情報組織化研究グループ月例研究会報告(2023.12)
「トーハンMARCの作成とNCR2018対応について」
盛野友海氏(株式会社トーハン 図書館部 データベースグループ)
- 日時:
- 2023年12月23日(土)14:30〜16:00
- 会場:
- (Zoomミーティング)
- 発表者:
- 盛野友海氏(株式会社トーハン 図書館部 データベースグループ)
- テーマ:
- トーハンMARCの作成とNCR2018対応について
- 出席者:石井真一(株式会社トーハン図書館部データベースグループ)、石田康博(名古屋大学法学図書室アジア法資料室)、石橋進一、今野創祐(東京学芸大学)、岡田智佳子(大学図書館支援機構)、加藤信哉、木村麻衣子(日本女子大学)、酒井由紀子(慶應義塾大学)、坂下直子(神戸女子大学)、下山佳那子(八洲学園大学)、白川満純(帝塚山大学)、高久雅生(筑波大学)、高柳紅仁子(株式会社トッカータ)、田窪直規(近畿大学)、田島克実(株式会社トッカータ)、徳原靖浩(東京大学附属図書館U-PARL)、長瀬広和、橋詰秋子(実践女子大学)、福永智子(椙山女学園大学)、村上一恵(国立国会図書館)、森原久美子(秀明大学図書館)、山岸瑶果(京都大学経済学研究科図書掛)、横山英子(株式会社図書館流通センター)、和中幹雄、他15名、盛野<40名>
1.はじめに
出版業界におけるトーハンの位置づけ(取次)、トーハンの図書館サポートの内容、図書館へのトーハンMARC導入状況について説明。
2.トーハンMARCの作成
トーハン内で使用している商品マスタ(ゼロマーク)を活用し、ゼロマークに図書館用の情報を付与してトーハンMARCを作成している。完成後、自社システムを通じて図書館への配信を行なっている。
3.「日本目録規則2018年版」対応における実施項目
トーハンMARCにおける実施項目は下記の3点である。
- 優先情報源の導入
- 著作典拠ファイルの運用開始
- MARCタグの増設・変更
2024年2月より「日本目録規則2018年版」対応のマーク配信を開始する。
4.MARC作成困りごと事例集
MARCの作成において悩んだケースとして、以下のようなものがあった。
- MARCの構成…情報源の表示のうち、どれを本タイトルに採用するかという場合など。
- 統一読み…統一読みとは、一般的な読みが複数のある語の読み方に一定のルールを設
け、書誌データおよび典拠データがまとまりをもつようにするもの。例えば、「明日」
は一般的に「アス」もしくは「アシタ」と読むが、トーハンでは「アス」が統一読み
である。英単語やPC用語では時代とともに読みが変化する場合や公式の読みが公開されていない場合、カタカナ表示と読みが異なる場合などがあり、判断が難しい。
- 分かち書き…分かち書きとは、読みを記録する際、自立して意味を持つ語ごと、検索
語となるべき語の最小単位ごとに「/(スラッシュ)」で区切ることである。
ライトノベルのタイトルでよく使用される「○○ましたが、○○だったようです」と
いう表記など、これまで決めていなかった口語体に対しての分かち書きを決める、
といったケースも生じている。
- 図書の誤植…出版年やシリーズ番号など整合性が取れていないケースがある。
5. 著作典拠作成困りごと事例集
著作典拠の作成において悩んだケースとして、以下のようなものがあった。
- 昔話・グリム童話などにおいて、例えばシンデレラなど、国内外で再話されたものが多数存在するため、絵作者・文作者の組み合わせ別に作成する必要があった。
- シャーロック・ホームズのシリーズ作品の場合、児童書として単行本で刊行されてい
る場合、原タイトルを明記しないものが多い。さらに、様々な訳題(翻訳後のタイトル)が使用されているせいで、その作品の特定がとても困難となる。
- 9類以外の著作の場合、特に著名なものは作成する。例えばカール・マルクスの場合、
かなり著作が多く、どの範囲まで作成するか悩んだ。聖書については新約と旧約のみ
着手し、福音書、その他の聖書は現状未着手である。解説書が多数存在する作品は、
それらは登録しないので除いて作成するなどの手間があった。
以上の発表を受けて、主に以下の質疑があった。
- 何人ほどの体制でこのMARCを作っているのか。
- 受賞注記の入力はしているか。
- 著作典拠の項目である異形タイトルの項目は文字列のみの入力か。
- 出版者からのデータをどれだけ活用しているのか。
(記録文責:今野創祐)