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整理技術研究グループ月例研究会報告

SGML(XML)によるディジタル文書処理の実施例

角井恒、神谷幸道(東芝アドバンストシステム)


日時:
2000年7月22日(土) 14:30〜17:00
会場:
神戸市立東灘区民センター
発表者 :
角井恒氏、神谷幸道氏(東芝アドバンストシステム株式会社
テーマ :
SGML(XML)によるディジタル文書処理の実施例
出席者:
村井正子(システムズ・デザイン)、太田智子(甲南学園図書館)、野口恒雄(佛教大学)、吉田憲一(天理大学)、蔭山久子(帝塚山大学学園前キャンパス図書館)、田窪直規(近畿大学)、渡辺隆弘(神戸大学図書館)、倉橋英逸(関西大学)、門昇(大阪大学法学部)、柏田雅明(帝塚山学院大学図書館)、戸上好弘・吉田暁史(帝塚山学院大学)、角井恒、神谷幸道

 SGMLとは、SGMLとHTMLとはどう違うか、SGMLのメリット、SGMLにおけるDTDとはどのようなコンセプトのものか、DTDの書式は具体的にどのように構成されるか、といった基本的な説明がまずあった。次に、航空業界、車両業界、軍関係、半導体業界等で、共通のDTDが作成されている事例の紹介があった。例えば航空業界ではDTDを共通化することにより、各運行会社は、どの航空機メーカーの作成したものであっても、特別なソフトを用いることなしに、構造化されたマニュアルを利用することができる。整備マニュアルは膨大な分量であるが、作業工程ごとに細かく分析され、それが他の工程なり部品なりとリンクされており、直ちに関連する部分を参照することができるようになっている。SGMLを用いるという面で航空業界は最も先進的な業界であるが、このような動きは他の業界にも広がりつつある。
 SGMLは規約が複雑であり、実際には使いがたいところがある。これに対しSGMLにおけるあまり用いられない部分を簡略化し、インターネット対応など新たな機能を付加したXMLがある。現実にはXMLが多く用いられている。XMLの関連規格には、CDF、RDF、OSDなど多数があるが、このうちRDFがメタデータを記述する際の規格である。実際に論文に対して、RDFを適用してメタデータ部分を作成したXML文書の紹介があった。
 次に、SGML/XMLを処理するツールの紹介と実演があった。まずDTDを効率よく作成するツールである、DTDエディタ(商品名:Near&Far Designer)であるが、DTDをグラフィカルに表示し、マウス操作でDTDを編集することができる。さらにXML文書を新規に作成したり、編集したりするためのエディタであるXMLSpyという商品の紹介があった。SGMLやXMLでは、印刷や表示に関する部分は含まないので、SGML(XML)文書の印刷や表示を行うためのスタイルシートを編集するためのスタイルシートエディタがあるが、まだ専用ソフトは少なく、多くはDTDエディタ自体が用いられているとのことであった。最後に、特定のスタイルシートに基づいて、SGML(XML)文書を閲覧するブラウザソフトであるが、これについてはInternet Explorer Ver.5以後が、XMLに対応しており、I.E.5を用いた実演があった。
 今回の発表は、SGML(XML)文書を、いかにして実際に作成するかという企業サイドにおける実際的な話が中心であったが、関連図書を読むだけではなかなか分からないこういった事例の紹介と実演は非常に参考になるものであった。なお、紹介されたソフト類の詳細は、上記東芝アドバンストシステムのホームページを見ていただきたい。