情報組織化研究グループ月例研究会報告(2013.6)

RDAエレメント・セットとRDA語彙をめぐって

和中幹雄(大阪学院大学)


日時:
2013年6月29日(土) 14:30〜17:00
会場:
キャンパスポート大阪(大学コンソーシアム大阪)
発表者 :
和中幹雄氏(大阪学院大学)
テーマ :
RDAエレメント・セットとRDA語彙をめぐって
出席者:
石井莉乃、石田康博(名古屋大学)、井原英恵(神戸大学)、太田仁(福井大学)、尾松謙一(奈良県立大学図書館)、蟹瀬智弘(IAAL)、川上勝慎(獨協大学)、川崎秀子(佛教大学)、川瀬綾子、河手太士(静岡文化芸術大学図書館)、久保恭子、忽那一代(京都大学)、小村愛美(神戸大学)、塩野真弓(京都大学)、塩見橘子、柴田保子(東京家政大学)、杉本重雄(筑波大学)、杉山緑、田窪直規(近畿大学)、田辺浩介(物質・材料研究機構)、田村俊明(紀伊國屋書店)、中村友美、中村恵信(神戸松蔭女子学院大学)、楢本順子、成迫敬子(大阪音楽大学)、日吉宏美(神戸大学)、藤倉恵一(文教大学)、堀池博巳、前川和子(大手前大学)、前田正義(海上保安大学校)、松井純子(大阪芸術大学)、松井宏、松本尚子、光冨健一、村上泰子(関西大学)、山田美雪(兵庫県立大学)、山中秀夫(天理大学)、山野美讃子、渡邊隆弘(帝塚山学院大学)、渡辺真理子(東京都市大学)、和中<41名>

 RDA(Resource Description and Access)の策定は、旧来型の目録規則の規定に対応する記述規則やアクセスポイント付与規則の整備とともに、エレメントとそこに格納される値の確定に向けた作業が同時に行われてきた。その結果は、ウェブ世界で利用が可能となるように、RDA Element SetsとRDA vocabulariesとしてOpen Metadata Registryに登録されている。大半のステータスはNew-Proposed(提案)段階であるが、その内容はRDA理解にとって重要と考えられるので、その概要の報告を行った。

RDA刊行後の改訂の状況

 米国議会図書館によるRDAの実運用は2013年3月31日に開始されているが、RDAは刊行後も改訂作業が進んでいる。誤植の訂正、例示の追加や削除、用語集の用語の追加、参照の追加、言葉づかいの明確化など軽微な変更に対応する更新は随時行われているが、内容に関わる重要な変更に対応する第1回目の更新(Update)は2012年4月に行われている。次回の更新は2013年7月に予定されており、2012年11月のJSC会議の改訂審議結果の反映とともに、RDAテストの結果報告で勧告されていた「18か月以内に明瞭で、曖昧でなく平易な英語で規則を書き換える」作業(編集長Chris Oliver)の成果を反映した条文への更新、さらにはフランス語版とドイツ語版のリリースを行うとのことである。

Open Metadata Registry(OMR)への登録作業

 RDAの改訂作業は、旧来型の目録規則の規定の整備だけではなく、目録規則で定義されたエレメントや語彙をウェブ世界で利用が可能となるように、Linked Dataとしてオープン・メタデータ・レジストリ(Open Metadata Registry: OMR)に登録する作業も同時に進められている。RDAで定義しているデータ・エレメントとともに、定型的なデータを付与するデータ項目の値語彙(value vocabularies)を確定し、それらのURIを確定する作業である。
 この作業は、メタデータ・コミュニティからの批判を受けて2007年4-5月に開催されたロンドン会議(Data Model Meeting)においてDCMI/RDAタスクグループ発足(2007年10月)に始まっている。RDAの全体構成が現在のFRBRモデルに即した構成で行うことがこの時点で決定している。これ以降、RDA規定テキストの整備とエレメントや語彙の登録作業が同時並行的に行われてゆくことになった。OMRへの最初の登録(RDA Group 1 Elements)は2008年4月であった。

RDA エレメント・セット登録の現状

 2013 年6月20日現在、以下の6 種類のRDA エレメント・セット(RDA Element Sets)が登録され、RDFによって表現されている。そのステータスはいずれもNew-Proposed(提案)段階である(丸がっこ内の数字はエレメント数)。
・FRBR Entities for RDA (14)
・RDA Group 1 Elements (466)
・RDA Group 2 Elements (59)
・RDA Group 3 Elements (16)
・RDA Relationships for Works, Expressions, Manifestations, Items (508)
・RDA Roles (250)

RDA語彙登録の現状

 2013 年6月20日現在、SKOSを用いたRDA語彙(RDA Vocabularies)が47種類登録されている。そのステータスは23種類がPublished、24種類がNew-Proposed(提案)段階である。

RDAエレメント表の作成

 RDAが規定するエレメントとエレメント間の関連を一目で概観できるように、以下の手順でエクセル表を作成してみた。作成したエクセル表の抜粋を配布した。この表は、DCMI/RDAタスクグループが行ったであろう作業を次のように逆にたどって作成したものである。
 使用した文書は次の3点である。
(1) 5JSC/RDA/RDA to FRAD mapping/Rev/2(1 July 2009)
(2) 5JSC/RDA/RDA to FRBR mapping/Rev/3(1 July 2009)
(3) Open Metadata Registry のThe RDA (Resource Description and Access) Vocabularies <http://rdvocab.info/>

最後に

 以上のエレメント・セットのステータスがpublishedとなる時点がひとつの区切りとなるであろう。しかし、多くの課題が現時点でも未決定のままである。RDAで定義しているデータ・エレメントを定義し、それらのURIを確定する作業と旧来型の目録規則との考え方には大きな隔たりがあり、その溝を埋める努力は今でも続けられている。

(記録文責 和中幹雄)

当日の資料
配布資料(PDF 247KB)
配布資料:別紙Element表(PDF 107KB)

川崎秀子さんご退職記念の会

日時:
6月29日(土)18:00〜
会場:
CHEZ DEUXIEME いわむら(大阪駅前第2ビル地下2階)
参加者:
川上勝慎、河手太士、久保恭子、光斎重治、塩見橘子、柴田保子、田窪直規、田辺浩介、田村俊明、中村恵信、藤倉恵一、堀池博巳、前川和子、松井純子、松井宏、光冨健一、山野美讃子、横谷弘美、渡邊隆弘、渡辺真理子、和中幹雄