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2017年度日図研研究大会グループ研究発表(第59回,2018年2月24日)の予行として標記の発表を行い、その後意見交換を行った。
『日本目録規則2018年版(仮称)予備版』(NCR2018)(2018年3月公開予定)は、FRBRとRDAとの相互運用性を担保した目録規則である。本発表では、現在公開されている条文案にもとづき、RDAとの比較を行って、まずNCR2018の特徴を概観する。その後、FRBRの改訂版であるIFLA LRM(Library Reference Model)(2017年8月公開,以下LRMとする)の内容を概観し、RDAの対応を把握したのち、NCR2018の今後のあり方を考える。
NCR2018は、RDAと同じくFRBRの実体ごとの章立てを採っている。またRDAに基づいて作成されたデータとの互換性に配慮するため、RDAに存在するエレメントはすべて定義されている。しかし、いくつかの点でRDAとの相違がある。
① 名称 RDAは「目録規則」という語を使用していないが、NCR2018は「目録規則」と称している。
② 構成 RDAには無い「属性総則(第1章)」「アクセス・ポイントの構築総則(第21章)」「関連総則(第41章)」の章を設けている。また、属性の記録とアクセス・ポイントの構築を分けて、個別のセクションとしている。
③ 内容 NCR2018は日本語等に対するヨミを扱っている。和古書・漢籍に関する規程を備えている。
④ NCR2018は体現形と個別資料のアクセ・スポイントを新設している。
LRMは、目録システムを実装するガイドまたは基礎となることを意図した概念モデルである。
RDAは、LRMに対応して改訂した規則を2018年4月に公開予定である。LRMで導入された次の実体Collective Agent,Nomen,Time-spanの追加と第3グループの廃止、などの変更がある。
これに対してNCR2018はLRM未対応である。RDAとの相互運用性を重視するのであれば、何らかの対応が必要となる。
以下の3点について考察した。
① 概念モデルと目録規則の関係
概念モデルは何のためにあるのか。また、概念モデルはあっても実装モデルは示されていない。
② NCR2018はなぜ「目録規則」か
書誌(目録)作成の現場では目録規則が必要である。
③ NCR2018は目録規則か
目録作成のためのツールとしては不十分では。
版元(出版者)が作成する情報を図書館でも活用することを考えるべきである。
発表者はNCR2018を目録規則として使用するためのいくつかの提言を行ったが、その内容は第59回研究大会での発表と重複するため、ここでは簡略な記録にとどめた。詳細は、本誌70巻2号掲載予定のグループ研究発表論文をご覧いただきたい。
(記録文責:松井純子 大阪芸術大学)