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整理技術研究グループ月例研究会報告

ネットワーク情報資源の組織化

−研究大会発表に向けて−

堀池博巳(京都大学学術情報メディアセンター)、吉田暁史(帝塚山学院大学)


日時:
2003年1月25日(土) 14:30〜17:00
会場:
大阪市立総合生涯学習センター
発表者 :
堀池博巳氏(京都大学学術情報メディアセンター)、吉田暁史氏(帝塚山学院大学)
テーマ :
ネットワーク情報資源の組織化−研究大会発表に向けて−
出席者:
山岸修一(佛教大図書館)、蔭山久子(帝塚山大図書館)、前川和子(堺女子短大)、久保恭子(神戸松陰女学院大)、島津忠弘(セキセイ株)、安威和世(梅花女子大・短大図書館)、高橋りさ(大阪女学院図書館)、佐久間禮義(桃山学院大学生)、藤井絹一(産業技術短大図書館)、村井正子(京都精華大学情報館)、堀池博巳、吉田暁史

以下のまとめのほか、研究大会のためのレジュメ原稿も参照してください。
1.はじめに
2.ネットワーク情報資源と発見ツール
2−1.ネットワーク情報資源の特徴
2−2.情報発見ツールとしてのいろいろ
3.図書館におけるネットワーク情報資源
3−1.ネットワーク情報資源の組織化・提供の必要性
(1)ネットワーク上の情報資源の探索
A.商用、汎用検索サービスの利用
B.リンク集の利用
C.非インターネットのツール利用
(2)探索における問題点
3−2.ネットワーク情報資源と所蔵資料
ネットワーク情報資源と所蔵資料とは一体的に、発見・提供できることが必要。利用方法は基本的に所蔵資料とかわらない。拡大版である。
3−3.ネットワーク情報資源を扱う上での問題点
(1)情報内容が玉石混淆
(2)情報資源の数が膨大
(3)種々の不安定性がある
(4)「所蔵」しているわけではないゆえの問題点
(5)利用に特別なツールを必要とする場合がある
(6)著作権処理
(7)あらゆる階層の情報資源がある
(8)文書情報以外にも、静止画、音声、動画、各種の情報タイプがある
3−4.問題点への対応策
4.情報資源組織化としてのメタデータ
4−1.メタデータとは何か
・データに関するデータ。データに関する構造化されたデータ。
・しかし、メタデータが対象とするものは、事実上ディジタル情報資源、特にネットワーク情報資源に限定されているようである。
4−2.どのような種類があるか
・利用目的によって分ける方法
(1)管理的なもの(administrative)
(2)記述的なもの(descriptive)
(3)存的なもの(preservation)
(4)術的なもの(technical)
(5)用的なもの(use)。実際に利用するための使用条件等を規定するメタデータ。
 図書館界で扱うメタデータは、このうちの主として記述的要素といえよう。これに対し、他の観点のデータは補足的に扱われる。
・データの複雑さ、構造化の程度によって分ける方法
 詳しくは2002年12月月例研究会報告を参照。
4−3.図書館において主たる選択対象とする情報資源と、そのためにふさわしいメタデータは何か
(1)基本的には、DLO(Document Like Object)文書型情報資源が中心。
(2)所蔵資料の目録規則と比べ、何が変わり、何が変わらないのか
 文書型情報が中心とすれば、従来の所蔵資料の目録が対象とするものと基本的には変わらない。しかし従来の目録では、記述すべき情報が不足したり、内容と容器とを分離する観点から適切な記述様式が存在しなかった。
(3)その結果なぜDublin Core的な記述規則を用いるのか
 面倒な問題を避けることのできる、極めておおざっぱな方法として、Dublin Core的記述方法が用いられたということではないか。
(4)どうあるべきか
 足りない要素をMARCに追加し、論理的な記述要素の枠組みを整備した上で、データ要素の不安定さを適切に処理する仕組みを作り、作業性を考慮して必須データ要素オプション要素といったランク付けを行う、といった方法で従来のMARCを拡張、改善する。このようにしてMARC形式でも記述が可能となる。
4−4.他のコミュニティと連携を行うためのメタデータ
 各コミュニティ内部では、特有の詳細なメタデータを使用し、コミュニティ間におけるデータ流通のためには、おおざっぱな自由記述形式のDublin Coreのようなメタデータ形式で、差異を吸収するという方向性が望ましいと考えられる。
4−5.目録対象の階層把握と記述対象
 目録対象は何か。Webサイト全体から、個々のファイル、個々の文書、文書中の章や節、にいたるすべての段階が記述対象となりうる。メタデータはそれらの階層構造を柔軟に記述し、階層段階の異なるメタデータ相互の関係性を定めうるものでなければならない。