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1997年月例研究会報告

整理技術研究グループ


◎1997年1月例会
日 時:1月15日(水)15:00〜17:00
会 場:桃山学院昭和町学舎
テーマ:自然語・統制語の索引と検索:ハングル文献の索引と検索
発表者:崔錫斗氏(梨花女子大学)

「桃山学院大学総合研究所97プロジェクト」との共催
出席者:志保田務(桃山学院大学)、北克一(大阪市立大学)、前川和子(大谷女子大学)、吉田憲一(天理大学)、田窪直規(近畿大学)、蔭山久子(帝塚山短大図書館)、ほかに梨花女子大学および桃山学院大学の学生
 韓国語のシソーラスを開発し、書誌データベースおよび全文データベースを対象として、ハングル文献の索引と検索を行っている。索引では統制語のほか自然語も併用している。こういった韓国における情報検索の状況に関する研究と実践活動の報告があった。骨子は(1)ハングルの独自性からくる問題点、(2)全文データベースの構築方法(全データベースを対象とした1次アクセスと、検索結果の個々の資料を対象とする2次アクセスとに分ける)、(3)索引語の抽出方法、(4)漢字を含むテキストからのハングル読みの自動生成、(5)ハングルによるシソーラスの作成、といった諸点である。
 崔氏は、韓国で図書館情報学の大学を修了後来日し、図書館情報大学で修士課程を、筑波大学で電子工学系の博士課程を修了。韓国帰国後、現大学で文献情報学科長をつとめる


◎1997年3月例会
日 時:3月27日(木)19時〜21:30
会 場:大阪市立阿倍野市民学習センター
テーマ:インターネットにおけるリファレーションデータベース構築の可能性
発表者:浅井勇夫氏(大阪府立大学工学部)

出席者:中村恵信(大阪府公文書館)、田村俊明(大阪市立大学学術情報総合センター)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、前川和子(大谷女子大学)、蔭山久子(帝塚山短大図書館)、田窪直規(近畿大学)、吉田暁史(帝塚山学院大学)
内容
(1)文献参照関係の基本概念
(2)計量文献学の発展
(3)Web情報の増大とその特徴
(4)Web情報間の関連性
(5)今後の課題
 発表者は、ある文献を中心として、それが引用した文献群と、非引用文献群とを統一的に把握したリファレーションという概念を主張した(1984)。ちなみにガーフィールドは後者のみを対象とした。今日のインターネット環境のもとで、リファレーションデータベースを構築する可能性について具体的な構想の提示があった。


◎1997年4月例会
日 時:4月25日(金)18:45〜20:45
会 場:大阪市立北市民教養ルーム
テーマ:和古書整理に関する日米目録規則の比較
発表者:マルラ俊江氏(カリフォルニア大学ロサンゼルス校東亜図書館整理部)

出席者:野口恒雄(佛教大学)、北克一(大阪市大)、日垣敦子(帝塚山短大図書館)、渡辺顕信(同志社大学学術情報センター)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、中村恵信(大阪府公文書館)、前川和子(大谷女子大)、宮尾裕子(大阪体育大学図書館)、志保田務(桃山学院大学)、吉田暁史(帝塚山学院大学)、マルラ俊江
 米国で和古書整理を行うにあたってはそれ専用の目録規則は存在しない。そのため、AACR2ないしは Descriptive Cataloging of Rare Books を参考にせざるをえない。しかし、それらだけに依拠すると日本の目録規則にのっとって作られた書誌データとは全く相容れない書誌データを作ってしまうことも起こり、同じ図書をもとにしていることすらわからないことがありうる。上述の2つの米国の目録規則に加えて、RLG Chinese Rare Books Projectが1995年1月に改訂したCataloging Guidelines for Creating Chinese Rare Book Records in Machine-readable Form、および日本の目録規則として日本目録規則1987版改訂版と長澤規矩也著『和漢古書目録法』とを比較し、その規則の違いから起こるデータ内容の違いについて言及した。


◎1997年5月例会
日 時:6月2日(月)18:45〜20:45
会 場:北市民教養ルーム
テーマ:新カリキュラムにもとづく「資料組織演習」教科書の概要と問題点
発表者:吉田憲一氏(天理大学)、吉田暁史氏(帝塚山学院大学)

出席者:渡辺隆弘(神戸大学図書館)、前畑典弘(京都橘女子大非常勤)、北西英里(大阪府盲人福祉センター)、田窪直規(近畿大学)、北克一(大阪市大)、中村恵信(大阪府公文書館)、蔭山久子(帝塚山短大図書館)、前川和子(大谷女子大学)、吉田憲一、吉田暁史
 吉田憲一氏ほか4名で新カリキュラムにもとづく演習教科書(日本図書館協会刊)を現在執筆中である。シリーズとして刊行されるので以下のような制約がある。
@JLA24単位案の内容に準拠させる。
Aすでに資格取得している人が、新カリキュラムの新しい内容を自学自習できるようにもする。
B1ユニットを1時間に対応させ、全体を50ユニットとする。
演習の基本的な考え
@この科目はユニット方式には向かない
A編集委員会原案は、新カリキュラムの方針を取り入れた新しい内容とはいえない。
Bパソコンを使用したコンピュータ目録演習については、FDを付録として付ける案は認められなかった。
C講義科目との調整。時間数のアンバランス。講義科目の内容の陳腐さ。
目録部分の問題点
@複合媒体資料の扱い、等
分類件名部分の概要


◎1997年7月例会
日 時:7月12日(土)14:10〜16:30
会 場:大阪市立精華生涯学習ルーム
テーマ:ある「資料組織概説」執筆の試み
発表者:古川肇氏(中央大学図書館)

出席者:山下信(武庫川女子大)、田村俊明(大阪市立大学学術情報総合センター)、柏田雅明(帝塚山学院大学図書館)、向畑久仁(姫路獨協大)、吉田憲一(天理大学)、吉田英機(摂南大学図書館)、前畑典弘(京都橘女子大非常勤)、蔭山久子(帝塚山短大図書館)、槻本正行(流通科学大学図書館)、宮生裕子(大阪体育大学図書館)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、田窪直規(近畿大学)、吉田暁史(帝塚山学院大学)、古川肇
 大学の通信教育のテキストを執筆中の現時点において、類書が多い中で独自の特色として追求したい2点、すなわち、体系性と理解され易さを両立した構成、および過不足ない用語定義の課題を中心に発表があった。あわせて、執筆する過程で気づいたNCRの誤りと思われる箇所を指摘して参考に供した。体系性に関しては、「資料に関する記録の組織化」と「資料自体の組織化」とに大きく分けるなど、論理的な体系化をはかっていることに注目すべき点がある。


◎1997年8月例会
日 時:8月27日(水)14:10〜16:45
会 場:大阪府立中央図書館
テーマ:施設見学と目録システムの概要説明
発表者:前田章夫課長、池内美和子(資料情報課)

出席者:田窪直規、松川隆弘(大阪女子短期大学図書館)、久保恭子(甲南女子高校図書館)、北西英里(大阪府盲人福祉センター)、前畑典弘、谷口美代子、吉田暁史・川尻文彦(帝塚山学院大学)、他に帝塚山学院大学学生12名ほど
 1996年5月に竣工した府立中央図書館の見学となります。同時に、府立図書館における目録システムの概要についても説明していただきます。


◎1997年10月例会
日 時:10月18日(土)14:15〜16:30
会 場:大阪市立精華生涯学習ルーム
テーマ:資料組織概説・同演習について−妥協と修正−
発表者:田窪直規氏(近畿大学)

出席者:田窪直規、蔭山久子(帝塚山短大図書館)、吉田憲一(天理大学)、吉田暁史(帝塚山学院大学)、前畑典弘、中村恵信(大阪府公文書館)
 本年度のメインテーマである「司書課程科目改訂と資料組織法」の4回目にあたる。新司書講習科目の評価との関係で、資料組織概説・同演習を位置づけ、これらの科目の構成案を提出する。その際には、科目の「ねらい」に記されていることとある程度妥協を図り、あまりにもドラスティックな変革案は避けるように努力する。このような基本方針のもと、以下のような指摘があった。
(1)文部省の提示する新科目構想は、利用者サービスの発展、コピーカタロギングの普及、経営論・生涯学習論の導入、等で80年代の図書館界の変貌に応えるという観点からはまずまずである
(2)21世紀の情報メディアの組織化を考える場合、情報メディアが複雑化しつつあり、また自館組織情報の作成も考慮しないといけなくなるので、情報の組織化能力と書誌コントロールトロール能力が重要となってくる
(3)「情報管理」科目が消滅した。その代わり「情報検索演習」が新設されたが、前者は索引・抄録を構築する立場からであり、後者は利用する立場からの科目である。構築する技術を教えなくてよいのか。
(4)分類と目録を統合・一体化して情報組織化という方向の教育が必要である。両者を統合した科目になっている点は評価できる。
 最後に具体的な科目内容の提言があった。


◎1997年11月例会
日 時:11月29日(土)14:15〜16:30
会 場:大阪市立精華生涯学習ルーム 201号室
テーマ:フランスの資料組織法について
発表者:槻本正行氏(流通科学大学図書館)

出席者:前川和子(大谷女子短大)、蔭山久子・日垣敦子(帝塚山短大図書館)、吉田暁史(帝塚山学院大学)、宮生裕子(大阪体育大学図書館)、槻本正行
 フランスでは目録法に関して、AFNOR = Association Francaise de Normalizationの諸規則がある。具体的にはZ44の各種規格として分割制定されている。分類表としては、UDCとDDCがよく用いられている。件名法に関しては、RAMEAU = Repertoire d'Autorite de Matieres Encyclopediques et Alphabetiques Unifieと称するシソーラススタイルの件名標目表がある。以上の目録・分類関係ツールの歴史と現状に関する紹介のほか、BN-OPALE、OCLC-Europe、SIBIL-Franceといったフランスにおける書誌ユーティリティの現状等に関する説明があった。


◎1997年12月例会
日 時:12月20日(土)14:15〜16:30
テーマ:司書講習科目改訂と資料組織法(まとめ1)
発表者:吉田暁史氏(帝塚山学院大学)
会 場:大阪市立精華生涯学習ルーム

出席者:吉田暁史、野口恒雄(佛教大学)、前畑典弘、向畑久仁(姫路獨協大学図書館)、中村恵信(大阪府公文書館)、前川和子(大谷女子大学)、田窪直規(近畿大学)
 本年のメインテーマである「資料組織法」について、志保田氏による科目名称等の批判、吉田憲一氏等による教科書執筆の問題点、古川氏による教科書執筆の概略、田窪氏による当該科目の問題点、と昨年末より4回の例会を開いた。こういった発表のうち、とりわけ田窪氏の科目レジュメ案を発表者なりに修正した案をもとに、具体的な科目内容に関する提案があった。
◎例会終了後忘年会開催