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整理技術研究グループ月例研究会報告

映像アーカイブのための目録法

児玉優子(アート・ドキュメンテーション研究会会員)


日時:
2004年1月24日(土) 14:30〜17:00
会場:
大阪市立浪速人権文化センター
発表者 :
児玉優子氏(アート・ドキュメンテーション研究会会員)
テーマ :
映像アーカイブのための目録法
共催:
アート・ドキュメンテーション研究会関西地区部会、記録管理学会
出席者:
赤澤久弥(京都大図書館)、井渓明(堺市教育委員会)、石島隆(大阪成蹊大)、伊藤勝久(日本航空広報部)、江田勝代(国立民族学博物館)、尾鼻啓未(同志社国際中・高等学校)、河手太士(大阪樟蔭女子大図書館)、川原亜希世(近畿大)、倉橋英逸(関西大)、佐久間礼儀、島津忠弘(オフィス21)、城下直之(エスオーファイリング研究所)、新谷裕香(国立民族学博物館)、進藤達郎(京都大物理工学系図書室)、高井まな(京都大薬学部図書室)、高城雅恵(京都大文学部図書室)、田窪直規(近畿大)、戸田光昭(駿河台大)、西山三樹夫(大阪府企画調整部)、根岸祥泰(日本エアシステム広報部)、浜田行弘(関西学院大図書館)、藤林康敏(イメージ情報科学研究所)、堀池博巳(京都大学術情報メディアセンター)、前川和子(堺女子短大)、前田和子(イメージ情報科学研究所)、馬斑浩一(名古屋市科学館)、水谷長志(東京国立近代美術館)、村井正子(京都精華大図書館)、森本祥子(国立国語研究所)、守屋祐子(国立民族学博物館)、矢野修吉(ティアンドティデザインラボ)、吉田暁史(帝塚山学院大)、渡邊隆弘(神戸大図書館)、児玉優子

発表者はUCLA図書館情報学修士課程にて映像アーカイブ論を専攻、このほど修了して帰国した。本発表は修士論文「テレビアーカイブのための記述法」を元にしたものである。

1.映像アーカイブ

映像アーカイブには、その機能、対象資料(映像のみか関連資料と共に扱うか、など)、主体(制作機関からの独立性など)等の側面で様々なものがある。また、組織化の観点から見ると、図書館学的手法と文書館的手法の混在・対立がある。

2.映像アーカイブの目録規則

北米における映像アーカイブのための目録/記述規則の例として、AMIM2(Archival Moving Image Materials, 2nd ed.)とRAD(Rules for Archival Description)がある。AMIM2はアーカイバルな映像資料のための目録規則であり、2000年に現行2版が出版された。AACR2を出発点とし、書誌的情報の記述を重視している。一方RADは多メディアの記録史料のための記述規則として1990年に出版され、カナダの標準となっている。Archival principles(フォンドの尊重、出所原則、原秩序維持)を前提とし、コンテクストの記述などを重視している。

3.AMIM2とRADにおける記述法の違い

アーカイバルな資料では、各資料は何らかのコレクションにまとまり、多層構造としてとらえられるのが普通である。両規則とも多層記述が可能であるが、AMIM2では個々の資料の記述が第一でコレクションレベルはオプションであるのに対して、RADではコレクションレベルが第一で下位の記述がオプションであるという、アプローチの異なりがある。
記述の個々の側面では、次のような違いがある。
・AMIM2では記述単位がコンテンツ(媒体が違っても1記述)であるのに対して、RADではアイテム単位(媒体が違えば別記述)
・AMIM2では統一タイトルによる集中を重視しているのに対し、RADは転記原則
・AMIM2では責任表示の種類・順序の記述に自由度を認めているのに対し、RADは情報源を転記
・AMIM2ではオリジナルに映像と音声において改変があるものをバージョンとみなすのに対し、RADでは個々のアイテムのバージョンを記録
・AMIM2では頒布情報のみを、RADでは制作・頒布の両情報を記録。ただし、AMIM2では「制作国」を別エリアに持つ
・AMIM2ではMultiple Physical Descriptionの規定がある
・コンテクストの記述には「頒布のコンテキスト」と「作成と来歴のコンテキスト」があるが、AMIM2は前者を、RADは後者を手厚く記述
・第一のアクセスポイントとして、AMIM2はタイトル(または統一タイトル)を、RADは出所(Creator)を設定

4.まとめ

AMIM2は映像資料のみを取り扱い、資料単位で管理することに重点を置く。個々の資料の記述、用語の標準化、頒布のコンテクストといった側面ではRADよりもよくできている。一方RADは記録史料の真正性の維持に重点を置き、映像資料をより広い記録史料の中でとらえることを前提とする。多階層の記述、作成と来歴のコンテクストといった側面で優れている。
背景の異なる両者には、それぞれ長所と短所がある。両者の関係を「競合」ではなく互いに「補完」するものととらえ、選択的な併用を行うのが有効であると考えられる。