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整理技術研究グループ月例研究会報告

電子図書館システム構築の試み

−InfoLibの紹介と実演−

田代高久、鳥越直寿、梅木理貴氏(インフォコム)


日時:
2000年9月30日(土) 14:30〜17:00
(予定の回数以外の「特別例会」)
会場:
帝塚山学院住吉校AVホール
発表者 :
田代高久氏、鳥越直寿氏、梅木理貴氏(インフォコム株式会社新世代電子情報部
テーマ :
電子図書館システム構築の試み−InfoLibの紹介と実演−
出席者:
倉橋英逸(関西大学)、田窪直規・川原亜希世(近畿大学)、千速敏男(成安造形大学)、乾聰一郎(奈良教育委員会事務局生涯学習課)、浜田行弘(関西学院)、笠井詠子・戸上良弘・吉田暁史(帝塚山学院大学)、初田安弘(住友金属システムソリューション)、吉見眞樹(日本科学技術振興財団)、門昇(大阪大学)、白川満純(堺市中央図書館)、鈴木伸夫(アートビズ)、西出浩二(大阪芸術大学)、城下直之(エスオーファイリング研究所)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、蔭山久子(帝塚山学院大学学園前キャンパス図書館)、前川和子(堺女子短期大学)、渡辺千佳子・小松雅明(大阪府立中央図書館)、太田智子(甲南学園)、堀池博巳(京都大学大型計算機センター)、村井正子(システムズ・デザイン株式会社)、森澤和明・森田敬子(凸版印刷株式会社関西商印販売本部)、田代高久、鳥越直寿、梅木理貴

1.OpenText(超高速全文検索システム)
 OpenTextはカナダのOpenText社の開発による全文検索エンジンで、日本国内ではインフォコムが扱っている。中央省庁や大学を中心に国内でも多くの導入実績がある。OpenTextはSGML/XMLにNativeに対応したシステムで、検索の高速性、マルチバイトのフルサポート(多言語対応)、DBの追加・拡大の柔軟性などの特長を持つ。インデックス切り出しは「半無限部分文字列」方式で、データ中のどんな中間文字列からでも検索できる。また、二分岐方式検索(Patricia木方式)を採用しているため、DBサイズが大きくなっても検索速度にさしたる影響がない。カタログ上では130,000,000ワード/秒のスペックがある。
2.InfoLib (マルチメディア統合検索システムパッケージ)
 InfoLibはOpenTextをベースとして開発された統合検索システムであり、「電子図書館システム」として使用できる機能を備えている。あらゆる種類の電子資料を管理し、検索対象とすることができる。
 InfoLibの検索機能には「Meta検索」と「Book検索」の2種類がある。Meta検索は、電子資料に付与したメタデータからの検索である。メタデータの付与により、映像や音声を含むあらゆるコンテンツを統合的に検索できる。メタデータ規則にはダブリンコアを採用しており、更新もWWW上でリアルタイムに行える。また、「コレクションレベルメタデータ」を作成して仮想的な資料集合を定義することもできる。
 Book検索は、SGMLやXMLなどの構造化された一次情報テキストを前提に、全文検索をかけるシステムである。「ヒットマーク」(キーワード合致部分のハイライト)機能があるほか、構造化テキストから自動的に目次表示を生成して表示させることもできる。構造化文書のDTDは1種類に限定する必要はなく、複数のDTDに基づいた文書を統合検索することもできる。この場合には複数DTDを統合した「マザーDTD」を規定することになる。
 さらに進んで、Z39.50プロトコルを介して自機関のメタデータと世界に散在する各種DBを一括して検索できるシステム「Global Finder」も提供している。日本ではまだ導入例は少ないが、海外ではZ39.50ポートの提供がごく一般的であり、多くのDBを統合的に扱える。ただし、同じZ39.50を用いていても検索・返戻形式は一定でなく、例えばUS/MARC形式とダブリンコアとのマッピングを行うなど、ある程度の設定作業を必要とする。電子ジャーナルとの統合検索など、国内でも既に導入事例がある。
3.Livelink(ナレッジマネジメントシステム、文書管理システム)
 Livelinkは、OpenText社によって開発されたナレッジマネジメントシステムである。Livelinkでは社内のあらゆるドキュメントを「全社共有」「グループ共有」等のカテゴリーに分けてアクセス管理を行う。自由に設定できるフォルダ構造で整理でき、PDFやWordファイルなどまで含めたあらゆる文書から自動的にインデックスを作成し、全文検索を行うことができる。これによって全社的な知識共有がはかれる。事例としては企業の文書管理のほか、研究所で外国の研究者とのスペース共有により実績をあげているなどの例もある。