今年度の日図研研究大会(第57回,2016年2月22日)で行う予定のグループ研究発表について中間報告を行った。
情報組織化研究グループでは、2013-2015年度の研究テーマを「LOD時代の書誌コントロール」として、月例会および勉強会を開催してきた。今回の発表は、主には2014年8月に行った勉強会「LOD時代の書誌コントロール(実習編)」1)の内容をベースにしていることを説明し、その概略を振り返った。
まず、オープンデータの定義、オープンデータの高度化を5段階のステップとして捉えるスキーム「5つ星オープンデータ」、その中で示されている Linked Data と LOD の違いおよびその発展状況について述べた。
また、これまでの情報組織化研究グループにおけるオープンデータ/LODへの取り組みについて説明した。「情報組織化関連記事一覧」2)は、日本国内で発表された情報組織化関連の論文・記事のリストで、当グループのサイト内で分類順/著者名順の2種類の一覧とTSV形式の元データを公開している。2014年度勉強会におけるこれのRDF化の取り組み内容と課題点について述べた。
2014年度勉強会での成果と課題点をふまえて、次に「情報組織化関連記事一覧」のLOD化に取り組んだこと、その検討の方針と検討結果(追加項目等)について述べた。特に、著者名寄せと外部データへのリンクに関わる問題点等を指摘した。
「情報組織化関連記事一覧」LODの一部をサンプルデータとして示して説明し、今後検討すべき課題点についても示した。
「情報組織化関連記事一覧」LODをプロトタイプとして、図書館等が成果物として蓄積してきた各種記事索引やデジタル化資料のメタデータ公開に応用することが考えられる。図書館ごとに独自に作成されている各種記事索引等の公開およびデータ共有がさらに進めば、これまで情報流通が図られてこなかった部分が、ボトム・アップでカバーされていく可能性がある。また、LOD化によって、既存コミュニティを超えた連携によるデータ活用の可能性が拡大するだろうことを述べた。
最後に、質疑応答を通じて「情報組織化関連記事一覧」LODの外部リンク先について検討を行った。
今回の発表内容は、第57回研究大会での発表、及び『図書館界』68巻2号に執筆予定のグループ研究発表論文と重なるため、本記録は簡略にとどめた。研究の詳細は、後日論文等をご覧いただきたい。
(記録文責:横谷弘美 大手前大学)