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整理技術研究グループ月例研究会報告

電子情報資源の組織化におけるCORCシステムの利用

伊藤真理(愛知淑徳大学)


日時:
2002年4月20日(土) 14:30〜17:00
会場:
近大会館
発表者 :
伊藤真理氏(愛知淑徳大学)
テーマ :
電子情報資源の組織化におけるCORCシステムの利用
出席者:
前川和子(堺女子短大)、蔭山久子(帝塚山大学学園前キャンパス図書館)、佐久間朋子(奈良教育大学教育学部付属中学校図書館)、兼宗進(リコー)、尾松謙一(奈良県立図書館)、堀池博巳(京大学情メディアセンター)、田窪直規(近畿大学)、村井正子、光斎重治(愛知大学)、浜田行弘(関西学院大学)、吉田暁史(帝塚山学院大学)、伊藤真理

1.概要
1-1.目的と沿革
 CORC(Cooperative Online Resource Catalog)は、図書館利用者にインターネット情報資源へのより効率的なアクセスを提供することを目的とし、インターネット情報資源共同目録として始まった。有益な情報資源の選別(選書機能)、URLの維持管理、Pathfindersの作成を通して利用者へのメタデータ提供といった機能がある。1999年にプロジェクトが開始し、2000年1月愛知淑徳大学はプロジェクトに参加した。初期プロジェクト参加館数は約450である。
1-2.ユーザ・サポート
 システムは常時稼働。クレームやヘルプに関してE−メールでの問い合わせ機能があり、ニュースや、CORC-Lというメーリングリストがある。またユーザ・グループの結成が行われ、IFLAやALA大会でCORCユーザ会議が開かれた。
2.システム
2-1.特徴
・Dublin CoreとMARC21という複数のメタデータフォーマットをサポートとしており、両者間のクロスウォークを実現している。
・書誌レコードの自動生成機能がある(Kilroy
・データのローカルデータベースへの取り込みが可能。
・DDCの自動付与機能、URLチェック機能もある。
2-2.構成
 CORCのResource Catalogがあり、CORCデータはWorldCatへリアルタイムに追加される。またWorldCatで856フィールド(URL)を持つレコードはCORCデータベースにも送られる。両者は2002.7に統合を予定している。CORCシステムとして、Production systemという正規のもののほか、Practice systemという練習用システムもある。
2-3.システム機能
 あらゆるものを記述可能であるが、現時点では電子情報源に限定される。利用者として3段階の資格があり、有資格者のみがレコードの作成・編集、典拠レコードの作業といったことが行える。またCORCはブラウザを通して作業する、Webベースのシステムである。したがって専用プロトコル等は必要ではない。
(1)目録作業
・記述フォーマット
 各目録担当者が決定する。DCフォーマットかMARC形式を用いる。WordSmithという用語抽出ソフトウェア用いてキーワード自動付与も可能である。文字コードは基本的にALA Character Setを用いるが、日中韓国語はOCLC CJK softwareを、アラビア文字はOCLC Arabic Cataloging softwareを用いる。
・検索
 レコード生成のためには、重複チェックをする。CORCのデータベースのほか、WorldCatデータベースも検索する必要がある。
・表示
 表示形式としては、MARC、MARC Text、Dublin Core、Dublin Core Text、Dublin Core HTML、Dublin Core RDFといった種類があるが、後2者はレコードの表示とエクスポートでのみ使用可能である。URLチェック機能については、2週間ごとにソフトウェアが自動チェックして、関係各機関に通知する。
・データ作成支援
 constant dataという入力データのテンプレート機能があり、必須データ項目セットを一度作っておくと、以後はそれに従って決まった形式のデータ入力が行える。
(2)典拠作業
 典拠レコードはOCLC Cataloging全体に共通であるが、CORC典拠ファイルは更新がやや遅れる。なおLCおよびNACO加盟機関は、OCLC Catalogingを使用して、共通の典拠レコードの作成・維持を行っている。
(3)Pathfinder
 CORCにはPathfinderと呼ばれる主題書誌作成機能がある。参加機関が自由に作成でき、また他の機関が作成したものを利用することもできる。
2-4.新規書誌レコードの作成
(1)作成手順
 書誌レコードの検索→新規作成・編集→保存→Resource catalogにアップロード
 →ローカル・データベースにダウンロード
(2)自動生成機能
 HTMLタイトル・タグからタイトルの自動生成、DDC分類の自動生成といった機能がある。
3.Dublin Coreの利用
 入力フォーマットして当初MARCを使っていたが、その後作業効率化のため、パスファインダー作成のため、といった理由で、ダブリンコアへの切替を行った。DCの15エレメントのうち、sourceとcoverageは除外している。qualiferも一部使用している。また「資料組織演習」授業科目の中では、MARCフォーマットとDCフォーマットの両方を使用して実習を行っている。
4.今後の課題
(1)利用者への有効なメタデータ提供を最終目標とする。図書館の他の業務との統合した流れを作ると同時に、蔵書との統合検索をめざす。
(2)収集方針の明確化
(3)愛知淑徳大学の環境に適したDC-LAP(Library application profile)の検討。
(4)多言語処理への対応。
【参考文献】
Calhoun, Karen, Rimer, John J. eds. CORC : New Tools and Possibilities for Cooperative Electronic Resource Description. New York : Hawarth Information Press, 2001.
鹿島みづき CORCプロジェクトに参加して 『情報の科学と技術』51巻8号(2001), p.409-417