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情報組織化研究グループ月例研究会報告(2018.1)

「日本目録規則2018年版(NCR2018)条文案のRDAとの比較および今後の展開について」

蟹瀬智弘氏(紀伊國屋書店)


日時:
2018年1月20日(土)14:30〜17:00
会場:
大阪学院大学
発表者:
蟹瀬智弘氏(紀伊国屋書店)
テーマ:
日本目録規則2018年版(NCR2018)条文案のRDAとの比較および今後の展開について
出席者:
荒木のりこ(日文研)、安東正宏(立命館大学)、飯野勝則(佛教大学)、石田康博(名古屋大学)、石村早紀(樹村房)、今野創祐(京都大学)、川崎秀子、米谷優子、佐藤久美子(国立国会図書館)、田窪直規(近畿大学)、竹村誠(帝塚山大学)、田村俊明(紀伊国屋書店)、長瀬広和、橋詰秋子(慶応大学)、福田一史(立命館大学)、堀池博巳、松井純子(大阪芸術大学)、松本尚子、毛利仁美(立命館大学)、森原久美子(島根県立大学)、和中幹雄(大阪学院大学)、他1名、蟹瀬<23名>

 2017年度日図研研究大会グループ研究発表(第59回,2018年2月24日)の予行として標記の発表を行い、その後意見交換を行った。

1.はじめに

 『日本目録規則2018年版(仮称)予備版』(NCR2018)(2018年3月公開予定)は、FRBRとRDAとの相互運用性を担保した目録規則である。本発表では、現在公開されている条文案にもとづき、RDAとの比較を行って、まずNCR2018の特徴を概観する。その後、FRBRの改訂版であるIFLA LRM(Library Reference Model)(2017年8月公開,以下LRMとする)の内容を概観し、RDAの対応を把握したのち、NCR2018の今後のあり方を考える。

2.NCR2018の概要とその背景

 NCR2018は、RDAと同じくFRBRの実体ごとの章立てを採っている。またRDAに基づいて作成されたデータとの互換性に配慮するため、RDAに存在するエレメントはすべて定義されている。しかし、いくつかの点でRDAとの相違がある。

 ① 名称 RDAは「目録規則」という語を使用していないが、NCR2018は「目録規則」と称している。

 ② 構成 RDAには無い「属性総則(第1章)」「アクセス・ポイントの構築総則(第21章)」「関連総則(第41章)」の章を設けている。また、属性の記録とアクセス・ポイントの構築を分けて、個別のセクションとしている。

 ③ 内容 NCR2018は日本語等に対するヨミを扱っている。和古書・漢籍に関する規程を備えている。

 ④ NCR2018は体現形と個別資料のアクセ・スポイントを新設している。

3.FRBRからIFLA LRMへ

 LRMは、目録システムを実装するガイドまたは基礎となることを意図した概念モデルである。

4.RDAの今後

 RDAは、LRMに対応して改訂した規則を2018年4月に公開予定である。LRMで導入された次の実体Collective Agent,Nomen,Time-spanの追加と第3グループの廃止、などの変更がある。
 これに対してNCR2018はLRM未対応である。RDAとの相互運用性を重視するのであれば、何らかの対応が必要となる。

5.目録規則としてのNCR2018

 以下の3点について考察した。

 ① 概念モデルと目録規則の関係
   概念モデルは何のためにあるのか。また、概念モデルはあっても実装モデルは示されていない。

 ② NCR2018はなぜ「目録規則」か
   書誌(目録)作成の現場では目録規則が必要である。

 ③ NCR2018は目録規則か
   目録作成のためのツールとしては不十分では。

6.(付)データの共有について

 版元(出版者)が作成する情報を図書館でも活用することを考えるべきである。

7.おわりに

 発表者はNCR2018を目録規則として使用するためのいくつかの提言を行ったが、その内容は第59回研究大会での発表と重複するため、ここでは簡略な記録にとどめた。詳細は、本誌70巻2号掲載予定のグループ研究発表論文をご覧いただきたい。

(記録文責:松井純子 大阪芸術大学)