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2006年度のグループ活動を踏まえたうえで、オントロジと主題アクセス法との類似・相異に関する考察を中心に、発表された。
シソーラスでは類種関係と事例関係をともに階層関係という同一の範疇で扱うが、オントロジ理論では前者は概念(クラス)間関係、後者は概念・個体間関係として区別される。また、サブクラス関係は本質属性を持つ「基本概念」間にのみ設定されることなどもシソーラスとは異なった考え方である。
シソーラスでは全体部分関係の扱いは明確に位置づけられていない。これに対してオントロジ理論では、概念定義に深く関わるものとして重視され、全体部分関係(part-of関係)の種類分け等の議論もある。部分概念は、全体というコンテキストに依存した「ロール概念」として扱われる。
シソーラスにおいては、階層関係以外の様々な概念間関係は連想関係と扱われ、それ以上の分析は十分でない。オントロジ理論におけるロール概念は、何らかのコンテキストに依存した役割を「ロール」、その役割を果たすものを「ロールホルダー」とし、ロールホルダーは何らかの基本概念等による「クラス制約」を受ける。シソーラスで連想関係と扱われる関係性のかなりの部分は、ロール概念として処理できそうである。
オントロジを応用した技術文書検索システムの例を検討すると、クラス間の相互関係が枠組みとして提示され、それに沿って検索できる点が、シソーラスを用いた一般的な検索と異なるように思われる。
(記録文責:渡邊隆弘)
*本発表内容をもとに、2006年度日本図書館研究会研究大会発表を行う予定。