館は貸出記録を統計などに他の用途で限定的な範囲で利用してきた。

Amazonの哲学
  「顧客が全てを知っている」→顧客の力を最大限に生かすべき
     =顧客の「集合知を利用する」ことが最良のサービスを生み出す
 
図書館がすべきこと
・資産の再点検…貸出記録のような本に付随するデータ
・再発見したデータの開放
・ヒト・カネ・モノの制約を取り払う
   ヒト(人材)…若手の図書館員の登用と外部の人材の積極的な迎え入れ
   カネ(予算)…資料購入費を削ってでもシステム構築費を確保する
         多角的に投資を