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整理技術研究グループ月例研究会報告

CORCに関する文献紹介

吉田暁史(帝塚山学院大学)


日時:
2002年3月23日(土) 14:30〜17:00
会場:
近大会館
発表者 :
吉田暁史氏(帝塚山学院大学)
テーマ :
CORCに関する文献紹介
出席者:
北西英里(大阪府盲人福祉センター)、光斎重治(愛知大学)、浜田行弘(関西学院大学)、田窪直規(近大)、前川和子(堺女子短期大学)、蔭山久子(帝塚山大学図書館)、村井正子、河手太士(大阪樟蔭女子大図書館)、堀池博巳(京大大型計算機センター)、吉田暁史

1.OPACの拡張
 準所蔵資料として、所蔵資料と関連して、あるいは所蔵資料とは無関係にインターネット上の情報資源とのリンク機能が始まった。
(1)準所蔵資料として、所蔵資料と関連して
(文献1)ICUにおけるWebOPACと電子ジャーナルのリンク実例
 冊子体所蔵雑誌、約5000タイトルに加え、Lexis-Nexis Academic Universe, ProQuest ARL等の契約電子ジャーナル7000タイトルが利用可能となっている。これらはすべてWebOPACから検索可能である。以上はタイトル単位での検索。そのほか、雑誌論文データベースとの連動も行っている。Web-SPIRSで雑誌論文を検索し、論文の収録雑誌タイトルをISSNをキーとして、WebOPACの所蔵雑誌タイトルへ自動的に導く。
(2)所蔵資料との関連+インターネット情報資源
(文献7)University of Rochester, N.Y.のElectronic resources librarian執筆。
 River Campus Librariesほかの図書館群。インターネット情報資源の記述に関する独自の拡張を行う。Voyager関係文書はすべて図書館Webサイトに登録。「図書館目録は、もはや在庫リストでもなければ、所蔵資料の検索ツールでもない。図書館からアクセスできるあらゆる資源に対するポータルの役割を果たすものである。」
・ハードとソフトの両面での、館内およびリモートユーザーに対するサポート
・アクセス可能な、全文データベース、電子ジャーナル、イメージ情報等のインターネット情報資源の検索機能を提供する。
・インターネット情報資源に対するuser-friendlyなOPACディスプレイの提供
・電子ジャーナルと印刷雑誌で同じものがあるときどういうレコードを作るか
 単一レコードと、個別レコードの両方を試したが、閲覧係の意見により、単一レコードに決定した。単一レコード方式においては、MARCレコードは、特定の物理的な資料に基づいて作成され、同じものの他のヴァージョンとは結びつかない。
・目次情報や付録等へのリンク
 多くのOCLCレコードは、目次情報を含んでいる。目次情報があれば、それに対するリンクを張り、目次情報を表示する。
(文献2)
・国際大学のOReLプロジェクト。WWW上で公表された学術資源のメタデータ作成。作成・運用主体は図書館ではない。Web上の良質な情報資源を提供する。
・ダブリンコアを使用。15のうち、関係、範囲、権利処理の3つは不使用。文書型資源のメタデータとしてダブリンコアは適当であろう。
・手作業で定期的に巡回し、趣旨にかなう文献資源を登録する。
・独自の評価は行わず、学会誌や専門書籍として出版された文献を対象とする。
・リソース自体には、例えば著者名などが記載されていないことが多く、インデックスページや関連ページを見て、探し出す。これもロボット型サーチエンジンではできないことである。
・学術目的の文献リソースという世界にあっては、更新頻度もそれほど大きくはなく、質の評価、メタデータの把握、といったことも併せ考えて、人出による管理は有効であろう。

2.CORCプロジェクト
(1)CORCとは
 Cooperative Online Resource Catalogの略。OCLCよるインターネット情報資源の、共同分担目録プロジェクト。1999年1月開始。現在約20ヶ国以上500館が参加、500,000件(2001/10現在)以上の目録作業ができている。
(2)採録基準
 質的・分野的基準、サイト全体か個々の文書か両方か
(3)目録基準
 MARC Formatあるいは、ダブリンコアにより記述を行うが、MARC Formatが多数を占める。文献8によれば、このほかEADの採用が検討されているとあるが、現在まだ採用されていないもよう。[EAD:Encoded Archival Description。記録史料に関するコード化基準。XMLを標準的に用いると思われるが、LCの作成データはSGMLを用いている。LCがthe Society of American Archivistsの協力の下に制定]。MARCとダブリンコア間は、mapping, crosswalkが作成され相互に変換されるが、論理的に変換可能なデータのみ。
(4)データ作成
 ある程度自動生成され、それを手直しする。WebDewey(Dewey for Windowsの後継でWeb上で使えるDDC)が使える館は、これを参照できる。
(5)典拠コントロール
 WorldCatと同じ典拠レコードを使用。固有名と件名の典拠作業を行う。
(6)NetFirstとの関係
 NetFirstは、1995年からデータ作成が始まり、1996年からFirstSearchを通して利用可能な、インターネット情報資源の選択的、抄録付きメタデータ集。NetFirstスタッフが当初CORCプロジェクトに協力。NetFirstの50万を超えるデータ(このうち194,000以上が現在生きている)は、CORCにも流されている。NetFirstはダブリンコアを使用。
(7)WorldCatとの関係
 OCLC発足以来蓄積された、膨大な図書や雑誌の共同分担目録データベースであるが、ここにCORCで作成されたデータが入り込んでいる。つまり通常の各館所蔵資料とインターネット情報資源とを同時に検索できる。
(8)Pathfinder
 主題書誌。強力な機能。
(9)データの更新
3.メタデータ基準
4.目録基準の教育
【参考文献】
1.黒澤公人、相徳真理 図書館WebOPACを活用した電子情報の提供『情報の科学と技術』52(2), 2002.02, p.73-78
2.上村圭介 メタデータを利用した学術的WWWディレクトリサービスの構築 『情報の科学と技術』49(1), 1999.01, p.23-27
3.米澤 稔 ポータルサイトを作る:INIS WebサービスとEnergy Information Soources 『情報の科学と技術』51(9), 2001.09, p.455-460
4.逸村 裕 ディジタル情報資源の評価 『情報の科学と技術』50(5), 2000.05, p.266-272
5.鹿島みづき CORCプロジェクトに参加して 『情報の科学と技術』51(8), 2001.08, p.409-417
6.Mirna Willer. Formats and cataloguing rules : developments for cataloguing electronic resources. Program, vol.33(1), 1999.01, p.41-55
7.Allison Zhang. Cataloging Internet resources using the Voyager system. OCLC Systems & Services, vol.16(3), 2000, p.107-117
8.Kristin Seneal. The twofold promise of the CORC Project. OCLC Systems & Services, vol.16(2), 2000, p.84-90
9.Ingrid Hsieh-Yee. Organizing Internet resources : teaching cataloging standards and beyond. OCLC Systems & Services, vol.16(3), 2000, p.130-143
10.Rriscilla Caplan, Rebecca Guenther. Metadata for Internet resources : the Dublin Core Metadata Elements Set and its mapping to USMARC. Cataloging & Classification Quarterly, vol.22(3/4), 1996, p.43-58
11.Jerome P. McDonough. SGML and the USMARC standard : applying markup to bibliographic data. Technical Services Quarterly, vol.15(3), 1998, p.21-33
12.Ali Asghar Shiri and Crawford Revie. Thesauri on the Web : current developments and trends. Online Information Review, vol.24(4), 2000, p.273-279
13.May Chang. An electronic finding aid using extensible markup language(XML) and encoded archival description(EAD). Library Hi Tech, vol.18(1), 2000, p.15-27