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整理技術研究グループ月例研究会報告

オントロジと資料組織法(まとめ):

主題アクセス法に関わる問題

渡邊隆弘(帝塚山学院大学)


日時:
2006年12月9日(土) 14:30〜17:00
会場:
大阪市立難波市民学習センター
発表者 :
渡邊隆弘氏(帝塚山学院大学)
テーマ :
オントロジと資料組織法(まとめ):主題アクセス法に関わる問題
出席者:
蔭山久子、川崎秀子(佛教大)、河手太士(大阪樟蔭女子大図書館)、佐藤毅彦(甲南女子大)、田窪直規(近畿大)、谷口美代子、田村俊明(大阪市立大学術情報総合センター)、堀池博巳、松井純子(大阪芸術大)、水元秀子、山野美贊子(帝塚山学院大非常勤)、吉田暁史(大手前大)、渡邊 <13名>

2006年度のグループ活動を踏まえたうえで、オントロジと主題アクセス法との類似・相異に関する考察を中心に、発表された。

1.今年度の「整理技術研究グループ」(略)

2.オントロジの開発・利用例調査から(略)

3.基本概念と階層関係の表現

 シソーラスでは類種関係と事例関係をともに階層関係という同一の範疇で扱うが、オントロジ理論では前者は概念(クラス)間関係、後者は概念・個体間関係として区別される。また、サブクラス関係は本質属性を持つ「基本概念」間にのみ設定されることなどもシソーラスとは異なった考え方である。

4.全体部分関係の表現

 シソーラスでは全体部分関係の扱いは明確に位置づけられていない。これに対してオントロジ理論では、概念定義に深く関わるものとして重視され、全体部分関係(part-of関係)の種類分け等の議論もある。部分概念は、全体というコンテキストに依存した「ロール概念」として扱われる。

5.連想関係(その他の関係)の表現

 シソーラスにおいては、階層関係以外の様々な概念間関係は連想関係と扱われ、それ以上の分析は十分でない。オントロジ理論におけるロール概念は、何らかのコンテキストに依存した役割を「ロール」、その役割を果たすものを「ロールホルダー」とし、ロールホルダーは何らかの基本概念等による「クラス制約」を受ける。シソーラスで連想関係と扱われる関係性のかなりの部分は、ロール概念として処理できそうである。

6.オントロジを利用した情報発見システム

オントロジを応用した技術文書検索システムの例を検討すると、クラス間の相互関係が枠組みとして提示され、それに沿って検索できる点が、シソーラスを用いた一般的な検索と異なるように思われる。

7.おわりに(略)

(記録文責:渡邊隆弘)

*本発表内容をもとに、2006年度日本図書館研究会研究大会発表を行う予定。
*月例研究会終了後、新今宮「やまとや2号店」にて、記録管理学会と合同で忘年会を開催(両団体合計参加者22名)