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はじめに東京大学の150年史の概要が語られた。2027年4月に東大は創立150年を迎える。『百年史』までは紙媒体での発行だったが、今回はデジタル技術を導入する。女性史、バリアフリー史など、今が語るべき時と考えられるテーマ史を重視する。
2024年3月までの状況として、「通史編」は普及範囲を広く狙う予定であり、「資料編」でデジタルデータベースを活用する予定である。この過程で、コンテンツとして「地図」に最初の関心を抱いた。
2024年4月、「資料編」データベースの構想を開始し資料の整理や把握を進めた。
『百年史』の「資料編」項目は以下の構成であった。
メタデータを検討し、汎用性の高さ、国際的標準性などを鑑み、ダブリン・コアメタデータセットを基本とし、それに備考欄を加えた。
作業のマニュアル化を進めた。マニュアルは初見で伝わるようにデザインし、読み物として飽きにくくなるように努力した。
規則類の作業を進めた。『百年史』のPDFデータから手入力で作業を進めた。
やがて『東京大学一五〇年史編纂室通信』などで発表をする中で、資料データベースのコンセプトを言語化できるようになっていった。
地図プロジェクトを進めた。過去に東大内に存在した建物のデータベースがないのではないかという問題意識のもとで、建物の歴史に関心をもった。テーマ史に関する視覚的デジタルコンテンツとしてもこのプロジェクトを開始した。バリアフリー史との兼ね合いもあり、視覚障害のある方も使えるコンテンツになることが期待される。
営繕表を作成し、ID、建物名、竣工年、解体年、営繕年、管理部局、キャンパス、出典、備考欄を項目とした。また、フロアや変動設備などとのマッピングリストも作成した。
GISとレイヤーを用いたキャンパスマップも作成した。GIS(地理情報システム)で、建物や設備のデータのセットを図示した。また、データ一件ごとに、地図上の点、線、面、立体などの幾何学的なデータを対応付けたレイヤー(層)を作成した。レイヤーはベースレイヤーとテーマレイヤーの2種類を定義した。前者は「営繕表」を可視化するデータセットであり、2024年のものから作成し、ここから遡って各年度のベースレイヤーを作る。後者は設備やモニュメントなどを点や線で示したもので、各データに開始時間(設置年月日)、終了時間(撤去年月日)の情報を入力する。
こうした作業を続け結果、大学の協力が得られるようになり、様々な資料や助言が集まるようになった。認知を集め、プロジェクトとしては成長していると言える。
GISの作業体制だが、今年度は4−5人で行っており、作業時間は人と時期でマチマチである。作業者にレイヤーデータの作成を依頼している。
今後の課題として、地図の建物毎に関連資料を結び付けたい。また、目録データ、資料の画像等データなどのIIIF対応も視野に入れている。規則類については、データの入手、データの取捨選択が課題である。
なお、今回の月例研究会については、Zoomの映像を録画し、開催後一週間に限り、出席を申し込んだものの欠席された方にも、映像を配信した。
(記録文責:今野創祐)