情報組織化研究グループ勉強会記録(2008年度)

「図書館目録の将来設計(続)」第1回


日時:
2008年1月10日(木) 19:00〜
会場:
日図研事務所104号室
発表者 :
吉田暁史氏(大手前大学)
テキスト:
篠原稔和「ファインダビリティ向上を実現するフォークソノミー」『カレントアウェアネス』, 291, pp.3-5, 2007.3(http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/ca/item.php?itemid=1061)
Peter Morville著『アンビエント・ファインダビリティ : ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅』 第6章 ソシオセマンティックウェブ
出席者:
猪俣(ナカバヤシ)、渡邊(帝塚山学院大学)、堀池(摂津市施設管理公社)、蔭山、松井(大阪芸術大学)、川崎(佛教大学)、吉田(大手前大学)、河手(大阪樟蔭女子大学図書館)

フォークソノミー

←自由に好き放題したものから何かが出てくるもの
 「folks(民衆、人々)」と「taxonomy(分類法)」との造語
  taxonomy=分類+索引のことか?
 利用者やコミュニティの関心を共有できるもの
   きちんとした枠組みをもつキーワードよりも各々が勝手なキーワードを付与したほうが共有できるのか?
   キーワードはその時々の流行(はやり)に影響される←専門家やシソーラスのほうが良いものだと言っている

(テキスト2 p.179)
「適切な適切な検索とナビゲーションが可能であれば、フォークソノミーは、それより構造化された分類アプローチ
 よりも優れた成果を挙げる」
  「分類アプローチ」=件名+分類のことであろう

クレイ・シャーキーの主張に対して(テキスト2 p.179)
   「統制語彙ではカバーし切れない」
     ←索引である程度の縛り(単複数形など)を与えて、あとで統制すればよい(大規模シソーラスがあれば工夫次第)
   「大規模システムでは厳格なタグ定義を行うコストは非常に負担になる」
     ←ユーザーに厳格なタグ付けを強制することはできないだろう

(テキスト2 p.181)
「タグは本質的には異なるオブジェクトの集合を縫い合わせる糸の役割を果たし、ボトムアップ方式で定義される創発的なカテゴリ体系、すなわちフォークソノミーを作り出す」
「フォークソノミーは豊穣なコモンズ(共有地、共有知)の中で、著しいコストをかけることなく繁栄する」 
  ←安くできるという効果がある。

(テキスト2 p.183)
「ファインダビリティの尺度からフォークソノミーを考えると、それは等価関係や階層関係などの意味論上の関係性を扱えないために、ある程度規模が大きくなると惨めな失敗を引き起こしてしまう。」
  =限られた範囲でしか有効でない。←大規模になれば従来の方法を行うほうがよい
        ←図書館員や専門家がカバーできないところで狭い範囲で有効

フォークソノミーの利点

 インターネット上の情報のような大規模な情報をなにかしらの組織化を"低コストで"行うことができること
 狭い領域(一つの大学やコミュニティのような)"では"たいへん有効となるもの