RDA(Resource Description and Access)の策定は、旧来型の目録規則の規定に対応する記述規則やアクセスポイント付与規則の整備とともに、エレメントとそこに格納される値の確定に向けた作業が同時に行われてきた。その結果は、ウェブ世界で利用が可能となるように、RDA Element SetsとRDA vocabulariesとしてOpen Metadata Registryに登録されている。大半のステータスはNew-Proposed(提案)段階であるが、その内容はRDA理解にとって重要と考えられるので、その概要の報告を行った。
米国議会図書館によるRDAの実運用は2013年3月31日に開始されているが、RDAは刊行後も改訂作業が進んでいる。誤植の訂正、例示の追加や削除、用語集の用語の追加、参照の追加、言葉づかいの明確化など軽微な変更に対応する更新は随時行われているが、内容に関わる重要な変更に対応する第1回目の更新(Update)は2012年4月に行われている。次回の更新は2013年7月に予定されており、2012年11月のJSC会議の改訂審議結果の反映とともに、RDAテストの結果報告で勧告されていた「18か月以内に明瞭で、曖昧でなく平易な英語で規則を書き換える」作業(編集長Chris Oliver)の成果を反映した条文への更新、さらにはフランス語版とドイツ語版のリリースを行うとのことである。
RDAの改訂作業は、旧来型の目録規則の規定の整備だけではなく、目録規則で定義されたエレメントや語彙をウェブ世界で利用が可能となるように、Linked Dataとしてオープン・メタデータ・レジストリ(Open Metadata Registry: OMR)に登録する作業も同時に進められている。RDAで定義しているデータ・エレメントとともに、定型的なデータを付与するデータ項目の値語彙(value vocabularies)を確定し、それらのURIを確定する作業である。
この作業は、メタデータ・コミュニティからの批判を受けて2007年4-5月に開催されたロンドン会議(Data Model Meeting)においてDCMI/RDAタスクグループ発足(2007年10月)に始まっている。RDAの全体構成が現在のFRBRモデルに即した構成で行うことがこの時点で決定している。これ以降、RDA規定テキストの整備とエレメントや語彙の登録作業が同時並行的に行われてゆくことになった。OMRへの最初の登録(RDA Group 1 Elements)は2008年4月であった。
2013 年6月20日現在、以下の6 種類のRDA エレメント・セット(RDA Element Sets)が登録され、RDFによって表現されている。そのステータスはいずれもNew-Proposed(提案)段階である(丸がっこ内の数字はエレメント数)。
・FRBR Entities for RDA (14)
・RDA Group 1 Elements (466)
・RDA Group 2 Elements (59)
・RDA Group 3 Elements (16)
・RDA Relationships for Works, Expressions, Manifestations, Items (508)
・RDA Roles (250)
2013 年6月20日現在、SKOSを用いたRDA語彙(RDA Vocabularies)が47種類登録されている。そのステータスは23種類がPublished、24種類がNew-Proposed(提案)段階である。
RDAが規定するエレメントとエレメント間の関連を一目で概観できるように、以下の手順でエクセル表を作成してみた。作成したエクセル表の抜粋を配布した。この表は、DCMI/RDAタスクグループが行ったであろう作業を次のように逆にたどって作成したものである。
使用した文書は次の3点である。
(1) 5JSC/RDA/RDA to FRAD mapping/Rev/2(1 July 2009)
(2) 5JSC/RDA/RDA to FRBR mapping/Rev/3(1 July 2009)
(3) Open Metadata Registry のThe RDA (Resource Description and Access) Vocabularies <http://rdvocab.info/>
以上のエレメント・セットのステータスがpublishedとなる時点がひとつの区切りとなるであろう。しかし、多くの課題が現時点でも未決定のままである。RDAで定義しているデータ・エレメントを定義し、それらのURIを確定する作業と旧来型の目録規則との考え方には大きな隔たりがあり、その溝を埋める努力は今でも続けられている。
(記録文責 和中幹雄)